最初にブランディングすべきは社員!?今重要視されるインナーブランディングとは? | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
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最初にブランディングすべきは社員!?今重要視されるインナーブランディングとは?

         

企業が現在最も重視しているのは「企業イメージ」です。特にサービス・飲食・製造業では、商品そのものよりも企業イメージが重要と言っても過言ではありません。

ターゲット層を絞った商品を開発したり、目指す企業イメージに合わせたマーケティングを展開することは、「ブランディング」と呼ばれます。一般的なブランディングは外部向け(顧客向け)に行われますが、近年注目されているのが「インナー(内部)ブランディング」です。

インナーブランディングとは、企業が従業員の自社ブランドに対する意識を高めるために行う活動のこと。従業員が自社ブランドについて深く理解し誇りを持つことで、従業員のモチベーションと生産性を上げ、ビジネス全体に好影響を及ぼすのが狙いです。

インナーブランディングはなぜ重要?

特にBtoC(ビジネス・トゥ・カスタマー)形態の場合、企業イメージを決めるのは現場で接客をする従業員たち。最近、飲食店などの従業員が店舗での悪ふざけをSNSにアップして炎上し、企業イメージを台無しにする騒動が続いています。

インナーブランディングは従業員満足度(ES)と密接に関係しています。もしこの従業員たちが勤務先の企業や自分の仕事に満足し愛着を持っていたら、それを貶めるような行動はとらなかったはずです。被害者である企業の傷口に塩を塗るようですが、こうした従業員が現れる背景には、インナーブランディングができていないという現実があります。

一般的な人間関係でも、外見が美しくても内面がカオスな人とはいい関係を築けませんよね。これと同じで、顧客との長期に渡る良好な関係のため、企業は外見・内面どちらも磨く必要があります。

インナーブランディングの事例

1. コカ・コーラ


自他ともに「ブランド価値世界一」と認めるコカ・コーラ。しかしその抜群の知名度にあぐらをかかず、インナーブランディングを実践しています。

あるとき日本コカ・コーラで、社員全員に「こころざし読本」なるものが配られました。同社の基本理念である「ファン&エンターテイメント」を解説した本だったのですが、それだけならよくある話でしょう。しかし一味違うのは、一冊ごとに社員の名前が刻印され、一人ひとり専用の本になっていた、という点です。

名前のない歯車のひとつではなく、個人として企業を支えているという「自分ごと」意識を呼び起こす絶妙のアイディアと言えます。


2. スターバックス


アメリカ・シアトル発の言わずと知れたこのコーヒーチェーンは、チェーンという形態にも関わらず高いブランドイメージを維持しています。彼らもやはり、インナーブランディングに力を入れています。

スターバックスコーヒー・ジャパンの元CEO・岩田松雄氏は、インナーブランディングへの揺るぎない理念で現在のブランドイメージを作り上げました。

スターバックスではESの先に顧客満足(CS)があると考え、アルバイトにも70時間の入社教育を導入しました。これが1000以上もの店舗で安定したクオリティーを保つ基礎となっていると岩田氏は語ります。大切なのはトップからアルバイトまで、会社のスタッフであるという意識を共有することだと。

「小売業は総じて従業員を軽視している。従業員が会社に満足していないのに、お客様を満足させるのは難しい」という岩田氏の言葉は、インナーブランディングの真髄を突いています

3. 東京ディズニーリゾート


ディズニーリゾート、一歩足を踏み入れればそこは夢の国。とは言え、着ぐるみの中には人が入っていて、アトラクションを動かしているのは妖精たちではなく電気、いうのは誰もが知るところ。

それでも年間3000万人(!)以上の入園者数を誇り、リピーターが後を絶たないのは、従業員=キャストへの徹底したインナーブランディング効果だと言われています。

キャストというのは元々エンターテイメント業界で出演者を指す言葉。従業員をこう呼ぶのは、一人ひとりが重要な出演者だという意識を持たせる狙いがあるそうです。またキャストにしっかりした入社前後研修を行い、この意識を共有しています。

ディズニーリゾートは入れ替わりの激しい職場という話もありますが、裏を返せば、やりがいをESに換算できる人だけが残っていく職場なのかもしれません。

インナーブランディングは未来への投資

インナーブランディングを行ったからと言って、すぐに売上アップに繋がるわけではありません。しかしコツコツ続ければ、確実に企業イメージを高めてくれます。

従業員という立場なら、勤務先企業がインナーブランディングに力を入れているか、従業員目線で見てみるのも面白いかもしれません。

社外に向けてやるブランディングが重要なのはもちろんですが、社内の人たちがバラバラの方向を向いていたのでは、企業ブランドの本当の意味での確立は困難ですし、社外に向けて発しているメッセージと実際に社員が感じている会社の雰囲気があまりにも乖離しているとそれも問題です。

まず社内から浸透させ、企業メッセージを固めている、というのは成功している会社の共通点なのかもしれません。

参考リンク: 
ブランドの価値は社員が高める!インナーブランディングが重要である理由と成功例
元スターバックスCEOが語る「顧客満足より従業員満足」

佐藤ちひろ

 
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