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WEBマーケティングや企画の仕事をする上で、今欠かせないもの、それがABテストです。広告に比べ、安価で効果も出やすいマーケティング手法ということで、様々な場面で取り入れられるようになりました。
一方で、あまりにも当たり前に使われるようになってしまったため、会話の中でしょっちゅう出てくるけれどいまいち理解しきれていない、なんて人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は初めての人にもわかりやすいよう、ABテストの初歩から、実践方法、実際の事例まで簡単にご紹介します。
ABテストとは、ウェブサイト上において既存のデザイン(Aパターン)と画像など一部を変更したデザイン(Bパターン)を2種類以上用意し、特定の期間中に、それぞれ同じ確率で表示させることで、目的を達成しやすいクリエイティブパターンを見つけ出すことを目的としたテストです。どのくらいの確率で目的が達成できたのかを示すコンバージョンレート(CVR)でそれぞれのパターンを比較します。
例えば、メルマガ登録を行ってもらうことが目的のウェブサイトにおいて、メルマガの登録ボタンの色についてのABテストを行ったとしましょう。ここでは赤をAパターン、 青をBパターンと仮定します。サイトの訪問者数が3000だとすると、 おおよそ1500ユーザーずつにそれぞれのパターンのウェブサイトが表示されます。
その結果、Aパターンでは75人、Bパターンでは150人がメルマガに登録したとすると、それぞれのCVRは5%と10%となり、Bパターンにした方がメルマガの登録率が上がるということが示されました。
こうした結果を前に、注意したいのが、CVRは、季節要因や流行などが反映されやすいということです。
夏はBパターンの方がうまくいったのに、冬場はAパターンの方がうまくいくなんていう場合も少なくありません。そのため、結果だけを見て判断するのではなく、コンバージョンに成功した背景には一体何があるのか、を考え、きちんとした仮説を立てることが、より良い施策の打ち出しにつながります。
また、用意したパターンのCVRの違いを有効にするためには、期間中、選択肢の数×1000以上の訪問者数が必要だと言われています。そのため、サービス配信直後や、認知度の低いサービスでは、有効な結果を得るために長い時間がかかるため、最適な手法とは言えません。
自分が携わっているサービスが今どのフェーズにいるのかを見極めた上で、ABテストを行ってください。
ABテストでは、複数のページを試して、ユーザーがより参加しやすく、成果を上げるページを見つけることができます。これをチャンピオンページと呼び、チャンピオンページは、ユーザーに説得力があり、共感を呼びやすいページです。
WEB集客では、ユーザーがサイトを離れてしまうことを避けたいですよね。ユーザーがサイトを訪れたのに、すぐに情報が見つからなかったり、ファーストインプレッションが悪かったり、決め手がなかったりすると、すぐに離脱してしまうことがあります。
そこで、ABテストを活用しています。ABテストをすることで、パフォーマンスの高いページを見つけることができ、直帰率の改善ができます。さらに、商品を購入したり、問い合わせたり、資料を請求したりといった行動に繋げることができ、機会損失を防ぐことができると考えられています。
ABテストには「逐次テスト」と「並行テスト」という2つの方法があります。逐次テストはAパターンとBパターンを別々の期間でテストする方法であり、一方、並行テストはユーザーごとにページを振り分けてAパターンとBパターンを同時期にテストする方法です。
逐次テストはLPOツールなどのシステムを導入する必要がないため簡単に行えますが、季節によって結果が左右される可能性があるためおすすめできません。一方、並行テストは同じ条件で比較できるため、結果に信頼が持てます。テスト期間については、曜日によるユーザーの行動パターンの変化も考慮に入れて、少なくとも1週間はかかるべきです。サンプル数が多く、結果が明確に出た場合は1週間でも十分ですが、そうでない場合は通常は2~3週間かけます。ただし、長期間にわたるテストは推奨されません。結果が出ないまま長期間行っても、大きな変化は期待できないからです。
