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「言ってくれなきゃ分からないよ!」な状況って、新メンバーが入ったばかりのオフィスで起こりがちではないでしょうか。

業務プロセスの「見える化」がされていない職場では、新メンバーは要領を覚えるのに苦労します。しかし先輩方からすると、新メンバーのスキルが「可視化」されていないと得意不得意が分かりません。この積み重ねで双方の「言ってくれなきゃ……」が溜まっていき、あるとき爆発することになります。

職場において重要な「可視化」と「見える化」。あれ、そのふたつって一緒じゃないの? と思った方もいるかもしれません。ただの言い換えのようにも見えますが、実は重要な点で違いがあるのです。

「可視化」と「見える化」の違いとは?

「可視化」とは、そのままでは目に見えないものに形を与えて見えるようにすることです。天候と自社製品の売上の因果関係をグラフにしたり、社員のスキルを種類ごとに○バツで表したり、などがそれに当たります。

「見える化」も、見えないものを見えるようにするという作業は可視化と共通しています。しかし可視化との違いは、自分の意思とは関係なしに否応なく目に入ってくることです。

人間って基本的に見たい情報しか見ないようにできていますよね。ですから可視化だけされていても、その情報を見たいと思っている人にしか届きません。「見える化」は、全員に情報を届けた上でフィードバックや改善へのアクションを促すのが目的です。

シンプルにまとめると、

・可視化 … 見たい人が見たいときだけ見れるようにすること
・見える化 … 可視化した情報を見るべき人に確実に届け、改善を促すこと

となります。

「見える化」の起源と進化

「見える化」という表現が初めて登場したのは、トヨタ自動車株式会社所属の岡本渉氏の論文「生産保全活動の実態の見える化」(1988)でした。

このアイディアを具現化したのが、トヨタの生産ラインに設置された「あんどん」と呼ばれる異常通知ランプ。異常が発生するとこのランプが点灯し、さらに異常の種類を色分けすることで、作業員全員がすぐに異常の発生と種類を感知できるようにしたのです。

トヨタの初期の「見える化」は問題発生 − 通知 − 対処が短いスパンで起こるものですが、現在ではIoTを利用したより複雑な見える化も登場しています。

例えば、九州大学の事例。映像を活用したスマート農業の研究開発に取組んでいる同大学は、いちご農園に設置したネットワークカメラで農園を撮影し、画像を解析して花や果実の生育状況を数値化(=可視化)するシステムの構築を行っています。ディープラーニングによって実行された解析結果は専門家に配信され、分析された上で農園にフィードバックが行く(=見える化)という仕組みです。

人工知能を使用した見える化は今後ますます拡大していくと予想されます。

「見える化」の方法を提案してくれる書籍

ディープラーニングなどの特殊な技術を使わなくても、オフィスで気軽に「見える化」に取り組むことはできます。DIYの見える化を指南してくれるオススメの本が、『アジャイルコーチの道具箱 − 見える化実例集』(Jimmy Janlén著)。オフィスで楽しく見える化を進めるためのトリックが詰まっています。

例えば、ポータブルボード。ホワイトボードはオフィスのデフォルト設備ですが、会議室に置かれっぱなしの場合が多いのでは?これをポータブルボードにすることで、書き出した課題やアイディアを常にチームメンバーの目に付く位置に置くことができ、モチベーションや方向性の維持に役立ちます。

また、会議中にファシリテーター(進行役)に帽子を被せ、毎回帽子を違う人に回していく「ファシリテーターの帽子をまわす」も楽しいアイディア。帽子でなくても何か目立つアイテムを身につけておくことで、周囲も本人もファシリテーターの役割を意識できます。

可視化の先を見据えて

例えば、会議で配布される資料に並ぶ整然としたグラフ。

例えば、出入り口に張り出されたノルマや業績の一覧表。

可視化が進んでいるオフィスは多くても、見るべき人に確実に届き、行動を促す見える化に到達しているでしょうか?

改めて今一度チーム内で振り返ってみるのもいいかもしれませんね。

今回の記事では、「見える化」と「可視化」について説明してみました。見えない問題は解決できない、とよく言いますが、問題を解決するためにはまず問題が何かを把握しなくてはいけません、その過程で見える化、というのはなんだかんだと言ってもヒトにとって分かりやすい効率的なやり方の一つですね。

佐藤ちひろ

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