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一方で、データを見てみると、この数年で大学職員の仕事も大きく変わってきていることがわかります。
例えば、文部科学省の「大学等におけるフルタイム換算データに関する調査(平成30年度)」によると大学教員の仕事の主軸である、教育と学術研究の時間はこの十数年で大きく減少していることがわかります。
そして、教育と学術研究にかけていた時間の割合が減少した分は社会サービス活動全般に割り当てられている、ということがわかります。
大学教員における社会サービス活動の需要が増加した背景には産学連携や高大連携など社会との連携を図る事業にまつわるイベントの増加があるのではないか、と考えられます。
実際に、学術研究にまつわる予算が縮小する中で、より社会に還元できる実益的な研究が求められ、企業との連携は強まっています。
また、高大連携事業については、近年の少子化傾向の影響もあり、経営面においても重要な役割を担うようになっているのです。
旺文社教育情報センターが行った「学校基本調査(平成30年度)」によると、日本における高校卒業者(現役)の大学進学率は2000年代に大きく増加し、2007年以降は全体の50%以上が大学に進学する状態が続いています。
高校生以下の学生たちの間で、大学進学が一般化する一方で、少子化は加速しています。
2000年代までは、少子化が多少進んでも、大学進学率が増加していたため、大学進学志望者数が減少することはありませんでした。
しかし、2010年代には大学進学率の増加が鈍化したこと、さらに、2018年以降はその年の18歳人口が減少することから、多くの大学で定員割れが加速し、閉学する大学が増えることも予想されています。
こうした問題は「2018年問題」と呼ばれ、このような喫緊の課題に対し、文部科学省は、すでに2019年度以降に経営難に陥った大学に対し、学部の削減や学生の募集停止、設置大学・短大の廃止や法人の解散など、経営判断を伴う対策を取るよう通知する方針を固めています。
そうした中で、高大連携事業を活用し、中高生に向けた大学教育にまつわる社会サービス活動を行うことで、優秀な学生の獲得を図るという取り組みは大学にとって非常に重要な取のです。
大学運営側にとって重要な社会との連携事業ですが、多くの大学職員にとっては、負担が増え、本来の目的である学術研究や所属学生たちの教育のための時間が縮小される厄介な仕事になりつつあります。
このように、個々人に大きな裁量を与える、ということが前提になっているにもかかわらず、トップダウンの仕事が増え、本来やるべき仕事ができなくなってしまったり、個人の裁量の範囲が縮小してしまう、という問題は、他のどんな職種であっても起こりうる事態です。
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