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「ResorTech Okinawa(リゾテックオキナワ)」は、同県のイメージでもある「リゾート」と「テクノロジー」を掛け合わせた沖縄県におけるデジタル社会の実現を図る取り組みの総称だ。デジタル化・DXの機運を高めるべくイベントやセミナーなどの支援情報はもちろん、IT活用やDX事例、IT導入に係る情報を日々収集して発信し続けている。特に沖縄県最大のIT・DX展示会「ResorTech EXPO in Okinawa」の成功には、参画企業の募集やマッチングはもちろん、県内事業者、一般市民といったより多くの人に対して「難しいITやDXといった情報をビジュアルや言葉で伝えるコト」が非常に重要だといえるだろう。
これは官民や社内外、事業規模を問わず、ITやDXに取り組んだ多くの人が「必要な力」として挙げることが多い、デジタルにまつわる専門的な知識や当事者の「やる気」を周囲に上手く伝播させて巻き込む力と同じではないだろうか。
そこで今回は、ResorTech EXPO in Okinawa実行委員会事務局にて広報を担当している、一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)新里恵梨さんと同展示会のロゴやポスターといったクリエィティブ全般を担うディレクターの大城直也さんにIT・DXの情報発信とResorTech EXPO(リゾテックエキスポ)の可能性を聞いた。
新里恵梨さん(以下、敬称略):ResorTech Okinawa(リゾテックオキナワ)では、Webサイトを通じて『IT / DXの活用事例』、『イベント・セミナー』、『支援施策・支援窓口』の情報を発信しています。ResorTech EXPOは「ResorTech Okinawaの取り組みを推進する」その活動の一環として、 国内外のIT関連企業と、観光をはじめとする幅広い産業の関連企業・団体が沖縄へ一堂に会する場を設け、沖縄発のイノベーション・新ビジネス創出を促進するのが主な目的です。
ResorTech EXPOは2020年にスタートし、2022年に実施された第4回では2日間で来場者数は13,814名(オンライン含む)、参加企業数は160社と県内最大級のIT・DXの展示会となっている。しかし、プレ開催・第2回開催となった2020年は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていたこともあり、必ずしも順風満帆の船出とはいえなかった。さらに、ResorTech EXPOが発足して、まだ間もなかったこともあり、クリエィティブによる「IT・DXの伝え方」の壁に大城さんが直面した大きな理由だという。
大城直也さん(以下、敬称略):プレ開催となる第1回は2020年2月、第2回開催も2020年10月29日から11月1日までという4日間の開催でした。私は第2回から参画したのですが、コロナが原因でなかなかプロジェクトが進行しないうえ、海外から参加された方が帰国できなくなるなど、正直言うと『本当に開催できるのか?』と思ってしまいました。さらに沖縄県におけるデジタル庁の役割を担うISCOもまだ発足したばかりで、各ステークホルダーの方々がIT・DXの普及のためにどう立ち振る舞うのか喧々諤々の議論を重ねている最中でした。そんな中にIT・DXに関しては、門外漢だった私が飛び込んでしまったというわけです。(笑)
当時、大城さんが悩んでいたのはITやDX、デジタル活用を「俯瞰した立場」でどう伝えるのかという点だった。
大城:最初はただ、活動意義や理念をビジュアルや言葉で表現しデザインするのが私の仕事だと思っていました。しかし、発信する側にとっては『誰でも手に取って使いやすい技術の普及を広く目指す』という認識が大きいと強く感じました。ただ、その裏側には難しい仕組みや付随する複雑な用語もたくさん理解しなければなりません。そうなると次第にBtoBに偏った内容になりがちなのですが、私たちは県内の事業者や県民にもITやDXの情報を伝えければなりません。そのための試行錯誤に誰もがぶつかっていたと思います。
また、大城さんの頭のなかには「IT・DXについて頑張っている人の想いも伝えたいが、その肝心な部分が見えてこない。それなのに全くIT・DXに関心のない人たちが興味を持つビジュアルというのはどんなデザインなのだろう」という迷いもあったという。
そんな時、ISCO(沖縄ITイノベーション戦略センター)の稲垣 純一理事長が1990年代に作成していた「沖縄におけるデジタルの進め方」をイメージした図だった。
大城:その骨子を見た瞬間に思い浮かんだのが沖縄の伝統的な衣装である『花笠』でした。現在では、ResorTech Okinawaの存在や役割を象徴するロゴになっています。
大城:拝見させていただいた図には一片ごとに飲食業や製造業といった各産業の文字が描かれていました。それぞれの産業にITを活用したらどうなるか?ということ自体を30年前に考えられていたこと自体に驚きました。さらにその図は私が高校生時代に描かれた図で、その背景にある『想い』を受け取ったことも大きかったです。目先の成果、最新のテクノロジーだけを基にしたポスターやロゴをデザインするのではなく、ITやDXで世の中を変革し、より良い社会を目指す人の情熱をResorTech EXPOで伝える必要があると思ったのです。
新里:私は2022年から参画したので、すでに花笠のロゴを目にしたうえで先ほどのエピソードを知ったのですが、いずれにしてもとても納得感があり、感銘を受けました。ただ、実は今年のResorTech EXPOではその花笠を分解したキービジュアルを採用しました。