ABテストの対象としては下記が挙げられます。
上記の通りWebマーケティングにおいて幅広く活用できると言えるでしょう。
ABテストを行うメリットを5つ紹介します。
それぞれ紹介します。
ABテストの1つ目のメリットは運用しやすいことです。
ABテストは、2つ以上のパターンを作成し、それらを比較して、どちらがより高いエンゲージメント率やCVRを出すのかを容易に確認できます。このシンプルな方法を用いることで、効果的な改善策を見つけられるのが、ABテストのメリットといえます。
2つ目のメリットはコストがかかりづらい点です。
ABテストは、Webページなどの現状を一部変更して実施できるので、他の施策と比べてコストが低いと言えます。ABテストツールを使用する場合もありますが、それでも予算の制約の中で施策を改善する方法として利用できます。
3つ目のABテストのメリットは、機会損失を防ぎやすい点です。
広告の出稿量を増やしても、受け皿となるサイトやページが問題だと、ユーザーは流れてしまいます。よって、トラフィックをCVに変換するためには、「バケツの穴」とも呼ばれる問題点を塞がなければなりません。一度塞いだ穴はすぐには開かないので、効果は一定期間続くことが期待できますので、機会損失を防ぎやすいと言えるでしょう。
リニューアルのリスクを回避しやすいのもABテストの利点です。
新しいUI設計や新しいコンテンツをテストせずに、ただ全体的に反映してしまうと、ユーザーに影響を及ぼす可能性があります。もしCVRが上がる効果があれば良いですが、CVRが下がる結果になる場合、ユーザーに悪影響を与えるリスクがあります。
そこで、ABテストを行い、小さな変更の効果を繰り返し検証し、成功したパターンのみを本番に反映することで、このリスクを半分以下に減らすことができます。
ABテストで得られる結果は、日々変化するユーザーニーズと共に変わっていくものです。そのため、迅速に検証と改善を行うために、部分的なリニューアルが適しています。具体的には、離脱が多い箇所や企業が重要視したい部分に絞り、コピーやキービジュアルなどの要素を絞ってABテストを行うことができます。これにより、素早く検証と改善を行うことができます。
ABテストは、Webサイト全体のリニューアルにも利用できますが、予算や時間、人手などの都合で頻繁に実施することはできません。特に大規模なサイトでは、改善には時間がかかることが多いです。また、Webサイトのページ数が多く、フルリニューアルが難しい企業や、Web管理者が退職してしまいWebサイトの仕様が把握できない企業にとっても、ABテストは有用です。
初めてABテストに取り組む場合でも、部分的な改善から始めることをおすすめします。
前章ではABテストのメリットを紹介しましたが、本章ではデメリットを紹介します。
それぞれ紹介しますので、メリットと共に押さえておきましょう。
ABテストで有意な結果を得るためには、ある程度のサンプル数が必要です。しかし、サイトを訪れるユーザーが少ない場合は、検証に時間がかかってしまいます。検証結果を得るためには、ページビュー(PV)が2000以上必要とされています。
ABテストでは、予想外の結果が出ることもあります。さらに、測定結果を見誤ると、WEBページの改善がうまく行えない可能性もあります。こうした問題を避けるためのポイントについて、後半で説明します。
ABテストのメリット・デメリットについて紹介してきましたが、本章からはABテストを行う際のポイントを紹介します。
それではみていきましょう。
ABテストを行う際には、目的を明確にすることが重要です。例えば、バナーのクリック率を上げたいのか、サイトの離脱率を下げたいのか、その他の目的があるかを考えましょう。資料請求率を増やしたい、商品の購入数を増やしたい、ユーザーの登録数を増やしたいなど、目的はさまざまです。サイトのパフォーマンスを向上させることは大きな目標ですが、まずは具体的な目標を設定し、それに向けて効果的な施策を打つことが重要です。
目的が明確になったら、調査や分析を行うために分析ツールなどを使います。その後、修正が必要と考えられる箇所の改善策について仮説を立てます。ユーザーの心理を考慮しながら、色やフォント、大きさ、文章などに関して「こうすれば良いのではないか」というアイデアを出します。全てをテストすることは誘惑されますが、効果が見込めるところに絞って仮説を立てることで、作業の効率化や結果の評価がしやすくなります。
