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JAXAと聞くと、なんだかワクワクしてくる人もいると思います。JAXAとは国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構の略で、日本の航空宇宙開発政策を担当する研究機関です。

実はJAXAは19年もの間、宇宙から降水観測を行っています。雨は生物が生きていくために必要な「恵みの雨」である一方、さまざまな災害を引き起こします。降雨の観測は重要な意味を持っているのです。今回は、JAXAの観測衛星と観測計画をそれぞれ1つずつ紹介します。

熱帯降雨観測衛星TRMM

クレジット : JAXA

TRMM(Tropical Rainfall Measuring Mission)は、日本とアメリカの共同プロジェクトとして計画されました。1997年11月に種子島宇宙センターからH-Ⅱロケット6号機によって打ち上げられています。台風や豪雨、大雪などの研究データとして利用され、降水分野の研究促進に大きな貢献をしました。

TRMMは2015年4月に観測を終えましたが、2014年2月にGPM(次の章で説明します)主衛星が打ち上げられ、GPMがTRMMの観測を引き継ぎました。TRMMの設計寿命は3年2カ月でしたが、なんと17年間にわたり観測を継続したといいます。

TRMMは熱帯の降雨観測を通じて、地球の状況を診断する衛星です。熱帯の雨量は地球全体の気象・気候に大きな影響を及ぼしますが、熱帯には地上の観測点が少ないため、雨の観測データが不足しています。こうした地域でデータを得るためには、宇宙からの観測が威力を発揮するのです。

また、翌日の天気だけではなく、3カ月先の季節予報やエルニーニョ現象に伴う数年ごとの異常気象を予想するためにデータが使われています。さらには10年後~100年後の地球温暖化といった地球規模の気候変動のメカニズムを解明することにも寄与しているのです。

全球降水観測計画GPM

クレジット:JAXA

世の中のニーズとして、単に降水システムを解析するだけでなく、天気予報や洪水予報など、より社会生活に身近な分野への応用が期待されてくるようになりました。そこで、日米を中心とする国際協力の下、GPM(Global Precipitation Measurement)計画が進められました。

GPMは各国・各機関が個別に打ち上げる降水観測が可能な衛星(コンステレーション衛星)と連携することにより、観測頻度を高めていることが特徴。TRMMが熱帯地域の観測を目的としていたのと異なり、GPM計画は高緯度地方を含む広範囲の降水観測を行っています。

GPMの利用事例としては、「世界の雨分布速報」というものがあります。こちらのサイトでは、世界の雨分布を準リアルタイム(観測から約4時間遅れ)で1時間ごとに複数の衛星を利用して提供しています。なお、雲画像は米国海洋大気庁気候予測センター作成のものを利用し、気象衛星ひまわり(気象庁)、気象衛星GOES(米国海洋大気庁)、気象衛星Meteosat(欧州気象衛星機関EUMETSAT)のIR(赤外放射計データ)を利用しています。このマップのことを「衛星全球降雨マップGSMaP(Global Satellite Mapping of Precipitation)」と言います。

GSMaPの利用例

太平洋に浮かぶ小笠原諸島。気象庁のレーダーの観測範囲外にあり、地上雨量計は父島・母島に1つずつしかなく、地上観測から降雨の計測をすることは困難でした。しかし、GSMaPを利用すれば、降雨の観測情報が小笠原諸島でほぼリアルタイムに得ることができるようになりました。

このように、地上からの観測が困難な地域でも、宇宙からの観測データを使えば気象情報を得ることができるのです。

ちなみに

クレジット : 神戸大,JAXA

JAXAでは、衛星による雨のデータを使ってみたいという方のために、情報を公開しているそうです。もし興味のある方は、以下の連絡先にアプローチしてみてはいかがでしょうか?

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国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
「TRMM/GPM/GSMaPの利用事例集」問い合わせ担当
メールアドレス:Z-trmm_real@ml.jaxa.jp
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参考記事:

雨のデータを使ってみませんか? TRMM/GPM/GSMaPの利用事例集 | JAXA
熱帯降雨観測衛星「TRMM」 | JAXA
GPM_DPR _ 人工衛星プロジェクト | JAXA 第一宇宙技術部門 サテライトナビゲーター
世界の雨分布速報 by JAXA GSMaP

(安齋慎平)

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