INDEX
二次利用が広く許諾されたオープンデータは、データの価値が石油に例えられる現代において”コストゼロで手に入る事業のエネルギー源”となる可能性を秘めています。オープンデータの公開に取り組む都道府県数は2018年3月に47都道府県に到達。全自治体では、2022年1月12日時点の報告によると、約68%(1,223/1,788自治体)に達しました。
そこで本記事では、意外なオープンデータの活用事例を、利用されているデータとともにご紹介します!
出典:「筆ポリゴンデータ」(農林水産省)(2022年4月29日)
営農に関するテクノロジーを衛星データとAIで実現する事業に取り組んでいる株式会社sagriは、農林水産省統計部から公開されている国内農地の区画情報(筆ポリゴン)といったオープンデータを利用して、世界中の農地のポリゴン化とそれを利用したサービス創出に取り組んでいます。
GISマップ上に表示した空中写真データを手作業で線上の区画情報に起こした筆ポリゴン。スマート農業のインフラとして活用可能性に期待が寄せられています。
■サービスリンク:https://sagri.tokyo/technology/
■オープンデータリンク:https://www.maff.go.jp/j/tokei/porigon/
出典:カーリル「図書館API」のスクリーンショット
オープンデータの利用の形として一つ上げられるのが、バラバラに提供されるデータを一カ所に集めることで、新しい活用可能性を開くというものです。カーリルは全国7,300以上の図書館でバラバラに提供されている蔵書情報・貸出状況を一カ所に集め、それらを一挙に検索することができる「図書館API」を提供しています。また同時にAmazonなどの書誌データベースにも検索をかけられるのがカーリルの提供するサービスの特徴。本の購入の動線としても機能しているのです。
■サービスリンク:https://calil.jp/
■オープンデータリンク:https://calil.jp/doc/api.html
出典:Tellusのスクリーンショット
駐車場検索サービス「akkipa」に使われているのが、経済産業省の「政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利活用促進事業」の一環として、さくらインターネット株式会社より提供されているTellusです。資産調査、ロジスティクス、都市計画など衛星データにはさまざまな利活用の可能性がありますが、一企業が取得し分析するまでにはなかなか高いハードルがあります。しかし、2019年2月にTellusがリリースされたことで誰でも無償で衛星データを利用できる環境が生まれました。
衛星データから空き駐車場を探すというのは卑近な例ですが、それだけに衛星データの可能性の広がりが感じられます。
■サービスリンク:https://www.akippa.com/
■オープンデータリンク:https://www.tellusxdp.com/ja/
出典:MusicBrainzのスクリーンショット
スウェーデン発、音楽ストリーミングサービスSpotifyは、全世界で4億人以上の月間アクティブユーザーを抱える、まさに巨大音楽プラットフォームです。アーティスト名、タイトル、言語、日付など音楽に付随するメタデータは、実はオープンデータプラットフォームMusicBrainzから提供されているのです。さらに、Spotifyに蓄積されたメタデータはSpotifyのWEB APIを介し、ユーザーやプレイリストの情報なども合わせて取得することができます。
■サービスリンク:https://www.spotify.com/jp/
■オープンデータリンク:https://musicbrainz.org/
出典:『新型コロナウイルス感染症対策関係:全国医療機関の医療体制の状況(G-MISデータ)及びオープンデータを公開しました(β版)』のスクリーンショット(2022年4月29日)
政府CIOポータルが選定した「オープンデータ100」にも掲載されている「病院Map検索」は地図上でエリアを絞り込んだうえで素早く病院を検索できるWebアプリケーションです。「新型コロナモード」と「通常検索モード」の2つのモードを持ち、前者を選択すれば新型コロナ感染症対応の病院を絞り込むことができます。使用されているオープンデータは政府CIOポータルの新型コロナウイルス感染症対策関係のオープンデータや、厚労省の保険医療オープンデータなど。
ほかにも東京都の新型コロナダッシュボードなど、コロナ禍への対応にオープンデータは積極的に活用されています。
■サービスリンク:https://www.pib.co.jp/company/hosmap.html
■オープンデータリンク:https://cio.go.jp/hosp_monitoring_c19、https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000177182.html
オープンデータのユニークな活用事例についてまとめてご紹介してまいりました。無料で使えるオープンデータソースについてまとめて知りたい方はコチラの記事をご参照ください。また、Googleはオープンデータのための検索エンジン「Dataset Search」も提供しています。
良質なデータセットは、アイディアの源泉ともなります。みなさんも独自の組み合わせ方、使い方を見つけましょう。
【参考資料】 ・グーグル、オープンデータのための検索エンジンを発表┃国立情報学研究所オープンサイエンス基礎研究センター ・オープンデータ取組済自治体を更新しました┃デジタル庁
(宮田文机)
メルマガ登録をしていただくと、記事やイベントなどの最新情報をお届けいたします。
30秒で理解!インフォグラフィックや動画で解説!フォローして『1日1記事』インプットしよう!