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コロナウイルスダッシュボード、AI予測システム……、人類を救う感染症テックとは?

         

2020年、中国から世界に広がり多数の感染者・死亡者を出し続けている新型コロナウイルス。その感染者は9万人以上、死亡者数も3000人を突破しています(2020年3月5日時点)。

昔から人類に脅威を与え続けてきた感染症。すべてを根絶するには至らないものの、人類は医学や防疫といった手段を進歩させ被害を食い止めることに尽力してきました。

本記事では“テクノロジー”の力を活かした最先端の感染症対策──感染症テック──についてご紹介します。

リアルタイムで感染状況がわかる!コロナウイルスダッシュボード

最初に紹介するのはコロナウイルスの感染者数や死亡者数、回復者数を地域ごとに把握できるダッシュボードです。名門医学部を抱えることで知られる米国ジョンズ・ホプキンズ大学によって公開されました。

出典:Coronavirus 2019-nCoV Clobal Casesby Johns Hopkins CSSE┃JOHNS HOPKINS WHITING SCHOOL of ENGINEERING

上記の画像は2020年2月9日21時44分時点のスクリーンショット。情報は数十分ペースで更新されており、ほぼリアルタイムで世界の状況を知ることができます。このダッシュボードは「世界中の一般の人々に正しく感染拡大の状況を理解してほしい」という意図から公開されました。

同大学は中国における感染拡大の報道と予測モデルの比較や、各国のコロナウイルスの輸入リスクの予測値、中国国内外のハイリスク空港リストといったデータも公開しています。

中国本土のコロナウイルスの症例数(報道)と症例数(予測モデル)の比較


出典:Update January 31: Modeling the Spreading Risk of 2019-nCoV┃JOHNS HOPKINS WHITING SCHOOL of ENGINEERING

データによると予測モデルの症例数は報道された症例数を大きく上回っています。また輸入リスク予測値が高い上位12カ国すべてで実際にコロナウイルスの症例報告がなされており、そのなかには日本も含まれています。

コロナウイルスの集団感染を最速で感知したAIシステム「BlueDot」

続いて紹介するのは、世界保健機関(WHO)やアメリカ疾病予防管理センター(CDC)に先駆けてコロナウイルスの集団感染を予測したカナダの健康モニタリングプラットフォーム「BlueDot」です。

同システムはAIによる機械学習を用いて65カ国の報道や航空会社のデータ、動物疾病の発生報告を分析し、政府機関や航空会社といったクライアントに疾病の発生レポートを提供します。12月末時点でコロナウイルスの感染拡大を警告していたことで、BlueDotの評判は広まりました。

同様にAIをコロナウイルスの感染拡大防止に用いようとしているのが、ハーヴァード・メディカルスクールCIO(Chief Innovation Officer)のジョン・ブラウンスタイン(John Brownstein, Ph.D)博士らがSARS後に立ち上げた世界の感染症の状況をリアルタイムに監視する「Healthmap」です。医師からのデータや政府が発表する内容などに加えて同チームが目をつけているのが各種SNSの投稿内容。医師から感染の疑いがあると示唆された地域でSNSに投稿された内容を解析し、感染者の追跡や感染リスクの高い年齢や性別、地域の分析に利用しようというのです。

各国に散らばる膨大なデータをAIが分析することで、異変や傾向が浮かび上がってきます。大量の情報を処理するビッグデータ解析は、人類すべてに関わる感染症対策において大いに発揮されそうですね。

世界中で児童のために活動するユニセフもビッグデータ分析プラットフォーム「マジックボックス」を感染症対策に導入しており、2014年の西アフリカにおけるエボラ出血熱や2015年の南米におけるジカ熱の流行予測に実践投入したといいます。

IoTによる行動管理で院内感染を防ぐ「小創科技」

感染症に対処する医療従事者の感染症対策、そこでIoTを用いたソリューションが出てきています。

中国のメディカルソリューションスタートアップ「小創科技(smalliot)」はIoTを活用して院内データを収集し、例えば手指消毒の実地の有無を感知して警告を行うなど感染症対策ガイドラインに沿った行動を管理するサービスを提供しています。

同じくIoTで手指衛生を管理するシステムは名古屋大学医学部付属病院や聖路加国際病院、福井大学など日本国内でも研究が進められています。

WHO(世界保健機関)によると手指消毒の有無により院内感染率に30%の違いが生じるとか。感染症予防の基本である手指消毒は、新型コロナウイルス対策にも有効だといわれています。その徹底を含めたガイドラインの順守をIoTが管理・警告してくれるのは、スマートホスピタル化のこれまでにない利点といえるでしょう。

終わりに

2020年に流行した新型コロナウイルス対策に関わるものを中心に、最先端の感染症テックについてご紹介しました。

誰しもにリスクのある感染症だからこそ、膨大なデータを処理できるAIやビッグデータ解析がものをいう側面があるようです。

緊急事態にはデマや誤情報が広がりやすく、今回も「○○に感染者がいる」といった真偽の不確かな情報が広がるケースがみられました。不安の大きい状況だからこそ正しいデータにアクセスする必要があります。ぜひ本記事で紹介したダッシュボードなどを活用してみてください。

コロナウイルスネタ、という意味では昨日のタイムくんをまだ見ていない方はぜひ合わせてどうぞ。

【参考資料】

Coronavirus 2019-nCoV Clobal Cases by Johns Hopkins CSSE┃JOHNS HOPKINS WHITING SCHOOL of ENGINEERING Modeling the Spread of 2019-nCoV┃JOHNS HOPKINS WHITING SCHOOL of ENGINEERING Update January 31: Modeling the Spreading Risk of 2019-nCoV┃JOHNS HOPKINS WHITING SCHOOL of ENGINEERING 新型コロナウイルスは、いかに拡散しているのか? その経路を人工知能がSNSから解き明かす┃WIRED 新型コロナウイルスの危険性を、人工知能が世界に先駆けて「警告」していた┃WIRED 外薗 祐理子「ドローンが最貧国の子どもを救う、世界が注目する「感染症テック」とは」┃日経XTECH 中国病院内でIoT、手指の衛生管理で感染予防┃日本経濟新聞 病棟におけるAIを用いた手指衛生モニタリング手法の評価研究を開始┃MONOist IoTで手指消毒遵守をアシスト 名古屋大学医学部附属病院でのケアコム「手指衛生モニタリングシステム」の活用┃m3.com 新型肺炎「御殿場に感染者?」デマ拡散 市、ホームページで否定┃静岡新聞SBS

宮田文机

 
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