花笠のロゴは、ResorTech OkinawaとResorTech EXPOの両方で使用されており、しばしば両者を混同させてしまう要因にもなっていた。さらに第5回目となる2023年のResorTech EXPOは、初めて日本でも有数のデジタル設備を備えた施設「沖縄アリーナ」で開催する。まさに今年のテーマに掲げるResorTech EXPOのテーマである「沖縄発、Reboot Japan!」に込めた想いをカタチにしたデザインだ。まさにこのデザインの提案者である大城さんの思考はどういったものだったのだろうか。
大城:一般的なデザイナーの思考だと、苦労して生み出したキービジュアルを爆破されるのは嫌でしょうね(笑)。ただ、私はこれまでITやDXに関するリスキリングを行ったこともあり、イノベーションは今ある事柄を変革するという側面もあることを理解していたので、変わることを嫌がらず、受け入れて活かすことを納得しながら進められました。
デザイナー(自分視点)ではなくクリエィティブディレクターとして俯瞰しながら組み立てていきました。
大城さんはIT・DXについて学び直す必要性を感じ、自ら「令和3年度 内閣府 沖縄型産業中核人材育成事業 沖縄のIT・サービス産業界におけるDX推進人材育成プログラム」を活用してリスキリングをスタートしたという。
大城:同プログラムを通してマインドセットなど根幹から変えていただきました。リスキリングした後も、私はデジタルやITで何かをつくれるわけではありません。ただ、私は言葉とビジュアルに想いと情熱を乗せて、より多くの人に伝わるように『言い換える』のが仕事なのだと認識できたのが非常に大きかったです。それを言葉で伝えられたり、企画書に落とし込めるようになったことで、自分自身、表現のみのデザイナーから世の中を変容する取り組みに関われるクリエィティブディレクターになれたと感じています。少し話が逸れましたが、そういう観点だと『壊して再構築する』という提案に抵抗はありませんでした。
DXの推進は国はもちろん、各都道府県単位でも積極的に取り組まれているが「地域性」によって、アプローチ方法やその成果も異なっている。そのなかでも沖縄県は1、2人で経営している零細企業の割合が顕著であり、DXに積極的になる方がある意味難しい環境だという。
新里:現在の事業だけを見るとDXの必要性をあまり感じないかもしれません。ただ、今回っているから何もしないままだと、他県や海外の事業者との勝負に負けて淘汰される未来が待っているでしょう。そんな『意識をどうやって変えるのか』を伝えるのがResorTech Okinawaの大切な役割だと思っています。具体的にはDXを実現することで『ほかのことができるようになる』と『可能性が広がる』という事例がたくさん紹介されています。
その事例として新里さんが挙げたのが、不発弾発見・処理のための磁気探査を行う株式会社沖縄計測だ。同社は1976年に創業してから独自の磁気探査機器の開発・製造及び探査業務を行っている。デジタル化は2010年から2020年にかけて段階的に実施し、処理能力の向上などを実現している。
新里:業務が効率化して楽になるのはもちろん、東南アジアや欧州への技術提供など、海外展開を含めた可能性が広がっていることを伝えたいですね。BtoBへの発信にこだわるとデジタル化に用いたツールや手法を取り上げがちですが、大城さんと同様、情熱や想いなどがDXやITを伝えるためには欠かせないと思います。
新里さんは2022年に現職に就任。その後、すぐに手掛けたのは情報発信のBtoBとBtoCの良好なバランスを図ることだったという。
新里:ResorTech EXPOは企業と企業のマッチングなので、BtoB向けの展示会の志向が強いのは間違いありません。ただ、私が就任したばかりのResorTech EXPOのWebサイトは、TOPページに画像を貼り付けただけで、展示会が終了するとその画像も削除するのでコンテンツらしいものがなくなっているなど情報を十分に伝えられているとは言い難い状況でした。まずはデザインを一新して堅苦しくならないようにサイト全体にBtoCの要素を加えました。また、2022年からは『アーカイブ』として参画していただいた企業の情報を残すことで、次年度以降のスポンサーや出展者の検討材料にしてもらえるよう改善を図っています。
またResorTech EXPOならではの視点で取り組みがスタートし、2023年はより規模を拡大して開催される「逆商談ブース」という企画が設けられる。
新里:「逆商談ブース」とは、ResorTech EXPO in Okinawaで試験的に実施した取り組みで、会場にて中小企業・自治体・産業団体などがIT企業から提案を受けるための専門ブースを設けます。通常、展示会などでは各IT企業のブースに顧客側となる「中小企業・自治体・産業団体」が赴いて提案を受ける形式です。その逆が逆商談ブースというわけです。昨年度の参加者からは、「手応えのある商談であった」、「具体的な取り組みを促す契機になった」など好評をいただきました。好評を得た一つの特徴が、ISCO(一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター)のマネージャークラスが、各商談に同席し、より客観的な立場からコミュニケーションをしながら、マッチングの橋渡しを行ったことです。
新里さんや大城さんの活動の成果もあり、ResorTech EXPOの1日あたりの来場者数や参加社数は順調に右肩上がりで成長している。最後に今年のResorTech EXPOと今後の目標について聞いた。
新里:今年のテーマである『沖縄発、Reboot Japan!』には、コロナで一度途絶えた『国際IT見本市』というResorTech EXPOを立ち上げた当初の構想をリブートして復活させようという想いも込められています。具体的には海外企業の出展者を増やすほか、海外への展開のしやすさも考えていきたいです。そのためにEXPOでは、ITやDXの『言語の壁を感じさせない見せ方』を実現していきたいですね。
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