本記事は「データマネジメント・ラジオ」に配信されたコンテンツを許可を得て掲載しています。(放送日は2024年09月23日)
特集「データマネジメント・ラジオ」へようこそ!データマネジメント・ラジオは、「データ横丁」が運営するラジオ番組。パーソナリティのよしむらさんといずみさんが、データマネジメント業界で活躍する人々や、これからデータマネジメントを目指す人々からのお便りや質問に答えながら、ゆるーく語り合う番組です。
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いずみさん
データマネジメント・ラジオ、いずみです。 今日は、DM界隈で話題のデータスチュワードについての雑談会をお届けします。
出演は、よしむらさん、前回ゲストのMetafindの鶴田さん、 そして、いつもそばにいるデータ総研の小川さんです。それではどうぞ。
小川さん
データ総研小川です。皆さんよろしくお願いいたします。鶴田さん、大変ご無沙汰しております。
鶴田さん
お久しぶりです。
小川さん
何年ぶりだかというところで、よしむらさんもまた今回もよろしくお願いします。
今回なんですけど、せっかく鶴田さんいらっしゃったので、確か最近書籍出版されて、データスチュワードシップと合わせてDMBOK2の改訂版と出されたのかなと思っています。
思い返すとDMBOKというのがよしむらさんも僕も聖典として見てきたのかなと思っていて、そこの本で一番難しかったのって何かなって今思い返すと、とにかくデータマネジメントというのとデータスチュワードシップという言葉がいっぺんに出てきて、そこにデータガバナンスという言葉が入ってきて、一体何のことを言っているんだろうというのがさっぱりわからなくなったという記憶があるんですけど、鶴田さんの目から見てそこって何か明確な違いってあります?
鶴田さん
結構難しいですよね。データマネジメント、データガバナンス、データスチュワードシップ、いろんな言葉が出てきてますけども、まずはデータマネジメントって何という基礎的なところからいくと、私が思っている定義はデータが有効活用されるように適切に管理すること。
これがデータマネジメントだと思っております。
例えば全社のデータアーキテクチャー整備しましょうねとか、メタデータ管理しましょうねとか、統合基盤構築しましょうねとか、マスターデータ整備しましょうねとか、これらがいわゆるデータマネジメントというものです。
ただこういったデータマネジメントやりますよって言っただけじゃなかなか実現はしなくて、ちゃんと組織として取り組むのであれば、あるべき姿というのをまずはちゃんと置いて、それに向かうために必要なルールとか体制とか、あとはどういうふうに運用するのか、ちゃんとルールを守っているかどうかというのをどう監視統制するのかというのがデータガバナンスに当たります。
ただルールを作って運用手順を定めれば、それでことが進むかというと、そうでもないですと。
ちゃんとデータガバナンスを確実に行うためには、やはりちゃんと各業務データに関する知識があって意思決定できる人というのが必要になってきますよね。
じゃないと、このデータ使っていいかどうか判断できる人がいないとか、このデータって何というデータの意味を答えられる人がいない、データ品質を改善したいんだけどその責任を担ってくれる人がいないというふうになってしまって、データガバナンスというのは単なる枠組みでしかなくなってしまって実現しないですよと。
そうならないためにもしっかり正式な役割として、業務部門のほうにデータスチュワードという役割担当者というのを置いて、データガバナンスを実現するためにデータスチュワードさんがいろんな活動業務を行う必要がありますと、その活動をデータスチュワードシップというふうに呼んでおります。
実務におけるデータスチュワード
小川さん
非常に分かりやすい説明ですよね。
よしむらさんそこの辺って実務やりながら何か意識されていたりします?
よしむらさん
そうですね。その業務側に人を置かなきゃいけないというところで結構信頼できる人を置いていて、あんまりスチュワードって何というか名前がまだ浸透してないなという感じがあるので、僕はスチュワードだと思っているって人を配置してますね。
小川さん
なるほど。一番最初に難しかったのはスチュワードって言葉が日本になかったじゃないですか。
英語はあったのかもしれないですけど、スチュワードって言われたときに想定する役割像とか人物像が全然想定できなくて、一体この人は、翻訳すると管財人とか書いてあってさらに分かんなくなってですね、そこら辺を意味解釈するのにとんでもなく時間がかかって、言ってみれば要件定義したりとか業務詳しくて意思決定できる人であるとかっていうところに行き着くのは分かったんですけど、ピンとこなかったんですよね、その当時。そこら辺って鶴田さんもコンサルやりながら、お客さんってどうですか、スチュワードすぐスッと入ってくる人っていらっしゃいます?
