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フィルターバブルとは?事例をもとに問題点や対策をわかりやすく解説。エコーチェンバーとの違いも紹介

フィルターバブルとは、「自分とは違う意見や情報が見えにくくなっている」状態のことです。この記事では、フィルターバブルの知識やメリット・デメリットについて解説します。また、フィルターバブルの事例を紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。

         

「フィルターバブルって何?」
「フィルターバブルはどんなことに影響する?」

このように悩んでいる方も多いでしょう。

フィルターバブルとは、自分の得たい情報しか見えなくなることです。

本記事はフィルターバブルの知識やメリット・デメリットを解説します。記事後半では、フィルターバブルの事例と対策方法を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

この記事を読むことで、フィルターバブルを理解でき、今後どのようなことに気を付けてネットに触れて良いのかわかります。

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フィルターバブル(現象)とは|自分の得たい情報しか見えないこと

フィルターバブルとは

フィルターバブルとは、自分と同じ傾向の情報が「泡の壁」のように囲んでいて「自分とは違う意見や情報が見えにくくなっている」状態を指した言葉です。

SNSやGoogle検索をしていると、自分の欲しい情報がすぐに得られたり、以前検索したものが表示されたりなどの記憶はないでしょうか。データの中で、フィルターバブルがはたらき、自分がお気に入りしたものやよく閲覧するものを優先的に表示させます。

アカウントで判断しているわけではありません。

Googleサービスにログインしていない状態でも、Googleは検索結果を表示する前に57個の項目を検証しているそうです。例えば、以下のようなことを検証しています。

  • パソコン
  • タブレット
  • スマートフォンの種類
  • OS
  • ブラウザ

さらに、検索している位置情報も検証しています。私たちは、FacebookだけでなくGoogleやニュースサイトによる「情報のパーソナライズ」でフィルターバブルに囲まれ、自分と違う意見に出会いにくくなっているとイーライは語っていました。

つまり、一部の情報を鵜呑みにせず、様々な情報に触れる機会を与えることが大切ということです。利便性を追い求めることは、いたって自然な行為であると同時に、知らない間に他の情報をシャットアウトしてしまう「バイアス行為」でもあります。

フィルターバブルとエコーチェンバーの違い

フィルターバブルとエコーチェンバーの違いは、それぞれ違った環境で起こる現象ということ。

エコーチェンバーは、TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSに起こる現象です。例えば、自分が料理に関する投稿をよく閲覧していると、おすすめにも表示されやすくなります。まさに、自分が日頃から見ているものに近い投稿が集まる現象です。

フィルターバブルは検索する環境で引き起こす現象のことをさします。このことを踏まえると、フィルターバブルの現象が起きた結果、エコーチェンバーという現象が起きると言えるでしょう。

フィルターバブルが起こる3つの仕組み

フィルターバブルの仕組み

フィルターバブルが起こる仕組みを簡単に3つ解説します。

  • トラッキング
  • フィルタリング
  • パーソナライズ

3つの仕組みを理解していないと、フィルターバブルを理解したとはいえません。

それぞれ解説していきます。

【フィルターバブル仕組み①】トラッキング

トラッキングとは、Webサイトを閲覧したユーザーが、どのような経路で他の記事に行くのか追跡する仕組みです。

主に、「サイトに訪れた経路」と「サイトに訪れた時の滞在時間」のトラッキングが行われます。それぞれCookieと言われるテキストファイルとして収集しています。サイトをクリックした際に、「Coockieを許可しますか」のように表示されたことがあるでしょう。

Coockeiを許可すると、テキストファイルが発行されユーザーのPCやブラウザに保存されます。その結果、ユーザーが保存しているテキストファイルを参考にして、似たような情報をWeb上で表示する仕組みです。

その情報をデータ化することで、Web広告の効果測定に反映でき、1人ひとりのユーザーに刺さる広告をうてるようになるでしょう。

【フィルターバブル仕組み②】フィルタリング

フィルタリングとは、ユーザーが好む検索結果を表示することです。

トラッキングで得た情報をもとに、ユーザーが得たい情報のみを表示させることで、ユーザーの満足度は格段に上がります。また、ユーザーがいらない情報に関しては、表示しないようにもできます。

