Share!

国土地理院でビッグデータによる修正が施された地図を公開!

2017年12月、国土地理院は民間業者とビッグデータの提供に関する協定を結びました。

これは、国土地理院が監修している地形図の精度を上げ、登山客に正確な情報を伝えるためです。そして、2018年3月「上高地」と「八ヶ岳」地域の、同年6月には日本アルプス(北アルプス、中央アルプス、南アルプス)および屋久島地域の主な登山道を修正した国土地理院のウェブ地図「地理院地図」が公開されました。今回、登山コミュニティサイト「ヤマレコ」「ヤマップ」から、移動経路情報(ビッグデータ)の提供を受け、国土地理院が日本山岳会に依頼し最新の現地情報の提供を得た上で、地形図の登山道を修正しています。これまで、地図制作は実見による測量に依存しており、某大な手間がかかっていました。登山客に人気の地域で、地図にビッグデータが取り入れられたのは大きな事例となるでしょう。今後もビッグデータを利用した地図、地形図制作は浸透していく見込みです。

登山客の経路をGPSで収集!

今回、地形図の修正にあたって重要視されたのが「登山客の移動経路」でした。GPSによって民間業者は対象地域を訪れた登山客の経路を収集し、集まったデータの解析を行いました。その結果、流通していた地形図と、実際に現地へ訪れた登山客とで移動経路に齟齬をきたしている部分があることが発覚したのです。

これまでの地図、地形図制作では反映が難しいとされていた「登山道の付け替え箇所」なども、今回の地形図では正確に描かれています。今後も雪崩や土砂崩れなどの不測の事態にともない、登山道の修正が迫られた場面ではビッグデータを活用し、スムーズな作業ができると予想されます。

今回、最初の事例として選ばれたのは「上高地」と「八ヶ岳」地域。「登山客が多く、ビッグデータ収集が比較的容易な地域だったから」といえるでしょう。ビッグデータは蓄積量が多ければ多いほどより正確な分析結果を導き出せます。その意味で、「上高地」と「八ヶ岳」地域は理想的なサンプルでした。ただし、逆をいえば登山客の数が少ない山岳地帯では今回ほどの精度で地図修正が行えるかどうかは課題として残るでしょう。たとえば、「登頂が危険だが毎年少数ながら一定の登山客が訪れるような地域」についても、対策が望まれます。

今後もこのような事例は増える?本当に日常生活の幸福に貢献するのか

国土地理院の試みはビッグデータ活用例の「ポジティブな部分」が目立ちました。

一方で、ビッグデータには「ネガティブな部分」も存在しています。エドワード・スノーデン氏が元の職場であるアメリカ国家安全保障局を告発したように、ビッグデータは往々にして監視社会の実現のため巨大組織に利用されがちです。今回は「地図修正」という一般人にとってメリットとなる目的で利用されたので問題にはなりませんが、「政府機関とビッグデータを扱う民間企業が協力関係にある」「GPSによって一般人の行動が探索できる」などのポイントはマイナスに作用する可能性もあります。

とはいえ、国土地理院が採用したような方法でのビッグデータ活用が増加傾向にあるのは間違いないでしょう。地図制作のほか、大衆の消費活動、生活範囲などを把握できれば企業のマーケティングにも役立ちます。消費者にとっては魅力のある商品を用意してもらえますし、企業にとっては売上が伸びるので双方にとって利益のある活用法といえます。そのほか、「データに基づく健康商品」「満足度の高いアミューズメント施設」などを開発するために、ビッグデータは有効でしょう。ショッピングサイトでは「顧客の気分に応じたおすすめ商品」を瞬時に提供することも可能です。

忘れてはならないビッグデータの本来の目的

ビッグデータの活用に当たって見失ってはならないのが、「社会を便利にして大衆の希望を叶えること」がビッグデータの本来の目的であり使命である、ということです。しかし、そのためにはビッグデータを取り扱う側のセキュリティ強化と、大衆への説明責任の透明化は必須でしょう。

これらの要素を欠いたまま安易にビッグデータをビジネス利用し始めると、当然のように個人のプライバシーが侵害され監視社会の到来が近づいてしまいます。ビッグデータを集める際には単なる利潤追求のためだけではなく、「日常生活の幸福に貢献できるかどうか」を基準とすることが重要だといえるでしょう。

参考資料
【国土交通省国土地理院】ビッグデータの活用でより安全な登山を!ビッグデータで登山道を修正した地形図をはじめて公開
【みちびき(準天頂衛星システム)】国土地理院、ビッグデータで登山道を修正した地形図を初公開
【Hadoop Times】私たちの生活を豊かにする、ビッグデータの5つの活用法

(文:データのじかん編集部 メイン写真提供:槍ヶ岳山荘)

この記事を読んだあなたにおすすめのタグ

この記事を読んだあなたにおすすめのタグ

「データ活用」ランキング

人気のカテゴリ