鶴田さん
DMBOK読み込んでいる方は、データスチュワードっていうふうにご理解いただく方もいらっしゃいますけども、一般的に小川さんおっしゃる通りデータスチュワードって日本だとまだ馴染みのない、だんだん定着しつつ言葉ではあるものというふうに思ってますけども、じゃあスチュワードってなんだろうというのを考えたときに、さっきおっしゃった執事とか管財人ですけども、その人は結局主人というかオーナーがいて、例えば執事であれば、執事にはもちろんご主人様がいて、その人の例えばお金回りとか、その人、主人の持っている何か家財とかそういったものを主人に代わって管理する方。
お金の管理とかもきっとスチュワードさん、その執事さんがやっているのかなと。
でもそのお金とか家財って誰の持ち物かというと、決して執事さんじゃなくてやっぱりそのご主人ですよね。
ご主人がオーナーで、そのオーナーに代わっていろんな資産の管理をするのがスチュワードですよという、この執事とその主人の例を出すと意外となるほどと、オーナーとスチュワード、主人と執事の違いという関係でご理解いただくことがあります。
小川さん
なるほど。よしむらさんそこら辺どうですかね。
よしむらさん
これ自分も調べたことがあって語源、執事じゃないですか。やっぱり日本だとピンとこないんですよね。
で僕F1好きなんですよ。F1ってレーススチュワードっていう組織があって、それは執事じゃなくてそのF1を取り仕切る団体なんですよね。
でレースをいかに監視を行って適切な行動をしているか、適切なレースをしているかっていう監視するのがレーススチュワードっていうのがあって、その組織がデータスチュワードのスチュワードなんだろうなっていうので自分は納得しましたね。
鶴田さん
多分そのレースを主催している方がいて、でもその人がそのレースのいろんな周りを管理するのが難しいから代わりにそのレーススチュワードの方々が代わりに責任をかける。
代わりに責任を持って何かその周辺の環境を整えたりするというそういう役割ですかね。
よしむらさん
例えば違反をするとかあるんですね。車と車がぶつかってこれはペナルティじゃないかって。
それを判定するのはレーススチュワードだったりして、そういう全体の統制を効かせている人たちがいて、こういう統制を効かせるってこういうことなんだって、そこでF1好きの自分は納得した感じです。
小川さん
スチュワードに対すること、実は僕も鶴田さんと同じようにお父さんがお金を稼いできて、奥さんがずっと財布の管理をしているから奥さんがスチュワードであるみたいな感じで覚えてきていたんですけど、ちょっと日本の企業に当てはめてしまうと、データオーナーの人があまり業務を知らないとか、データに関する責任まで持てないとかっていうのでスチュワードを任命するみたいなイメージを持っちゃったんですね、一番最初に。
それがミスリードしちゃっていて、スチュワードって本来はデータオーナーがすごいデータオーナーがいて、そのデータオーナーの権限が付与されて、一人ではできないからあれにこの権限を付与された人でしかないので、そういう意味ではスチュワードってデータオーナーとイコールで考えるべきだったのに、スチュワードが日本では先行しちゃったというかミスリードしちゃったような気がしていて、だからオーナーありきでスチュワードシップっていうのをしっかり考えたほうがいいのかなとかって今は思ってるんですね。
そこら辺でどう思ってますかね。
データスチュワードシップの著作
鶴田さん
そうですよね。オーナーがまずいて、本当はオーナーが全部自分でやればいいんですよね。
各業務部門、例えば営業部門とか調達部門の部門長が全部責任を持ってデータの意味も全部わかっていて、データの品質が悪いからどうしろっていう責任も全部その人が持ってやればいいんですけども、さすがに部門長忙しい方なのでデータ一つ一つに目を配らせることはなかなか難しいですよ。
なので部門長の持っている職務の一部をデータスチュワードさん、あなたに譲るので、私の代わりにデータの諸々管理をやってくださいねということで託されたのがデータスチュワードさん。
小川さん
なるほど。よかったです。同じ認識で。
結局ここら辺の言葉って、僕らもそうですし皆さんもそうかもしれないですけど、結局書籍に頼って書籍から読み解くので、本当にあっているのかどうかが不安になってくるところがあるので、よりどころとしてやっぱり書籍に戻ったりとか、特に進んでいるのはアメリカの方が進んでいるので、アメリカの方で実際にやられてきた人の話を聞くなんていうのはいいのかもしれないですね。
鶴田さん
アメリカとかの方がこういった分野は進んでおりますし、実際に経験されている方がたくさんいらっしゃいますと。
実はちょっと宣伝になるんですけども、弊社でDMBOK2の改訂版と同時にリリースしたデータスチュワードシップという本がございまして、こちらの著作、原文はデイビッド・プロトキン(David Plotkin)という方が書かれた本でして、その方は約40年くらいにわたってデータスチュワードの役割をいろいろ経験されてきまして、その方がまとめた本、日本で初のデータスチュワードシップの書籍を販売いたしました。
この書籍の簡単な内容としては、データスチュワードの役割とか、どんな組織も起きるのとか、どうやって育成するのかとか、具体的にどんな業務活動をするのかとかを、いろいろと約280ページほどにまとめている本ですので、気になる方はぜひ「データスチュワードシップ」で検索してみてください。
いずみさん
以上いかがでしたでしょうか。なかなか興味深いお話いっぱい聞けたんじゃないかと思います。
実は私もF1大好きでして、走行音を聞いていると心が安らぐんですよね。
ちょっと話それましたけど、皆さんぜひこれからはデータスチュワードにも注目していってみてください。
それでは今回のラジオは以上です。また次回お会いしましょう。さようなら。
お知らせ
いずみさん
ここでリスナーの皆さんにお知らせです。
データサイエンティスト協会さん主催のシンポジウムが2024年11月11日、ポッキーの日ですね。
恵比寿のウエスティンホテルで開催されます。
若手のデータサイエンティストのパネルディスカッションや有名VTuber4人も出演するとのことで、興味がある人は概要欄にURLを貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。