前回、会社の中にある「データ」は、私個人の業務や現場の視点からでは「分からないことだらけ」だということが、あらためて分かりました。では、どうしたら社内の「データ」が把握できるようになるのでしょうか?
前回、社内の業務や部署ごとにさまざまな「データ」があることを確認しました。そして立場の異なる視点を3つ例に挙げました。
それぞれの視点から見た「データ」に関わる課題も次の3つに分類できます。
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何ができないのか以前のなぜできないのかが、少し見えてきたと思います。では、実際に「データ」がある場所を確認してみましょう。
こうしてあらためて「データ」のある場所を見ると、意外に整理されているように見えますね。「データ」のある場所が分かっているのに、把握できないために「使う」ことに支障がある。なぜでしょう? たとえば、「目的」を持って、何か知りたい場合の「データ」の場所を整理してみましょう。
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同じ営業担当者でも「目的」と「何がしたい」かによって、欲しい「データ」のある場所が違うことが分かるでしょう。つまり目的さえ明確なら必要な「データ」までの道順はおのずと見えてきます。
「だれが? 何を? どうしたい? 」が分かれば必要な「データ」にはたどり着けるのです。
しかし、日常業務ではそうなっていないのが実情です。なぜなら、担当者の目的を聞いて「データ」までの道筋をたどって集めてくるのは、ITシステム部の担当者だからです。
実際の業務では、担当者が何かを知りたい場合、ITシステム部の担当者に「データ」に基づいたレポートの作成を依頼します。下の図のようにレポート作成には、依頼と回答の流れがあります。
依頼する人からは、「データ」そのものは見えません。ITシステム部の担当者に自分の目的を伝え、回答を待ちます。
ITシステム担当者から見ると、さまざまに異なる目的の要件の依頼に対し、該当する「データ」を集めてレポートを作成し、回答します。
その結果、生じるのが……。
なぜ「データ」を必要としている人は、ITシステム部にレポート作成を依頼するのでしょうか? 一般的に理由は2つです。
つまり、課題①の「使いづらい」ことが原因なのです。
さらにITシステム部はそこにどんな「データ」があるかを把握していますが、利用者が「どう扱うのか」を把握できなければ、どこまで「データ」を追えば良いのかが判断できません。
そのため、課題②の「使えるか分からない」が発生し、レポートを受け取った側が「期待と違う」という不十分な結果を生んでしまいます。
そのようなやり取りを重ねても、不十分な「データ」から価値あるレポートは生まれなくなり、課題③「使い方が分からない」が蔓延していくことになります。
目的を把握できないITシステム部担当者は、情報の整理に追われてしまいます。もう一度、「データ」への道順を確認しましょう。
「データ」を「使う」のは、レポートの依頼者本人です。しかし、その人がデータの収集・分析・レポート作成を、第三者に依頼していることが4つめの課題を生じさせているのです。
従来、アナログ的な事務処理で、実は誰もが行っていた「データ」の取扱が、業務のIT化により専門部署を介して全社的な「データ」活用に発達しました。しかし、さらなる社会のIT化により、膨大な「データ」の発生加え、あらゆる業務が迅速かつ多様な「データ」の活用が求められるようになりました。
第1回から第3回までで「データ」とは、自分の業務にも無関係でないこと、むしろ自分自身で使う必要があるものだということがイメージできたのでは? そして、次の言葉に同意していただけるのではないでしょうか。
「データ」を必要としている人が見たいときに見られる。
そうすれば、課題は解決できるのです。
次回は、そのために役立つツールとしての「BI」(Business Intelligence)について見ていきます。「BI」と聞いても、それが自分とは無関係なIT用語でないことは、もうお分かりだと思います。
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