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あなたの組織がデータを活かせていないワケ ~データ分析STEP2~

         

STEP1でお話した「自分が何を知りたいのか」ははっきりしたとしましょう。ところが、いざデータを使うとなると、途端にこの目的から飛躍してしまう人が多いのです。

例えば、「売上減の要因をデータから探り、適切な対策を講じたい」という目的を決めたとします。目の前には売上実績データがあるので、それをグラフなどで可視化して、「何か見えないかな」といじってみる・・・。

そういうアプローチをやっている間は「データを活用して問題解決」は到底できません。

その内容は具体的か?

STEP2のここで問い直して頂きたいのは、自分が知りたいこと(目的)を示すデータ(指標)は何なのか?です。

それは必ずしも今目の前に準備されたデータの中にあるとは限りません。

仮にあったとしても、課題を深掘りするのに最適な形になっていないかもしれません。そのことを考えずに、「まずはこれらのデータを眺めてみて」では、本来そこに埋まっている大事なポイントが見えなくなっている可能性があります。

一例として、先の「売上減」とは一体どういう指標で具体的に課題把握すればよいのでしょうか?

  • 売上額の減少幅?(では、いつと比べて?)
  • 売上額の前年同期比?
  • 売上額の前月変動比?(額?) 
  • 売上額の商品構成比? 競合比  など

「売上減」だけでもこれだけの選択肢がありますね。そして、どの指標で課題を見るのかによって、見える結果が違ってきます(課題として特定される対象が変わります)。見える課題が異なれば、その裏にある要因や、必要な対策も変わるのは当然です。

このようにポイントが複数特定されるならまだマシです。

実際は、適切に指標が設定されないがために、本来見えるはずの問題が見つからないという状況に陥っているケースを多く見かけます。

これって本当にデータを活用した客観的なアプローチと言えるのでしょうか?

客観的に見るために必要なもの

他にも、顧客属性ごとにデータを分類したは良いものの、そこから各属性の良し悪しを評価する段になって、分析者の主観で判断、その結果、なんだか恣意的で、「そんなこと君、分析前から分かってたんじゃないの?」と言われてしまう当たり前の結果しか出てこなかったりするのです。皆さんにも身に覚えがないでしょうか?

この状態では、どんなに精度の高いデータや分析手法も、どんなに高価な分析ツールも、すべて宝の持ち腐れです。

これらを防ぐために必要な今回のポイントは以下の通りです。是非実践してみてください:

  • 目の前にあるデータを思考停止したまま使おうとしない
  • 知りたいことがはっきりしたら、その内容をデータ(指標)に落とし込めるレベルまで具体化する

[連載] あなたの組織がデータを活かせていないワケ


・STEP1:目的(課題や知りたいこと)は明確か?
・STEP2:その内容は具体的か? 本記事
・STEP3:結論の良し悪しは「使うデータや分析手法」ではなくアレで決まる!
・STEP4:データから“厚み”のある情報を引き出すには
・STEP5:データからストーリーを導くには 

・STEP6:データにストーリーを語らせる

 

お話をお伺いしたDataLover:柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)

データ&ストーリー LLC代表  http://data-story.net/
データ分析・ロジカルシンキングを武器とした課題解決トレーナー
横浜国立大学非常勤講師 多摩大学大学院客員教授
慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中、欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を歴任。 グローバル組織で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。2014年、プロの実務家、ビジネススキルトレーナーとして独立。データ分析を“活用”するための思考法、分析力を分かり易く伝えた著書や講義には高い定評がある。
著書に 
「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本/日本実業出版社
データ競争力を上げる上司、下げる上司/日経BP社

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