目的が明確になり、仮説が立てられたら、優先順位の高い箇所から取り組んでいきます。優先順位を決めるためには、「可能性・インパクト・簡単さ」という3つの要素を考慮します。まずは、CVR(コンバージョン率)の向上につながり、大きな影響をもたらすと思われる箇所から始めます。また、実装に時間がかかる複雑な部分は、結果が出なかった場合に時間の損失が大きくなるため、簡単にできる箇所からテストを行い、CVRを上げていくことを考えると良いでしょう。
ABテストの後、結果を分析し、検証します。検証には統計学を使って正確に判断する必要がありますが、実際にはABテストを行っても、結果に明確な違いが現れるのは3割程度と言われています。7割は結果に有意差が見られず、優劣がつけられないまま終わってしまいます。では、テスト期間を延長して優劣をつけるべきでしょうか。ABテストの期間はテスト内容によって異なりますが、結果が出ない場合に期間を延長することはあまりおすすめできません。単に期間を延長しても結果が得られるとは限らないからです。むしろ、有意差が出ない結果を踏まえて、新たな仮説を立て、次のテストプランに進むなど、PDCAサイクルを回すことが重要です。
ABテストを行うタイミングを紹介します。
下記にて紹介します。
WEBページのコンバージョン率が上がらない場合、訪問者のニーズを正確に把握できず、効果的なページを作成できていない可能性があります。ユーザーの行動を理解するために、ABテストを実施し、サイトのコンバージョン率向上に繋げましょう。
多くのユーザーが、検索や広告などでWEBページを訪れるものの、直ちに離脱してしまったり、サイト内を回遊せずに離れてしまったりする場合、ABテストを行って、その原因を特定します。
それではABテストの流れを紹介します。流れとしては下記の4STEPとなります。
順に見ていきましょう。
ABテストを成功させるためには、まず最初に仮説を立てることが重要です。具体的には、WEBページ内での課題の特定と改善方法の仮説を立てます。同時に、仮説に基づいて具体的な改善アイデアを出していきます。
仮説に基づいて、ABテストで使用するテストパターンを作成しましょう。
前述した「逐次テスト」と「並行テスト」のどちらを使用するか、またテストの予定や期間などの計画を立てて実施します。
仮説が正しく検証された場合、その結果はWEBページに実装されることになります。しかし、予想と異なる結果が出たり、有意な差が見られなかった場合には、テスト結果を分析し、検証を行う必要があります。
ABテストについて、簡単に紹介したところで、いよいよABテストの実践方法をご紹介します。ABテストは、無料ツールでも行うことができます。その中でも最も有名なのがGoogleが提供するGoogleオプティマイズです。
Googleオプティマイズは、誰でも無料で登録することができ、Googleアナリティクスと連携するだけで、ABテストを行うことができます。さらにビジュアルエディタによって、デザインを変更することで、HTMLやCSSの知識がなくてもABテストを実行できるというのが特徴です。
無料版のGoogleオプティマイズで、最大5つのABテストを同時に実行できるため、ほとんどの場合は課金をしなくても十分に使うことができます。
一方で、気をつけていただきたいのが、GoogleオプティマイズやGoogleアナリティクス内では 、テストが終了後に結果を蓄積できないという点です。そのため、テスト終了とともに、エクセルやスプレッドシートなどを用いて、きちんと結果をまとめておく必要があります。
Google オプティマイズ以外にも便利で無料のABテストツールはたくさんあるため、目的に合ったツールを利用してみてください。
今回は気軽に安価でできる AB テストの魅力について簡単にご紹介いたしました。今回の記事の内容をまとめると、
という点です。
安価にできるからといって、適当にテストを行うのではなく、様々な仮説を立てた上で、施策を打ち出し、なるべく最小限のテストで最大の結果を得る、ということが重要です。
成果を上げるために、時には専門家の知見を参考にしながら、是非ABテストを実践してみてください!
(大藤ヨシヲ)
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