ビジネスにおいて「財務」という言葉は、その文脈や用途からさまざまな意味を持つものとして使用されます。それだけに、理解が不足していると相手に伝わりづらく、コミュニケーションを難しくしてしまう原因にもなりかねません。一方で企業にとっての財務とは、数字的な意味合いがもっとも大きいはずであり、さらにその回答は常に一定レベルの正確性を持っているため、正しく用いることでビジネスを円滑に進める指標にも成り得るものなのです。
またシステムという観点では、財務と非常に相性の良いITが企業に広く採用されています。現在ではほとんどのフローがデジタル化されているほど一般化し、さまざまなソリューションが基幹システムに用いられているのはご存知の通りです。ただし、その数字をビジネスへ活用するためには、数字の意味を知り、正しく相手に伝えることが重要となります。それができるようになれば、数字から見えてくる成功の鍵や落とし穴の早期発見に繋げられ、企業や取引先にとって有意義なデータ活用として新しい情報の提示が行えるはずです。
財務データを正しく伝えるには、まず最初に担当者自身が財務について詳しく知っておく必要があります。会計全般の用語はもちろんですが、企業内で独自の専門用語を使っているケースもあるので、それらを理解しておくことも大切です。
ただし、こうした専門用語は経営層の間だけで通じる言語となっている可能性も高く、財務データを戦略的にビジネスへ活用しようとする際、障害になることも考えられます。一般職やIT技術者がこれらの言葉に触れる可能性がある場合、細かいニュアンスまで伝わらず、結果的に発信したい情報のすべてが失われてしまうことさえあるのです。このような事態を回避するためにも、財務データ活用を実践する前に、企業内の用語をなるべく一般的に使われているもので統一する、あるいはもっと簡単にする努力も必要でしょう。
企業の財務データは多岐に渡るため、すべてを開示して相手に説明しようとすれば、たちまち混乱が起こります。また、セキュリティやコンプライアンスの観点からも、今あるデータをすべて公開することは避けるべきでしょう。
この場合に大切なのは、言いたいことに関連する情報のみに絞って伝えることです。データ活用に最適な情報を分類し、それを正当化するためのデータのみを公開し、あとは担当者が使うだけのものとして管理すれば十分なのです。これを実行するだけで、資料制作の負担を大幅に軽減できるだけでなく、伝える相手にも不必要な情報を与えず混乱も少なくなるはずです。
また、これはプレゼンテーション全体にもいえますが、特に財務データのように一部の人にとっては見慣れない数値の推移などを含む情報の場合、ビジュアルに訴えることも大切です。数値の一覧表を長々と解説するよりも、ひとつのグラフを提示すれば事足りることの方が多いという事実を知るべきです。
財務データを活用する場合、形式や正当性を重視するあまり、どうしても複雑かつ硬い表現になりがちです。しかし、ビジネスでの活用を考えるならそれらは不要といえます。もちろん数値の改変などは厳禁ですが、回答を正当化する情報だけあれば、要点は伝わるはずです。なるべくシンプルに、相手に響く方法で財務データを上手く共有し、ビジネス活性化に繋げてください。
(企画・構成・デザイン:野島光太郎)
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