IoT(モノのインターネット)というテーマを身近なところからご紹介してきましたが、今回は海外の状況についてご紹介しようと思います。
インダストリアル・インターネット(産業のインターネット)とは、アメリカの企業連合が中心となって進めている新しい産業への取組みです。これは、エネルギー、ヘルスケア、製造業、公共、運輸の5つの領域を対象としていてコンピュータ空間(サイバー)と現実世界(フィジカル)をネットで繋いて新しい産業革命を創造しようとする試みです。
GE(ゼネラル・エレクトリック)社、インテル社、シスコシステムズ社、AT&T社、そしてIBM社の5社が創設メンバーです。その参加企業は既に100社を超え、米国企業のみならず欧州企業、日本企業、中国企業などが幅広く参画しています。
中核となっているGE社は、『インダストリアル・インターネット』に取り組むメリットが3つあるとしています。その3つのメリットとは下記の通りです。
①フィジカル(現実世界)の機械(モノ)にセンサーを組み込み、ネットワーク化してデータを収集・解析して、コスト削減や効率化を実現すれば利益が増える。
⇒ビッグデータ、膨大なデータを有効利用する。
②ビッグデータを利用して機械(モノ)を最適な状態に保つ。サイバー(コンピュータ空間)にある設計データや制御データを利用して、フィジカル(現実世界)の3Dプリンターで消耗品や交換部品を造成すれば、トラブルや故障で機械が止まる時間を最小限にできる。
⇒ビッグデータを利用した予防保全、3Dプリンター利用によるアフターサービス強化。
③フィジカル(現実世界)にある機械(モノ)に組み込まれているソフトウェアを、サイバー(コンピュータ空間)から入れ替えて新しい機能を追加する。
⇒機械(モノ)の性能は、ソフトウェアで強化拡張できるというSDx(エスディーエックス:Software Defined Anything)の実現。
実はこの『インダストリアル・インターネット』の取り組みは、日本企業の事例を参考にしているのだそうです。そのモデルとなった企業は、建設機械大手の小松製作所(コマツ社)のKOMTRAX(コムトラックス)という仕組みです。
コマツ社の建設機械にはGPSとセンサー類が搭載されていて、ネットワークで繋がっています。これによって、全世界で使われている建設機械の今の状態を管理することができます。盗難やトラブルが生じた際には、遠隔操作でエンジンを止めたりコントロールすることが出来ます。
さらに、動作履歴のデータを利用して省エネ支援やメンテナンスサービス提供しています。GE社は、自社が取り扱っている発電所や医療機器、航空機や船舶などのエンジンや機械の監視や制御にこの仕組が利用できることに気づき、『インダストリアル・インターネット』に取り組むきっかけとなりました。
GE社は、10億ドル以上の投資を行ってGEソフトウェア社設立し、ここでPredix(プレディックス)という新しい基本ソフトを開発(インダストリアル・インターネットに対応したもので、アップル社のiOSのような基本ソフト)、この上に産業ごとにアプリケーションを開発して顧客企業に提供しています。また、基本ソフトPredixはパートナー企業に提供されています。ちなみに、日本ではソフトバンク社が取り扱ってます。
では!
[著]Wingarc1st Official The BLOG編集部
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