ITの用語で「Intelligence」と「Information」という言葉を聞くと、いずれも「知識」や「情報」と解釈されがちです。
しかし、この二点は似ているようで大きな違いがあります。Intelligenceが意味しているのは脳に収まった知識であり、Informationは客観的な知識なのです。
IntelligenceとInformationの混同はIT業界では大きな混乱をもたらします。Intelligenceは客観的データを解析した後に導き出される知識であり、Informationは生データそのものです。両者の違いをはっきりと認識することが大切です。
たとえば、市場調査やシステムの稼動テストにおけるデータ収集です。人は目に見えるデータについ注目しがちです。そして、資料提出を求められればデータを整理することに注力してしまう傾向があります。
しかし、調査やテストの最終目的はデータの収集ではなく、データからどんな結論を見い出せるかが重要なのです。これがIntelligenceとInformationの違いだといえます。客観的なデータを大量に収集すればするほど、そこに法則性や傾向を見い出すことが可能になっていきます。最終的に人間の頭で考え、導き出された結論こそがIntelligenceとして重宝されます。
一般企業においてもIntelligenceとInformationの違いを認識することは大切ですが、情報が命であるIT業界ではより明確に両者を分けて取り扱うことが求められています。
IntelligenceとInformationが特に重要視される場面として代表的なのは情報セキュリティガバナンスでしょう。
情報セキュリティガバナンスとは、顧客データを取り扱う企業が情報漏洩のないように、情報セキュリティの脆弱性やネガティブ要素を客観的に考察し、対策を練るためのプロセスを意味する言葉です。現代では顧客データをサーバ上で保管することが多くなり、大量のデータを管理ができると同時に情報漏洩の危険性も高まりました。
セキュリティガバナンスの意識は企業の信用度を大きく左右します。 企業が情報セキュリティをチェックする際に収集するログやエラーデータがInformationにあたります。これらのデータを集めるだけでは結論となりえませんが、そこに考察を加えることでInformationはIntelligenceへと変わります。そして、培った知識をもとにして企業はセキュリティガバナンスを実践していきます。 技術力が向上し、Informationを収集するのが容易になっているからこそ、Intelligenceの重要性が見直されています。
(データのじかん編集部)
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