【フィルターバブル仕組み③】パーソナライズ

パーソナライズとは、トラッキングやフィルタリングから得たユーザーの行動を先読みして、常にユーザーが欲しい情報だけを表示させることです。

パーソナライズの精度が上がることで、ユーザーの利便性が良くなる一方で、求めていない情報にはアクセスしにくいというデメリットもあります。その結果、ユーザーが幅広い情報を受けとれなかったり、視野が狭くなったりします。

フィルターバブルの2つのメリットとは

フィルターバブルのメリット

仕組みが分かったところで、フィルターバブルのメリットを解説します。

  • 効率的に情報を得られる
  • 商品やサービスの売り上げ向上につながる

フィルターバブルのおかげで、WebサービスやSNSの利便性を良くしてくれて、ユーザーの満足度は高くなるでしょう。

また、企業にもメリットとなることがあるのでそれぞれ解説していきます。

【メリット①】効率的に情報を得られる

ユーザー目線に立つと、自分の得たい情報を効率的に得られるのは1つのメリットです。

フィルターバブルのおかげで、視聴動画の関連やお気に入り登録した類似の情報が受け取れるため、再度検索する手間を省けます。

ネット社会の現代は、自分が得たい情報を探すのは、時間も手間もかかります。システム上で自動的に表示してくれるフィルターバブルの中にいれば、自分の求める情報を簡単に見つけられるでしょう。

【メリット②】商品やサービスの売り上げ向上につながる

フィルターバブルは商品やサービスの売り上げ向上にも貢献しています。インターネットの閲覧履歴や購入履歴に関連したおすすめの商品やコンテンツを表示する「レコメンドシステム」も、フィルターバブルの1つです。

過去の事例として、Nerflixでユーザーが閲覧した作品がレコメンドシステムでAmazonの売上が35%もアップしたこともあります。そのため、すでに認知された商品やサービス、関連したものが売れやすい状況になっているのです。

フィルターバブルの4つのデメリット・問題点とは

フィルターバブルのデメリット

フィルターバブルのデメリット・注意点を4つ解説します。

  • 考えが偏る可能性がある
  • 孤立する可能性がある
  • 情報漏洩する可能性がある
  • 新規顧客を逃す可能性がある

フィルターバブルはネット社会で有効な仕組みではありますが、深掘りするとデメリットも多くあります。

デメリットを知ったうえで、SNSやWebサービスを利用しないと危険な目に遭うことも理解しておきましょう

【デメリット①】考えが偏る可能性がある

フィルターバブルのデメリットとして、得られる情報が絞られるため、考えが偏る可能性があります。

考えが偏ると、自分が見ている情報が正しいと判断してしまい、他の情報を受け入れられない状態になってしまいます。

ネット上の情報は何が真実なのか嘘なのか分かりません。そのため、本人にとっては受け入れられない情報が真実となる可能性もあるでしょう。

【デメリット②】孤立する可能性がある

フィルターバブルのデメリットとして、孤立する可能性があります。

テレビを見る際に、「何で自分はこの番組を選んだの?」と疑問に思うことはありません。インターネットにおいても、フィルターバブルは自分にしかないので、今得ている情報がどのくらい偏っているのか、またその情報が客観的にみても真実と言えるのかを判断することも困難です。

そのため、自分の考えが正しいと思い込み、他の人の意見を聞こうともしない状況が生まれ、孤立する可能性があります。

【デメリット③】情報漏洩する可能性がある

ユーザーの行動を把握して最適な情報を表示する一方で、ユーザーの情報漏洩も懸念されています。

ユーザーが好むコンテンツをネットの仕組みで判断して表示させます。つまり、知らない間に情報は流出しており、いつどこで利用されるかは分かりません。次章で紹介しますが、2016年の米国大統領選挙でも、フィルターバブルによる情報漏洩に関するニュースが注目されました。

