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インターネットインフラサービスを提供するさくらインターネットは、経済産業省の「平成30年度政府衛星データのオープン&フリー化及びデータ利用環境整備事業」に係る委託先としての契約を2018年5月9日に締結し、オープンかつ無料で利用できる日本初の衛星データプラットフォーム「Tellus」の開発・利用を促すアライアンス「xData Alliance」を発足したことを発表しました。
今回は、この発表に関係する「Tellus(テルース)」および「xData Alliance(クロスデータアライアンス)」の2つの用語について解説します。
Tellusとは、日本初の衛星データプラットフォーム。
さくらインターネットが経済産業省からの委託を受け、同社の5PB(ペタバイト。1テラバイトの1000倍)の大規模ストレージを生かして開発が進められます。JAXAの所有する「だいち2号」のSAR(合成開口レーダー)画像のデータなどが対象。衛星データを無償かつ商用利用について制限なく(オープン&フリー)提供することで、今まで一般人にはあまり馴染みのなかった衛星データの利活用を促進する狙いです。
xData Allianceとは、上記Tellusの開発への貢献とデータ利用促進を目的として組成されたアライアンス(企業同士の連携)であり、2018年7月31日に発足しました。このアライアンスには、AIの社会実装事業を展開するABEJA、『お金2.0』執筆者の佐藤航陽氏率いる仮想地球プロジェクトEXA、社会実装を目的としておりメルカリの研究開発部隊であるmercari R4Dなど、宇宙ビジネスとは異なる業種の企業が参画。そのほか、IncubateFund、B Dash Venturesなどベンチャーキャピタル6社が投資領域として参加します。リーダーには東京大学空間情報科学研究センター教授の柴崎亮介氏が就任しました。
メンバーは各々の知見を生かし、主にユーザーの視点からの提言(プラットフォームの使いやすさ向上のための提言など)を通じて、Tellusの開発に貢献します。全国各地でデータサイエンティストを対象としたセミナーやコンテストの開催、Webでの情報提供など利用促進施策を実施予定とのことです。
Tellusは2018年内にベータ版を、2019年2月下旬には正式版を提供開始予定です。なお、当初3年間は政府受託事業として研究者や学生などさまざまなユーザーを対象に無料枠を設け提供しますが、4年目(2021年度)からは完全に民営化される予定となっています。
そもそも衛星データを利用するには専用ハードが必要で、初めから大規模投資や人材確保をしなければならないなどの課題がありました。しかし、イノベーションを起こすには、このコストを下げなければなりません。さくらインターネットは、宇宙データを利用することが前提の社会を作ることを目的とし、TellusおよびxData Allianceの取り組みを進めていきます。
ちなみにJAXAは上記の「宇宙でパラパラ漫画は動くのか!?」などの人気漫画「宇宙兄弟」とのコラボレーション動画もJAXAのYOUTUBEチャンネルで公開していたりもします。意外とお茶目な一面もあるんですね。
本事業の背景にあるのは、政府が提唱する「Society5.0」というコンセプト。Society5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムであり、人間中心の社会のことです。狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、5番目の「社会」になります。
Society5.0下では、様々な業種・企業・人が繋がることで新たな価値が生まれ、社会課題が解決されます。これにより、経済発展と社会的課題の解決を両立できるとともに、日本が「課題先進国」として世界のロールモデルとなれるのです。
TellusおよびxData Allianceの事業は、日本で新たなイノベーションが生まれるきっかけとなるでしょう。今後、新たな価値を生み出すプラットフォームが続々と誕生し、それによって社会課題が解決され、Society5.0が実現される未来が楽しみです。
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(安齋慎平)
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