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意思決定フレームワーク DACIモデルとは? RACI、RAPIDとの違いや、活用の4ステップを解説!

         

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざの通り、人間の知性はコミュニティと接続されることで何倍もの力を発揮します。しかし、日本には「船頭多くして船山に上る」という言葉も。「合意形成を重視するあまりスピード感を持って動けない」というのはチーム作業で本当によくある失敗パターンですよね。
そこでご紹介したいのが、意思決定を最短で行うためのフレームワーク「DACI」モデルです。
“実際に活用する”という視点から、DACIモデルの使い方を押さえましょう!

DACIモデルは4つの役割で構成される! RACI、RAPIDとの違いは?


DACIモデルは以下の“4つの役割”を組織のメンバーに当てはめることで、役割効果を引き出しスピードの速い意思決定を可能にします。

【D】Driver:意思決定を推進する
【A】Approver:意思決定を承認する
【C】Contributors:プロジェクトに知識や行動を持って協力する
【I】Informed:意思決定の進捗や結果を知らされる(それの内容を仕事に反映する)

DACIモデルは1980年代、米会計ソフトウェア大手Intuit社でRACIモデルを下敷きに確立されました。RACIモデルは以下の4つの役割をチームメンバーに与えます。

【R】Responsible :プロジェクトを推進する
【A】Accountable:プロジェクトの結果に責任を持つ
【C】Consulted:プロジェクトに対し、助言を与える
【I】Informed:プロジェクトの結果を知らされる

DACIはRACIの各役割ををより「意志決定」という目的に対してソリッドに定義しなおしたものだといえるでしょう。「推進」「承認」「協力」「反映」とそれぞれ具体的な目標がゴールにあるのが特徴的です。

類似する意思決定のフレームワークに「RAPID」もあります。

【R】Reccomender:意思決定の必要性を見出し、推進する
【A】Approve/Agree with:意思決定について賛意を示すあるいは承認する
【P】Perform:決定事項を実行に移す
【I】Input:意思決定について相談を受ける
【D】Decide:意思決定の最終的なGOサインを出す

こちらもRAPID(急速)という言葉の意味する通り、スピード感を持って意思決定を下すことをサポートするフレームワークです。意思決定の最終判断(Decide)と、意思決定後の実行フェーズ(Perform)についても定義されており、判断することそのものが重要な場合は「DACI」を、意思決定後の実行フェーズも重要な場合は「RAPID」を、と使い分けるのがおすすめです。

DACIを実際に活用するための4ステップ


4つのステップでDACIの具体的な活用イメージを描きましょう。

1.タスクを最小単位に分解する

DACIは組織が行う最小単位の意思決定を最速で行うことに最適化されています。しかし、多くの意思決定は、小さな判断の積み重ねの結果、下されることになります。例えば、BIツールを新規導入するならば、そもそもの導入可否、予算の策定、製品選びなど複数のタスクが発生します。プロジェクトをタスク単位に区分けすることは、DACIの下準備としてかかせません。

2.役割をDACIそれぞれに振り分ける

それでは、DACIそれぞれの役割を振り分けていきます。
DriverとApproverは、一つのタスクにつき「1人」とお考え下さい。なぜなら、DACIプロジェクトは何よりもスピーディに意思決定を行うことを目的としているからです。ボールを持つ人、決定を承認する権限を持つ人はそれぞれ一人であるべきです。やむを得ず2人以上になる場合もあるかもしれませんが、なるべく少人数にするよう心がけましょう。
Contributorsはプロジェクトの推進者であるDriverが選出する権限を持ちます。Informedは、意思決定の影響を受ける利害関係者全員です。

3.ロードマップと期限を設ける

役割が振り分けられたら、意思決定までのプロセスや期限など具体的なポイントを、Driver、Approver、Contributorsらで決定します。どのくらいの頻度で進捗報告を行うのか、プロジェクト管理はどのツールで行うのかなど細かいところまでここで確定します。基本的にはこれらもDriverが策定し、Approverの承認を得て定めることになります。

4.実行する

Contributorsの助けを借りつつ、Driverが材料を集め、定められた期限までに結論を出します。Approverからの承認が得られなければ、再度期限を定めなおしてやり直すことになります。これらの過程はアクションごとにInformedらにも知らされていなければなりません。

DACIモデルの注意点


DACIモデルを実際に活用する上で、注意すべきポイントを押さえましょう。

複雑さや見落としにより柔軟な調整が必要な場合はある

先ほど、意思決定のタスクを最小単位に分ける必要があるといいました。
しかし、現実には一つのプロジェクトに関わる条件は複雑に絡み合っており、簡単に分割できるものではありません。例えば、新ツールの導入の場合、予算が決まればある程度ベンダーや機能なども決まってきてしまいます。
また、承認が下りた後で、まだ勘案すべきだったという事項が発生したり、現実的に不可能なこととが明らかになったりすることもあります。
そのような問題が発生することはDACIモデルを用いても避けられえません。しかし、どんな場合でもDriverがハンドルを持つという基本に立ち返り、体制を立て直しましょう。フレームワークに現実を合わせるのではなく、現実に合わせて上手く調整するのがフレームワーク活用のコツです。

DACIで最も重要なのはDriver

DACIそれぞれの役割を全員が守ってくれるとは限りません。
ApproverがDriverの意思決定のプロセスにまで関与したり、Informedがアドバイスや要望をDriverに知らせてきたり……「良かれと思って」振り分けられた役割が曖昧にされることは良くあります。
そして、彼らが役割を完璧に守ることが「良いこと」とも限りません。思わぬ視点からの意見が意思決定に大して重要な気づきとなることは良くあります。
重要なのは、やはりここでもDriverです。基本的な役割を最初に決めたうえで、自分の見えてくる景色に従って、Contributors以外の意見を取捨選択したり、ルールの逸脱を指摘したりしましょう。
DACIの最大の利点は、Driverに推進者としての役割を集中させることで、意思決定が停滞する状況を回避できることにあるのです。

終わりに


人間は本質的には“マルチタスクができない”
と言われています。中には、マルチタスクによって、生産性が40%低下するという研究も。

DACIモデルにより役割を振り分けることは、人間に役割を与えシングルタスクに取り組める状況を作り出します。それはすなわち、組織という巨大な脳の生産性を大幅に高めることに直結するはず。
アトラシアンが公開しているテンプレートなどを参考にシートを作成し、明日・今日の会議から活用してみてください!

(宮田文机)

 

参照元

DACI 意思決定フレームワーク┃ATLASSIAN ・DACI: Top Decison-Making Framework┃project-manegement.com
・Erik Larson『Here’s What To Do When DACI Decision-Making Falls Short』┃Forbes
・佐々木大輔『DACI – 動かす人、決める人、貢献する人、そして、知らされるだけの人』┃note
・佐藤 剛『組織における意思決定の特徴』┃GLOBIS知見録
・Jon Huggett, Caitrin Moran『RAPID Decision-Making: What It Is, Why We Like It, and How to Get the Most Out of It』┃The Bridgespan Group
失敗しないデータガバナンスのススメ ~最初のプロジェクトの見つけ方とDACIフレームワークの活用┃Infomatica
Multitasking: Switching costs┃american psychological association

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