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[連載]あなたの組織がデータを活かせていないワケ
~STEP1~目的(課題や知りたいこと)は明確か?
~STEP2~その内容は具体的か?
~STEP3~結論の良し悪しは「使うデータや分析手法」ではなくアレで決まる!
~STEP4~データから“厚み”のある情報を引き出すには
~STEP5~データからストーリーを導くには 
~STEP6~データにストーリーを語らせる 本記事

データにストーリーを語らせる ~近い関係に着目

第5回では、データによる現状把握や比較だけでなく、2軸の視点でデータ間の関係性に着目するポイントについて紹介しました。
これによって、「データによる事実確認」から「なぜそうなるのか?」という因果関係や要因特定ができるようになります。
とはいえ、大事なのはどのデータとどのデータの関係性に着目するのかという点であり、これ自体はデータ分析によって導かれるのではなく、分析者が仮説としてデザインすることになります。

関係がありそう(連動してそう)な2つを選ぶ際に、その2つの距離に着目してみましょう。

「風が吹けば」 ⇒ 「桶屋が儲かる」

確かに、2つの事象の関係性に着目しているものの、この2つには(論理的に)相当な距離があることが分かります。
つまり「風が吹く」から「桶屋が儲かる」の間には、複数の項目を経由しますし、その間にも様々な影響を他から受けそうです。
そのような場合、直接的に「風が吹く」「桶屋が儲かる」の関係性をデータで示そうとしても、ノイズが多い故になかなか思った通りの結果が得られません。

できる限り、より近い関係性に着目したほうが、そのノイズが少なく、よりクリアな結果が得られます。

先の例で言えば「風が吹く」「土ぼこりが立つ」であれば、その距離は小さく、
この2つの関係性の有無はより明確に確認することができるでしょう。

「風が吹く」⇒「土ぼこりが立つ」⇒・・・・・⇒「桶屋が儲かる」

前回紹介した「相関分析」による結果も、どのデータを選ぶかによって答えの精度が当然変わります。分析に用いるデータを選ぶのは、分析者なのです。
この事実を知って、データを扱うユーザーの(ソフト)スキルを向上させることが、実は身近なデータを活用できる人材や組織となるための、確実且つ効果的な方法なのです。

あなたの組織がデータを活かせていないワケ

この連載も今回が最終回です。この連載のテーマである「組織でのデータ活用」について、
6回にわたりその本質をお伝えしてきました。いずれの回にも通じているのは、
「データと手法さえ揃えれば自動的に有効な答えが得られるわけではない」
ということです。
多くのデータと有効な手法やテクニックやツールを活かすも殺すも、
それを使う人の思考スキル、問題解決スキル、論理思考に依る、という現実を踏まえ、
その強化を着実に始めている組織は徐々に「データから価値を引き出す」ことに成功しています。

「とにかく、この大量のデータから何か有用な情報を引き出せ」
「このデータから何か問題点を見つけ出せ」

といった発想でデータ分析に取り組んではいないでしょうか?
仮にそこから何か発見があったとします。

是非その結果に対して自問してみてください。

ここで(偶々)見つかった問題だけを解決することで
本当に大きな改善につながるのだろうか?

他に解決すべき重要な問題はないといえるのだろうか?

ここから導かれた結果は、最適解と言えるのだろうか?
意思決定者に「で、他にこれ以上の案は無いってことで良いんだよな?」と
聞かれてYESと言えるのだろうか?

もしこれらの質問に明確に答えられないとすると、
データから導き出した結果の価値や質として十分なところに至っていないことになります。

その理由は、データ分析の結果や結論を組織の中で何に使いたいのか、を考えてみると分かります。
課題の根本要因を見つけて解決する。最適且つ本質的な策を根拠と共に提示する。
こういったことに貢献できて初めて「使える」データ分析となるからです。

そのためには、「手法とデータ」で自然と答えが出てくる、
という発想を変えてみるとうまくいくはずです。
あなたの組織がデータを活用できるものになるために、正しい方向に進めますように。

お話をお伺いしたDataLover:柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)

データ&ストーリー LLC代表  http://data-story.net/
データ分析・ロジカルシンキングを武器とした課題解決トレーナー
横浜国立大学非常勤講師 多摩大学大学院客員教授
慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中、欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を歴任。 グローバル組織で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。2014年、プロの実務家、ビジネススキルトレーナーとして独立。データ分析を“活用”するための思考法、分析力を分かり易く伝えた著書や講義には高い定評がある。
著書に 
「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本/日本実業出版社
データ競争力を上げる上司、下げる上司/日経BP社

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