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マーケティングオペレーション(MOps)とは? 現代の企業に必要とされる理由は?

         

インターネットをだれもが利用するようになり、メディアの多様化が進んだ現在、デジタルマーケティングの重要性はピークを迎え、さらに高まることが予想されます。

そんななか、MAツールやアクセス解析ツールなどマーケティングに用いられるシステムも多様化しており、それらの選定や活用に追いつけないと悲鳴を上げるマーケターも少なくありません。

そこで近年注目を集めるポジションが「マーケティングオペレーション(MOps)」。日本ではまだなじみの薄い職種ですが、マーケティング先進国ともいわれる米国では80%以上の企業がMOps担当のチームあるいは人材を設置しているとする調査(※)もあります。

MOpsとはどんな役割なのか、なぜ必要とされているのか、どのようにしてMOpsを獲得すればいいのかなど、その理解と活用に役立つ知識をご紹介します。

※…Community-led Research The 2023 State of the Marketing Operations Professional “MO Pro”┃MarketingOps

MOpsは‟マーケティングとITの間に立ち、マーケティング成果の最大化を支援する”役割

MOps(Marketing Operations)とは、マーケティングとITの間に立ち、多様化・複雑化したツールの活用支援やデータマネジメントを通じて、マーケティングチームの成果の最大化を支援する役割です。

具体的に担う役割としては、以下のようなものが挙げられます。

・マーケティング関連ツールの導入・運用(選定・運用ルールの策定・ベストプラクティスの共有など)
・マーケティング関連ツールの活用支援
・マーケティング部門の戦略やスケジュール、KPIの策定
・マーケティング関連データの収集・マネジメント
・マーケティング関連のデータ活用支援(データ分析・ダッシュボードの構築など)

株式会社パワー・インタラクティブが年商50億円以上の会社に勤務するマーケティング責任者300人を対象に行った調査によると、2022年11月時点でMOpsについて「聞いたことがある」という回答の割合は全体の7割を超えます。しかし、「社内に業務を担う体制や組織がある」と回答した人の割合はわずか9.0%

出典:MOps(Marketing Operations)の認知は73%、MOps体制や組織がある企業は9%┃株式会社パワー・インタラクティブ

日本においてMOpsは認知度を高めてはいるものの、実際の導入に至った企業はまだまだ少ないのが現状といえるでしょう。

MOpsは現代の企業になぜ必要?

そもそもMOpsはなぜ現代の企業に必要とされるようになったのでしょうか?

背景には、マーケティングチームの重要性・負担増とマーケティング関連ツール・データの増加・複雑化が挙げられます。

コロナ禍で顧客先への訪問が難しくなったことも影響し、デジタルマーケティングの重要性はこの数年でさらに浸透しました。日本の広告費に占める「インターネット広告費」は2021年にマス四媒体(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)を超え、2023年には総広告費の45.5%を占めています。

アンダーワークスが毎年発表する『マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN』。その『2023年版』に掲載された「マーケティングテクノロジー」は1,740製品、32分類。同調査の『2017年版』で272製品、10分類だったマーケティングテクノロジーの市場がどれだけ複雑化したかが一目でわかりますね。

そんな状況下においては、「①マーケティングにおける戦略策定・KPI管理やツール・データ活用環境の整備」と「②マーケティング施策の企画や反応を踏まえての改善、見込み顧客のナーチャリング」を‟マーケター”というひとつの職種に担わせるのではなく、前者を「MOps」、後者を「フィールドマーケター」と分類することが合理的といえるでしょう。

もちろんそのほかにもブランディングを担当するPRやカスタマーサクセス専門の部門を設置するなど組織の目的や特性に合わせてマーケティング部門に設置される役割はさまざまです。

とはいえ、戦略策定や目標管理、ツール・データ活用のサポートなどマーケティングをバックオフィスで支える役割が必要である、という意見には多くのマーケターの方々が同意するのではないでしょうか。

「MOps人材がいない」問題をどう解決すればいいのか

MOpsの必要性を理解し、自社のマーケティング部門にもぜひ設置したいと考えたとき、最初に立ちはだかるのが「MOps人材がいない」という壁でしょう。

『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』(翔泳社、2023)では、「IT人材」をその有効なリソースとして指摘しています。IT・マーケティング両方の分野にまたがった知見が必要とされるMOpsを育成するには、いずれかの分野にすでに精通した専門人材を登用するのが合理的。そのためには、日本に2万人といわれるデジタルマーケターよりも2022年の統計で約132万人存在するIT人材に目を向けるのがベターというわけです。

一方、非IT人材をMOpsへと育成するという方法も存在します。マーケター・データサイエンティストの松本 健太郎氏は、日経COMEMOの記事にて、マーケティングチームのMOps化に取り組んだ経験・知見を綴っています。もちろんそこでも、エンジニアリングはできずともツールを使いこなせる程度のデジタルの知見は不可欠と説明されているのですが、ノーコードやChatGPTなどを駆使しつつ、非IT人材がMOpsを目指すハードルは下がってきているといえそうです。

現実的にはIT人材、マーケター人材の双方からリーダーとなる人材を募り、MOpsチームの形成と育成を年単位の計画として進めるのが多くの企業がとりうる選択肢となるのではないでしょうか。IT・マーケティング双方の領域で人材は不足しており、MOpsを社内に導入するにあたっては、双方の領域のスペシャリストの協力の下、新たな専門職としてMOpsを育成することが企業には求められるでしょう。

終わりに

MOpsの役割とその重要性について解説してまいりました。ITとマーケティングは日本企業の競争力がこの30年近くで低下した原因として指摘されることの多い2大領域です。その双方にまたがった専門人材としてのMOpsは育成の難しさと裏腹に、企業の生き残りにおいて大きな役割を果たすことが期待されます。ぜひ腰を据えて、MOpsを社内に設置することを考えてみてはいかがでしょうか。

(宮田文机)

 

参照元

・丸井 達郎 (著), 廣崎 依久 (著)『マーケティングオペレーション(MOps)の教科書 専門チームでマーケターの生産性を上げる米国発の新常識』翔泳社、2023 ・Community-led ResearchThe 2023 State of the Marketing Operations Professional “MO Pro”┃MarketingOps ・マーケティングテクノロジーカオスマップ JAPAN 2017 10分野272製品・サービスをカオスマップに掲載┃underworks ・マーケティングテクノロジーカオスマップJAPAN 2023┃underworks ・2023年 日本の広告費┃電通 ・MOpsの概要と活用ガイド┃AdobeExperience Cloud Blog ・松本健太郎『1年がかりでMOpsなチームに変わったので、やったこと・気付いたことを書く』┃日経COMEMO

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