効率的に情報を得られるメリットもありますが、SNSや動画配信サービスが普及している今は、個人情報の取り扱いに今まで以上に注意する必要があるでしょう。

【デメリット④】新規顧客を逃す可能性がある

フィルターバブルは企業にとって、新規顧客を逃す可能性もあります。

例えば、新しいサービスを提供しても、既に認知されたコンテンツを閲覧しているユーザーには似たような情報が表示されるため、新しいサービスまでたどり着けません。

以前まで、自ら行動しないと情報を得られない時代でしたが、今では受動的に自分が好むサービスやコンテンツが表示されます。そのため、新しいサービスの参入障壁が高くなり、既存のサービスは長く愛されるようになっています。

新規顧客を得るためには、積極的な対策を取る必要があるでしょう。

フィルターバブルの事例を5つ紹介

フィルターバブルの事例

フィルターバブルの事例を5つ紹介します。

  • 2016年の米国大統領選挙
  • 2021年に起きた米国議会議事堂襲撃事件
  • SNSのタイムライン
  • 弁護士懲戒請求
  • 新型コロナウイルスワクチン

実際に起きたフィルターバブルが原因の事例です。フィルターバブルがどれだけ驚異的か理解できるでしょう。

事例① 2016年の米国大統領選挙

2016年に開催された米国大統領選挙は、フィルターバブルが一躍有名になった事例です。

選挙中のFacebookで、共和党であるドナルド・トランプ氏を支持する人にはトランプ氏を支持する投稿のみが表示され、民主党のヒラリー・クリントン氏を支持する人にはクリントン氏を支持する投稿のみが表示されました。

そのため、自分が支持する党を全員が応援していると錯覚したのです。選挙ではそれぞれの政策や取り組みに耳を傾け、自身の国がより良い方向に向かうための重要なイベントなのに、傾いた考え方しかできないのは非常に危険です。

事例② 2021年に起きた米国議会議事堂襲撃事件

2021年に起きた米国議会議事堂襲撃事件もフィルターバブルが影響しています。暴挙を起こした集団のなかに「陰謀論」を無視して、自分の正義が正しいと感じた者が混じっていたとされています。

自分の意見が正しいとされた者はフィルターバブルによって、自分が見たい情報だけ見て、世界すべてが自分に賛成していると錯覚してしまったのです。そのため、第三者の意見を無視した結果、このような事件を引き起こしました。

事例③ SNSのタイムライン

TwitterやFacebook、InstagramなどのSNSはフィルターバブルの分かりやすい事例です。

自分が好きな情報や「いいね」した投稿などをもとに、タイムラインやおすすめの投稿に似た情報が表示されます。

つまり、自分が見ている情報は自分だけのもので、すべての人が知っている情報ではありません。表示されるものだけを信じないように注意しましょう。

事例④ 弁護士懲戒請求

2017年にインターネット上のあおり行為に乗せられて、多くの弁護士懲戒請求が起きたものの、弁護士の反論により反対に請求者が損害賠償を負う事件がありました。在日朝鮮人にかかわる弁護活動を外患誘致罪と訴えるサイトが原因です。

フィルターバブルにより、反対意見が遮られ「日本人学校はダメ」という意見がいくつも表示されました。違和感も持たずに意見に流されてしまい、極端な行動に出てしまった事例です。

事例⑤ 新型コロナウイルスワクチン

新型コロナウィルスワクチンについてもフィルターバブルが影響したものがあります。

ワクチンが開発され、世の中に広まっているなかで「ワクチンを打った女性が不妊になる」「ワクチンを打つことで余計に免疫が破壊される」といったフェイクニュースが流れてしまいました。

ワクチンを打つ打たないは個人の自由です。しかし、以上のようなフェイクニュースが拡大してしまい、一部の情報が世界に共通するものと錯覚してしまうと危険です。

フィルターバブルの3つの対策

フィルターバブルの対策

フィルターバブルを対策するには3つの方法があります。

  • プライベートブラウズを利用する
  • テレビや本、雑誌から情報を集める
  • SNSの設定を変える

フィルターバブルは効率的に自分の欲しい情報を得られるメリットがある一方で、客観的な視点や周りの意見を無視してしまいがちです。

フィルターバブルに惑わされないためには、今から紹介する対策をとり、柔軟な考えができるようになりましょう。

【対策①】プライベートブラウズを利用する

フィルターバブルを対策するためには、「プライベートブラウズ」を利用することです。プライベートブラウズは過去の履歴やデータの影響がない検索ができ、自分の好みや考えの偏りがなくなる方法です。

