第8話|DMBOKが難しすぎる by AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編 | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
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第8話|DMBOKが難しすぎる by AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編

「AI事務員宮西さん」とは?

AI事務員なだけにAI生成画像を使って作っていて、AIデータについて書いた漫画です。保険会社で事務員として働く宮西さん。勤めている保険会社もこれからはAIの時代だとデータ部門の新設を行うことになりました。なぜか事務員の宮西さんが配属されることになり、データ組織を立ち上げるまでの話です。同じようにデータ組織を立ち上げる事を考えている人に入門書として書いてます。それでは本編をご覧ください。

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登場人物

宮西 京華(みやにし けいか)
保険会社で事務職をやっているデータマネジメント担当。歌い手動画を見るのが好き。



作者|西宮さんより解説

データマネジメント解説、連載の第8回が始まりました。
今回の話はデータマネジメントを学習するためにDMBOKという本をお勧めされた宮西さんが、本を読んでみたときの話です。

・・・・・

松田先輩から預かったのは、一冊の分厚い本だった。
タイトルは『DMBOK』。
その瞬間、なんとなく嫌な予感がした。直感的にわかった。これは私の手に負える代物ではない。

◼️DMBOK

DMBOKは、データマネジメントに関する知識を体系的にまとめた包括的な書籍で、Data Management Body of Knowledgeの略称です。現在、第2版(通称「DMBOK2」)が発行されており、日本語版も提供されています。

表紙から漂う重々しさに、全身が「逃げろ」と警告している気がした。
一冊まるごとデータマネジメントについて書かれている本だという。
異動初日にもらった仕事用の参考書がこれか。私の心は早々に折れそうだった。
「よし、やるぞ。」と気合を入れてみたものの、内心はすでに萎縮していた。手に汗を握りながら、とりあえず意を決して本を開いた。
最初に出てきたのは目次。

「データガバナンス」「データアーキテクチャ」「メタデータ管理」

初めて見る単語がずらりと並んでいる。何一つわからない。
いや、「データ」はかろうじて聞き覚えがある。
でも、それ以外はまるで異国の言葉だ。まるで知らない国の地図を渡された気分になる。
それでも、何か掴むために第一章を開いた。

「データマネジメントとは、データとインフォメーションという資産の価値を提供するためにライフサイクルを計画、そして実施、監督することである」

……どういうこと?

「データ」と「インフォメーション」の違いって何?「資産」って、具体的に何を指してるの?
頭を抱えながら次のページをめくる。すると今度は図や表が出てきた。
何か説明しているのだろうが、さっぱり意味がわからない。
文章も理解できなければ、図や表も理解できない。

たった15分で心が折れた。

「無理、無理無理無理!」
私は本を閉じて突っ伏した。目の前に広がるのは、まったく意味のわからない文字列の嵐。
こんなものを理解できる人がいるなんて信じられない。もし本当にいるなら、きっと人間じゃない。
それでも、逃げるわけにはいかない。
明日も仕事は待っている。
それはわかっているのに、部屋の隅に置かれたDMBOKは、ただ無言でその存在感を主張しているだけだった。

翌朝、出勤した時に真っ先に松田先輩に声をかけた。
この本を読んだが全然わからないこと、どこから手をつければいいのか見当もつかないことを正直に打ち明けた。
すると先輩はクスッと笑って、「みんな最初はそんなものよ」と軽やかに答えた。

「無理に全部理解しなくていいのよ。まずは全体をざっと眺めて、少しずつ覚えていけばいいから。」
と言われて少し安心した。

無理に全部理解しなくていい。その言葉に少しだけ救われた気がした。でも、それで問題が解決するわけじゃない。
本が難しいことに変わりはないし、私が担当する「データマネジメント」が何をする仕事なのか、いまだにまったくわからない。
それでも立ち止まるわけにはいかない。
DMBOKという巨大な壁を前に、私はどうにかして一歩を踏み出さなければならない。

・・・・・

DMBOKが難しいと感じられる最大の理由は、専門用語の壁にあります。専門書であり翻訳本でもあるため、横文字が多く、普段耳にしない用語が次々と登場します。
「データガバナンス」や「メタデータ管理」といった単語は、それだけで初めて触れる人にとって難解に感じられるでしょう。
さらに、システム関連の専門用語も多いため、ITやシステムに詳しくない人には何が書かれているのかすら想像しにくいのが現状です。

こうした難しさに対して、どのように立ち向かえば良いのでしょうか。
ポイントは、最初から全てを理解しようとしないことにあります。DMBOKを辞書や百科事典のようなものと考えましょう。

専門用語は日々の業務の中で出会う課題や疑問に関連する部分を少しずつ紐解いていくことで、自然と理解が深まります。
まずは頭の中で索引のように整理され、全体の構造が少しずつ見えてくる状態を目指すとよいでしょう。

また、翻訳本特有の硬い表現や独特な言い回しにも注意が必要です。
最初はどうしても慣れないかもしれませんが、繰り返し触れるうちに違和感が薄れていきます。
必要に応じてオンラインで用語を調べたり、日本語で書かれた関連資料を活用して補足情報を得るのも効果的です。

DMBOKは、一見すると圧倒されるようなボリュームと内容を持っていますが、その本質はデータマネジメントの全体像を示す道標です。
最初は部分的な理解で十分です。それを繰り返し積み重ねていくことで、やがて全体が見えてくるでしょう。
焦らず、一歩ずつ進むことが大切です。DMBOKは敵ではなく、むしろ味方として活用すべき存在です。

よしむら@データマネジメント担当
IT業界、金融業界、エンタメ業界でデータマネジメントを担当した経験を持ち、現在もデータマネジメント担当している。データマネジメント業界を盛り上げるために、経験を通して得た知識の発信活動を行っている。


本記事は「よしむら@データマネジメント担当」さんのデータマネジメントを学べることをコンセプトの4コマ漫画「AI事務員宮西さん–データ組織立ち上げ編」のコンテンツを許可を得て掲載しています。

 
 

特集|AI事務員宮西さん(データ組織立ち上げ編)

保険会社で事務員として働く宮西さんは、会社がAI時代に対応するために新設したデータ部門に突然配属されました。事務員からデータマネジメントのリーダーへと成長していく宮西さんの奮闘記を描いた物語。

本シリーズ「データ組織立ち上げ編」では、宮西さんがデータ利活用組織を立ち上げるまでの挑戦を描きます。IT業界、金融業界、エンタメ業界でデータマネジメントを担当した経験を持つ著者「よしむら@データマネジメント担当」さんが豊富な経験を基に執筆しています。データ組織の一員の皆様には、ぜひご一読ください。

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