日常は選択の連続です。朝起きて何を食べるのか、どんな本を読むのか、どんな映画を見るのか、……などさまざまな選択をしながら生きる中、一つの選択が人生を大きく変えたり、あのときあっちを選んでおけば、と後悔したりすることもあります。
そこで、人々がより良い選択をできるように技術が発展しています。
特に影響が大きいのがAI(人工知能)による予測です。今回は文化や経済、政治においてAIがどのように人々の選択を補助しているのか実例とともにご紹介します。
製作費も制作時間もかさみがちな商業映画において、近年、制作段階からAIが活用されるようになっています。
AIによるストーリーの解析の精度はここ二十年で高まっており、AIを利用して映画製作における様々なリスクを削減するツールを提供する企業も増えてきています。
例えば、イギリスで2003年に立ち上がったEpagogixでは、AIを用いた解析により、脚本やプロットの段階で興行収入を予測するサービスを提供しているということです。
このサービスの精度は、2004年の段階で高い水準にあり、この年、大手映画会社の未公開映画の脚本9本を解析し、得られた興行収入予測のうち6つが、実際の興行収入と肉薄しており、その有効性が証明されたそう。
一本の映画の制作費が数千万ドルに及ぶハリウッドでは、AIによる予測サービスの需要が年々高まっています。現在では、Epagogixに限らず様々な企業が映画の興行収入予測事業に参入しており、投資収益率の予測データは映画に投資する投資家たちにとって必見のデータとなりつつあります。
また、すでにあるプロットや脚本だけでなく、データに基づいた「売れる」プロットやストーリーライン、キャラクターをAIで予測するサービスなどもあるそう。
こうした動きは大手の企業の中でも高まってきており、2017年にはウォルト・ディズニー・カンパニー傘下の研究所、ディズニー・リサーチがアメリカのマサチューセッツ大学ボストン校との共同研究において短編のストーリーの人気度や質ををニューラルネットワークを使って自動的に予測し、評価できる技術を開発したそう。
ここでは単に作品に人気が出るか?という軸だけでなく質が良い作品とは何なのか、をAIが分析に可能になったことでより多角的な視点で作品の評価を考えることが出来るということです。
その他にも、南カリフォルニア大学の研究チームが映画のレイティング(年齢制限)を脚本から瞬時に割り出すことができるAIツールを開発するなど制作側を悩ませるさまざまな判断をAIが担いつつあるのです。
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