データのじかんでは前回、こんな記事を書きました。
意外と好評だったので、各々のキーワードを見ていくことにしましょう、今回は「CX」について見ていきます。
上記記事では、以下のように説明していました。
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CXで定義されるものとして1つはCX(カスタマー・エクスペリエンス)のことであり、それは顧客体験という意味です。具体的には商品やサービスを購入する前の対応から購入後のサポートまで、顧客が自社商品に関して体験したすべてを指します。つまりCX(カスタマー・エクスペリエンス)の向上が企業にとって、ロイヤルカスタマーやリピーターの獲得、競合との差別化につながる重要な戦略となります。
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一方、似たような意味の用語にUX(ユーザー・エクスペリエンス)というものがあります。これは以下のような意味です。
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製品やサービスなどを利用して得られる「ユーザー体験」のこと。 Webインテグレーション コラム – 富士通
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まとめると、UXは製品やサービスを利用して得られる「ユーザー体験」のことですが、CXは「商品やサービスを購入する前の対応から購入後のサポートまで、顧客が体験したすべて」を指します。CXのほうがチャネルの幅が広いということがわかりますね。
CXと似たような言葉はほかにもあります。CSという言葉を聞いたことがあると思いますが、CXとCSの違いは何なのでしょうか?
CSとは以下のような意味です。
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CSとはCustomer Satisfactionの略称で、顧客満足のこと。購入・利用した商品やサービスに、顧客がどの程度満足したかを数値化したものを指す場合が多い。
(人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ)
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つまりCSというのは、顧客満足度のことを指します。一般的にCSは顧客対応のマイナス部分の改善や満足度の維持のための指標ですが、CXは顧客の期待を上回ることに重きを置いています。CXとCSはまったく異なるものなので注意しましょう。
CXは、2000年ごろから注目され始めたと言われています。すでに20年以上の歴史があるのですね。なぜCXが重視されるようになったのでしょうか?
それは、ほとんどの業界に当てはまることですが、自社製品・サービスを他社と差別化することが難しくなっているからです。機能や性能、価格などだけでは自社の特色を押し出すことができず、自社製品を顧客に選んでもらうことが難しくなっています。CXを重視することで、感情面で顧客に訴えかけ、差別化を図ることが可能です。
Rtoasterというサイトによれば、CXを向上させるためのステップは以下の通りです。
まずは顧客の理解が必要です。年齢や性別、SNSや位置情報などの情報を取りまとめ、顧客プロファイルを作成します。このような作業は、顧客ニーズの把握に役立ちます。集約した情報によって「ペルソナ」を立て、想定顧客として今後に活かすのも良いでしょう。
次は顧客への個別対応の実施です。上で作成した顧客プロファイルを元に、顧客1人ひとりの状況に合わせて情報発信をします。これにより、顧客が情報を受け取る確率が高くなります。少しでも情報を受け取ってもらえる可能性を高められるよう、情報発信の内容は魅力的なものにする必要があります。
そしてCXの分析と見直しです。実施したCX体験が有効であったのか検証します。この際、検討から購入、購入後の利用体験など、各フェーズに分けて分析を行うのがコツです。分析が終わったら問題点を洗い出し、次のCX体験のために活かしましょう。なお、CXの対象者は多岐に渡るため、顧客ごとに分析していく一定の時間が必要になります。
CXを進める際に、携えておきたい武器があります。それが以下に挙げた3つです。
カスタマージャーニーマップとは、「商品やサービスの購入までのプロセスを顧客の行動パターンを、思考や感情も踏まえて分析できるフレームワーク」のこと。これを活用すれば商品やサービスのアプローチを最適化でき、CX向上の強い味方になります。
ミッションステートメントとは、「企業の行動指針」のこと。企業の経営理念は抽象的になりがちですが、それを実行するために設けられたものが、このミッションステートメントになります。これにより、社員に対して行動指針を浸透させることができますし、顧客に知ってもらうことで顧客からの信頼を得ることができます。
One to Oneマーケティングとは、個人個人のニーズや購買・行動パターン、興味・関心、趣味嗜好などに合わせてマーケティングを行うこと。これによってCXが向上し、その結果、リピーター・新規顧客の獲得はもちろん、顧客ロイヤルティの確立などブランディング向上にもつながります。
CXの成功事例はいくつかありますが、ここでは「スターバックス」の例を挙げたいと思います。スターバックスは顧客に対し、「スターバックス体験」を提供しているといいます。これに関しては日経クロストレンド Specialの記事が詳しいのですが、スターバックス体験とは①PARTNERS、②PRODUCTS、③STORE PORTFOLIOSの3つの要素から成ります。
①PARTNERSは従業員のこと。スターバックスの従業員は顧客に対して最適な接客を行うことを心掛けており、それがスターバックス体験の大きな要素の1つになっていると言います。
②PRODUCTSはスターバックスでしか手に入らない商品のこと。スターバックスでは定期的に期間限定の飲み物を販売していますが、あれはスターバックスでしか提供できない価値であると言えます。
③STORE PORTFOLIOSは、居心地の良い空間のこと。ふかふかのソファや眺めの良さなど、スターバックスは居心地の良い空間になっています。加えて鎌倉や太宰府などに代表されるご当地デザインのスターバックスは、その地域に確実に浸透しています。
これら3つの要素によって、スターバックスはCXに成功しているのです。
以上、今回はCXについて見てきました。一言でCXと言っても、実際は奥深いものであることがわかると思います。今後も詳細な用語解説を行っていきますので、乞うご期待!
【参考引用サイト】 ・ユーザーエクスペリエンス~3つの観点から理解するUXの本質~:Webインテグレーションコラム-富士通 ・「CS」とは_用語集_人材育成・研修のリクルートマネジメントソリューションズ ・CXとは?顧客体験向上の事例や成功ポイント解説|Rtoaster - Webもアプリもパーソナライズ(アールトースター) ・カスタマージャーニーマップとは?作成手順7ステップや作成ツールを紹介 _ WEB集客ラボ byGMO(GMO TECH) ・ミッションステートメントとは?重要性や作成方法を事例を踏まえて解説_オンライン研修・人材育成-Schoo(スクー)法人・企業向けサービス ・カスタマーエクスペリエンス(CX)とは_向上させるための3つのアプローチ|デジタルマーケティングソリューション|日立ソリューションズ ・スターバックスの考えるデジタルCXとは - 日経クロストレンド Special
(安齋慎平)
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