通常のWebブラウザで検索すると、自分がいつも見ている情報や似通ったサイトが上位に表示されます。

Google Chromeであれば「シークレットモード」、Safariだと「プライベートブラウズモード」が代表的です。

自分の好みを無視してフラットな調べものをするときに、有効な手段といえるでしょう。

【対策②】テレビや本、雑誌から情報を集める

インターネットではなくテレビや本、雑誌からの情報を集めると、フィルターバブルを避けられます。

インターネットは受け取る情報に偏りが出ると解説しましたが、オールドメディアの情報は自分の好みではなく著者の思いや世の中の意見などを受け取れます。そのため、視野を広げるためには有効な対策となるでしょう。

【対策③】SNSの設定を変える

SNSの検索ツールのアルゴリズムによるコンテンツ選別は、設定で簡単に外せます。

Facebookであれば以下のような手順で外せます。

  1. 設定
  2. ニュースフィード
  3. ハイライト→最新情報

Twitterであれば、「重要な新着ツイートをトップに表示」を非表示にすれば、自分好みのコンテンツは表示されません。

SNSだと日頃から目にするため、余計に自分を肯定する投稿を見るでしょう。そのため、自分とは違う意見や他の人の視点はどうなのかを表示させ、必ずしも自分が正しいと思い込まないことが大切です。

私たちは「フィルターバブル」に囲まれている

フィルターバブルに囲まれている

TEDでの講演で、イーライはこう問いかけています。

私が初めてインターネットに触れたとき、これは「世界へのドア」で、民主主義にとって必要不可欠なものだと感じました。

しかし、大きな変化があったのです。(中略)私たちは、主体的に選んだものではなく「アルゴリズムによって選ばれたもの」を見ているのではないでしょうか。

(※講演内容の引用は筆者により、抄訳・編集されています。)

本人曰く、イーライはリベラル派で常日頃からFacebookで保守派の意見を見ていました。しかし突然、保守派の投稿を見ることがなくなり、リベラル派の投稿だけを見るようになったみたいです。

これは、イーライが保守派の意見よりもリベラル派の意見が書いてあるリンクなどを、多くクリックしていることが原因です。

インターネットでは「アルゴリズム」が門番の代わりをしているに過ぎません。この、アルゴリズムによる統制が情報の偏りを生み出す現象をイーライは「フィルターバブル」と表現しています。

世界はフィルターバブルから脱する方向へ向かっている

フィルターバブルを脱する

2011年にイーライがTEDで行った講演は大きな反響を呼び、人々が「インターネットで自分のパーソナルデータがどのように使われているのか」を意識するきっかけになりました。

その代表的な動きが、EEA(欧州経済領域)で施行されたGDPRです。EEA内の個人データの扱いについて厳格に規制し保護するためのもので、その厳しさから世界各国の企業が対応に追われました。

一方、フィンランドでは2015年から、国家主導でエネルギーやモバイル通信だけでなく、金融や医療といったセンシティブデータまでも活用する動きがあります。

このような動きは欧州を中心に世界中に普及しており、イーライの言う「フィルターバブル」を自らがコントロールできる世界も実現できるのかもしれません。

また、ときおりスマートフォンやパソコンから目を離し、一体世の中で何が今起きているのか、自分が持っている情報はどのくらい偏ったものなのかを五感を研ぎ澄ませて感じてみることが重要です。改めて正しい情報は何か、何が嘘なのかを判断する必要がでてくるでしょう。

終わりに

フィルターバブルとは

本記事では、フィルターバブルの仕組みやメリット・デメリット、事例を紹介しました。

フィルターバブルは効率よく情報を得られるというメリットもありますが、受け取る情報が偏る可能性があります。

このように、ビジネスでも理解しておく必要があるフィルターバブルは重要ですので、日頃からデータに触れ、スキルや知識をつけおきましょう。「データのじかん」にはデータに関する記事を多く扱っていますので、ぜひ他の記事もチェックしてみてください。

また、無料の会員登録をしていただくと、すべてのコンテンツが読み放題・ダウンロードし放題となります。また、定期的にセミナーを開催しているので、今後のデータやビジネスの参考にしてください。

(塚岡雄太)

 
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