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投資予測、リスクアセスメント、ポートフォリオ管理など金融のさまざまな分野でAIの活用に注目が集まっています。金融業界のAI投資額は2020年には100億ドル規模になるという予測もあるほど。

その現状を鑑みて2019年7月30日、AI×Fintechの現在とこれからにまつわるセミナーが開催されました。場所はデータ活用を通じた企業支援を行うウイングアーク1st株式会社のコラボレーションエリア。登壇者は以下のAI×Fintechに精通した3名です。

セミナーに通底するテーマは“金融業界のトップAIが今できること”

また、後半の座談会では、「データ準備の現実」「AIの説明責任」「AI人材の採用・育成」などAI導入の検討フェーズから業務適用フェーズまで幅広く役立つテーマが取り上げられました。2時間超に及ぶセミナーの内容を圧縮したこの記事。ぜひご一読ください!

“金融のドラえもん”をつくる企業における投資予測のひみつ

最初の登壇者は、AIによる統計分析をもとにした投資予測サービスを提供する財産ネット株式会社 代表取締役の荻野調(おぎのしらべ)氏。ハーバード大学修士号、東京大学博士号取得。ソニー等で事業立上げを経験後、AI分析専門の財産ネットを起業し、フィンテック協会の理事も務めているまさにAI×Fintechのスペシャリストです。

出典:Twitter

荻野氏曰く、AIを活用するFintech企業は3つの階層に分けられるとのこと。

トップ層は、“AIの新しい可能性を開く「金融のドラえもん」をつくる会社”。

中間層は“文字認識AIや自動翻訳AIといった「金融のひみつ道具」をつくる会社”。

最下層は“トップ・中間層がつくった道具を利用したサービスを提供する「ひみつ道具を使う」会社”。

AIツール・サービス導入の検討時はまず提供企業がどの層に位置するのかを確かめることを荻野氏はすすめます。トップ層に位置するのはGAFAなど数少ない企業で、財産ネット株式会社も含まれるとのこと。

そんな財産ネットが提供するAIの株価予測の的中率は80%超。荻野氏はその背景にデータ分析への深い理解があるといい、データ量以上にデータの質を重視すべきだと主張します。膨大な株式データには偶然生まれた需給バランスや突発的な事件・災害などにより生まれるノイズが含まれます。ノイズと価値あるデータを判別できるAIこそが株価予測において有用だと荻野氏。

テストにてFacebookのAI「Prophet」を8.9%上回る88.9%の予測的中率を記録したという財産ネット株式会社の予測AI「Phantom」。その的中率の背景にはデータサイエンスへの理解と、徹底したデータの質へのこだわりがあるのです。

AIによるリスク管理の最前線

続いての登壇者は株式会社MILIZE執行役員 AI/FE部長の伊藤優氏。MILIZEは個人・企業・FPの業務・資産運用をAIと金融工学を用いてサポートする企業。その領域のうちリスク管理にフォーカスして講義は行われました。

出典:株式会社MILIZE 会社概要

アジェンダとして挙げられたポイントは以下の5つ。

  1. テキストマイニングによるアナリストデータのスコアリング
  2. ティックデータ・板情報を活用した株価変動予測
  3. 経験的モード分解(EEMD)と機械学習モデルを用いた金融時系列予測
  4. 機械学習による有価証券ポートフォリオのパフォーマンス予測
  5. コンシューマファイナンスの信用リスク管理へのAIの適用

アナリストデータ・ティックデータ・板情報・有価証券ポートフォリオ……。株式予測の材料となる各データにはそれぞれ「量が膨大で読み込む負荷が大きい」「非線形性・非定常性が強く時系列変化が予測しにくい」といった課題が存在します。データ分析ノウハウとAIを活用することでそれらを解決し、予測精度を高め投資リスクを軽減できると伊藤氏は話します。

また、筆者が興味を惹かれたのは「5」の内容。返済期限が遅れている債務者への督促を最も効率的に行えるかを、債務者ごとの過去の返済データや時期をもとにAIが判定してくれるというのです。架電当たりの回収率が47.2%改善されたという結果に驚くとともに、みずほ銀行とソフトバンクが共同出資したJスコアのような、個人の信用度をAIが格付けするツールが当たり前のものとして日本で普及する未来を垣間見たように感じました。

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