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日本において選挙の時期になると毎回取り沙汰されるのが、「投票率の低さ」です。実際に参議院選や衆議院選といった国政選挙における投票率の推移をグラフにしたものが以下になります。

出典:総務省|国政選挙の年代別投票率の推移について

2000年代に入ってから、国政選挙における投票率は常に70%を下回っており、特にこの10年ほどは50%台まで落ち込んでいます。その中でも、特に20代などの若者においては、2000年代に入って以降、常に50%を割る低投票率が続いています。

出典:総務省|国政選挙の年代別投票率の推移について

こうした状況を打開するための解決策の一つとして議論されているのが、インターネットを介した電子投票です。

20代、30代の若い世代において、スマートフォンの保有率は90%を超えており、スマートフォンなどで手軽に投票が行えるようになれば、より多くの若者たちが選挙に参加するのではないかと考えられているのです。

しかし、一口に電子投票といっても様々な課題もあるため実現についての具体的な議論はまだまだ進んでいません。

そこで今回は、電子投票におけるメリットや課題、さらに、実際に電子投票を導入した地域や国などについて調べてみました。

電子投票におけるメリットと問題点とは?日本における導入の歴史から学ぶ

電子投票におけるメリットといえば、なんといっても開票の迅速化や人件費などのコストの削減があげられます。

日本においても一部の地方選挙において、電子投票が採用されています。岡山県の新見市では、市長・市議会議員選挙において、投票者が投票所にある電子投票システムを搭載したタブレット端末を返して投票を行えるという形式の電子投票を導入しました。その結果、前回の選挙では、開票に4時間かかっていたのが、半分の2時間に短縮され、電子投票システムを介して投票された表についてはわずか25分で開票できたということです。

さらに投票者においても大きなメリットがあります。それが名前の書き間違いなどによって無効票となってしまうことを防ぐという効果です。電子端末で入力して印紙に出力する、という方式であれば、せっかく投票に行ったのに書き間違えて無効票になったというミスは起こりにくくなると考えられます。

一方で、電子投票の導入においては様々な課題が挙げられます。その中でも特に懸念として挙げられているのが、電子投票システムの不安定さや端末の不具合です。

こうした懸念の後押しをしたのが、岐阜県可児市で行われた電子投票におけるシステムの故障とその後に決定された選挙の無効化です。

問題の争点となった選挙というのが2003年7月の可児市の市議会議員選挙です。ここで採用された電子投票システム中のデータ保存システムが、過熱によって一時停止。この際に投票制限が発生し、さらに投票数の不一致まで生じたため、選挙後、可児市の市民団体が裁定取り消しと選挙の無効を求めて控訴し、結果的に2005年に選挙の無効が認められました。

また、この不祥事において、責任がどこにあるのかという点についても不明瞭であり、その後の電子投票における議論が難航するきっかけとなりました。

実際、2007年に、自民、公明両党が自治体が条例として定めれば、国政選挙でも電子投票を導入できるという電子投票法改正案を国会に提出しましたが、過去の失敗についての懸念が拭いきれず、審議は不調に終わり、この法改正案は翌年には廃案となってしまいました。

行政サービスの99%がインターネットで完結。超「電子国家」のエストニアで導入されたインターネット投票システム

日本において、実施されたり議論が進んでいるのは、投票所に電子投票システムを搭載した端末を廃棄するという方式のみですが、他国では、自分の家のパソコンなどから電子投票システムにアクセスし投票できるというシステムが実際に導入された事例もあります。

その中でも印象強いのが、今年3月に、国政選挙におけるインターネットでの投票を解禁したエストニアです。

北欧に位置するこの国は日本にとってはあまり馴染みがないかもしれませんが、実は行政サービスの99%をインターネットで完結できる最先端の「電子国家」としてひそかに注目を集めています。

エストニアにおいて、2007年からすでに国政選挙で投票所に電子端末を配置した電子投票システムの導入がされていましたが、今回導入されたインターネットでの電子投票システムは、エストニア国民の個人識別IDとインターネットさえあれば、 PCやスマートフォンからも投票が可能になるというものでした。

今回このインターネットでの電子投票を導入した結果、野党であった改革党が与党である中央党を降し、第一党に躍り出たそうです。さらに、改革等に投票したうちの60%が電子投票システムを活用したということもあり、投票方式の転換の重要性を示す結果となりました。

エストニア政府によると、投票権を持つ国民のうち、およそ30%が電子投票システムを利用しており、その結果、1回の選挙あたり、労働時間が約1万1000時間分削減できているそうです。

日本においてもインターネット投票の実証実験が始まっている >>

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