ロボアドバイザーやAI投資という言葉を聞いて「難しそう」「リスクが大きそう」という印象を抱く方は日本ではまだ少なくないのではないでしょうか。
実際、2019年の調査でロボアドバイザーを「利用したい」と答えた日本人は1割にも達しませんでした。
しかし、金融業界におけるAIの存在感は日々増しており、またロボアドバイザーは「投資初心者」にこそ適しているという声もあります。
本記事ではロボアドバイザーの概念や独自のメリット・デメリットについて取り上げます。
ロボアドバイザーは、その名の通り”AIの助けを借りて行う投資手法”のこと。
Webサイトで年齢や収入、リスク許容度などについての質問に答えることで最適な投資ポートフォリオが提案されます。
「アドバイザー型」と「投資一任型」の2種類にわけられ、前者はポートフォリオをもとに実際に投資を行うのは自分ですが、後者では投資商品の買い付けもAIに任せることになります。
2008年ごろから米国で脚光を浴び始めたロボアドバイザーが、日本に上陸したのは2016年のことです。まだ歴史が浅いためか、利用したいという日本人は1割に満たず、そもそも知っている人が2019年時点で全体の4割程度に過ぎないことも前述の調査で分かっています。
引用元:ロボアド「利用したい」は1割どまり 日経リサーチが調査┃Quick MoneyWorld
とはいえ、今後の伸びが期待されており日本能率協会総合研究所の調査は2023年には投資一任型ロボアドバイザーの市場が約260万口座まで伸びると予測しています。分析によると、その背景には最低投資額の引き下げや使いやすいアプリの開発といった企業側の努力と、退職金減少や年金制度の崩壊といった不安から若者の投資熱が高まっていることがあるとのこと。
ちなみに、日本証券業協会によると2020年6月時点の全国の証券会社の個人口座数の合計は約2,552万口座です。
引用元:資産運用ロボアドバイザー 2023年に260万口座規模に┃PRTimes
またロボアドバイザーと人間によるアドバイスを組み合わせたハイブリッド型のサービスも、登場しはじめています。
ロボアドバイザーのメリットは、安価・自動で分散投資を行えるという点につきます。「わからない」「リスクがある」という2つの壁から投資に踏み出せない方は少なくないでしょう。
投資について信頼できる相談役がいる人はそう多くありません。
そこでヘッジファンド・ファンドラップなど投資の専門家に相談できるサービスが利用されてきましたが、人間と接する分手間がかかりますし手数料も高まります。
そのためWebから質問に答えるだけで簡単に素早く投資アドバイスが受けられ、また手数料も比較的抑えられるロボアドバイザーが注目を集めるようになったのです。
基本的に長期・分散投資を方針としておりまた質問でリスク許容度が測られるロボアドバイザーは個人でやみくもに始める場合と比べればかなり初心者向けの選択肢といえるでしょう。
もちろんそれでも損をするリスクは残ります。また投資一任型の場合、非課税メリットが得られるNISA/つみたてNISAを取り扱えないというデメリットはあります。個人的には、NISA/つみたてNISAをすでに始められている方の次の一手として使い勝手が良いように思われます。
ちなみに、iDeCo(個人型確定拠出年金)はロボアドバイザーで取り扱い可能です。
ロボアドバイザーの具体的なサービスにはどのようなものがあるのでしょうか?
筆頭として挙げられるのが「Wealthナビ」と「THEO」です。
国内最大手のロボアドバイザーです。ポートフォリオの自動構築からリバランス、税金最適化まで自動化できるプロセスは非常に充実しています。最低投資額は10万円からですが、「WealthNavi for ネオモバ」「マメタス」のように1万円からはじめられる関連サービスも存在します。「WealthNavi for ネオモバ」はTポイントを、「マメタス」はキャッシュレス決済のお釣りを投資に回せます。
サイト:https://www.wealthnavi.com/
タイプ:投資一任型
最低投資額:10万円
手数料:預かり資産の1%
日本初の独自開発のロボアドバイザーサービスで、初期投資1万円から始められる、出入金額に応じて手数料が最小0.65%にまで押さえられる、など投資への参入障壁を下げる配慮が多くなされています。2018年にはじまった「THEO+ docomo」にはdポイントがたまる、dカードで決裁した金額の端数(お釣り)を投資に回せるなどのメリットがあります。
サイト:https://theo.blue/
タイプ:投資一任型
最低投資額:1万円
手数料:預かり資産の0.65%~1%
ほかにもロボアドバイザーには「SMBCロボアドバイザー」「ON COMPASS」「楽ラップ」「FOLIO」「マネックスアドバイザー」などさまざまなサービスが存在します。
まだまだ認知度は低いものの、そのハードルの低さから今後の普及が期待されるロボアドバイザー(AI投資)の基本についてご紹介しました。
投資×AIの最前線についてはデータのじかんの過去記事でも取り上げられています。ぜひそちらも合わせてご覧になってみてください。
【参考資料】 ・ラップ口座とロボアドバイザーの違いは?メリット・デメリットや投資サービスの比較も┃HEDGE GUIDE ・お金のデザイン、いよいよロボアドバイザーによる資産運用「THEO」の本サービスを開始┃Tech Crunch ・瀧俊雄「「ロボアドバイザー元年」を迎えた日本--投資をシステムにまかせる意味」┃ZDNet Japan ・山崎宗人・遠藤正之「ロボアドバイザーの日米比較と今後の成長に関する考察」┃経営情報学会2018年秋季全国研究発表大会 ・会員の主要勘定及び顧客口座数等┃日本証券業協会 ・米国で人気 人とアルゴリズムを組み合わせたハイブリッド型ロボアドバイザーは日本でも増加するか?┃ITmediaビジネス オンライン
(宮田文机)
メルマガ登録をしていただくと、記事やイベントなどの最新情報をお届けいたします。
30秒で理解!インフォグラフィックや動画で解説!フォローして『1日1記事』インプットしよう!