データでわかるクラフトビールの今回のテーマは醸造所。
大手ビールメーカーのビール類の出荷量が右肩下がりで減少していますが(※1)、クラフトビールの人気はますます高くなっています。この人気のバロメーターのひとつが醸造所の数。実は、この数年、醸造所の数が増え続けているのです。
日本では、1994年に酒税法が改正され、ビールの最低製造数量が2000キロリットルから60キロリットルへと規制緩和されました。
これにより、全国に5大メーカー以外の小規模なビール醸造所が誕生。いわゆる「地ビールブーム」です。最盛期には、全国で300近い醸造所があったと言われています。しかし、地ビールブームは1999年頃に沈静化し、地ビール冬の時代を迎えます。
2003年頃には、200社ほどに減少。しかし、冬の時代を耐え抜いた醸造所は、その後、徐々に売上を伸ばし、2012年頃からは、「クラフトビール」というコンセプトのもと、品質が高く、多様性と創造性のあるビールを提供したことにより、クラフトビールのファンを増やしていったのです。その人気の高さを示すバロメーターのひとつが、小規模醸造所の増加です。
国税庁が公表している酒類製造免許の新規取得者(※2)の中から、ビール類(ビールと発泡酒)の免許に絞り込んでカウントしたのが、以下のグラフです。
ここ最近の5年間で、新規取得者(かならずしも新規の醸造所というわけではありませんが)が増えていることが分ります。
昨年(2017年)も58件と多いのですが、驚くべきは今年(2018年)です。なんと1月~4月のデータで、すでに昨年を上回る78件となっています。2018年4月にビール類に関する酒税法改正においてビールや発泡酒が再定義されることが決まり、改正前の酒税法での取得を目指した人が駆け込む形で、1月~3月の免許取得が非常に増える結果となりました。ということで、2018年は特に多かったものの、業界の動向を見ていると、新規醸造所の数はまだまだ増えそうです。
このように、近年、新規醸造所の数はどんどん増えており、日本全体では、現在400に近い数字の小規模醸造所が稼働していると考えられています。つまり、最も少なかった時期と比較して、醸造所の数は、倍増したと言えます。これで、日本のクラフトビールの人気が、醸造所のデータで裏付けられましたね。
美味しいクラフトビールが飲めるお店を紹介するサイト「クラフトビール東京」代表。ビールイベントや新商品情報も掲載中。
URL: http://craftbeer-tokyo.info/
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