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2019年5月8日~10日の3日間、有明・東京ビッグサイト青海展示棟にて、第2回AI・業務自動化展が開かれた。

AIやRPAのような業務自動化ツールを利用したビジネスツール・サービスの展示やセミナー、商談が行われるのが「AI・業務自動化展」。昨年の第一回レポではRPA(Robotic Process Automation)・OCR・チャットボットといったAI・業務自動化ツールの種類ごとに、概要や魅力、課題点などを紹介した。

今年も同様にAI・業務自動化ツールの現在を、実際の展示ブースの中からいくつかピックアップしてレポート。働き方改革・生産性向上といった企業の課題に本当に役立つのか、これから向かう未来はどうなるのかなどについて取り上げていく。

ロボットと他技術の複合が今の潮流か

昨年の西展示場から青海展示場に会場を移したAI・業務自動化展。会場に足を踏み入れてまず感じたのが「RPAと〇〇」「AIと〇〇」など複数の機能のかけ合わせが前提となったツールを提供する企業ブースが目立つことだ。

例えばHeartCoreのブースでは、RPA(ロボットによる業務の自動化)とOCR(手書き文字のスキャンによるデータ化)を複合し、帳簿などの手書き文書を自動でデータ化、内部システムへ転記可能なRPA製品が紹介されていた。同製品は業務処理の流れを可視化し効率化を図るプロセスマイニングとのかけ合わせも推奨されている。

また、ウイングアーク1stのブースで紹介されていた自動仕分け機能を持つBI(Business Intelligence)ツール、SPAは、転記されたデータを分析しやすい形へ仕分けしてくれる。さらに同社のMotionBoardを用いれば、仕分けられたデータをグラフやマップなど最適な形へ加工することも可能だ。

このような「機能かけ合わせ」の流れが生まれたのは、期待をかけてAIやRPAを導入したものの、思った以上に使える範囲が限定的だったり、収集したデータの分析にてこずったりといった課題感を抱える企業が多いからではないだろうか。

AI・業務自動化の概念がビジネスの現場に定着しきった今、“本当に現場で成果を出せるか”が問われるフェーズに入っているといえる。

ビッグデータ×AIで情報収集を自動化

“本当に成果が出せるか”という観点で興味深いのが、自社内のデータとビッグデータのかけ合わせツール。売上、流入、CV数など自社の営業・販売データと、蓄積された他社データの比較検討を容易にするのがその特性だ。

keywalkerのWEBクローラはWEB上の多種多様なサイトから指定した情報を収集し、分析しやすい形にまとめてくれる。活用例として不動産の家賃推定のデモ画面を見せてもらったところ、物件の面積、築年数、最寄り駅など100万件以上のデータを基にAIが査定したモデル賃料はなるほど納得感のあるものだった。

ECに特化した同種のサービスを提供しているのがNint楽天Amazon、ヤフーショップなどECサイトごとの市場規模や商品ごとの売上高、価格、販売数などを記録しており、競合の動きをつぶさにとらえられる。各社のメルマガなど検索では手に入らないデータも収集されているため、より正確な競合分析が可能になるだろう。

「自社の情報資産と市場にあふれるデータのかけ合わせ」がここでのポイントだといえる。

顔パス、さんま……ユニークな画像認証AI

展示場の中でも多くの人だかりを集めていたのが、画像認証技術とAIをかけ合わせた技術を提供するブースだ。「似ている有名人を表示する」などキャッチーな展示が人を集めた要因だが、その製品自体もなかなかユニークなものが多かった。

エクスウェアのAIは、顔認証を行うことで人間に代わってWEB面接や顧客の識別、入退室管理などを行える。WEB面接ツール「kaomiru」は、発言の要点をまとめたり、表情や発言から緊張度や性格などを読み取ることも可能だ。また、顧客の識別機能を用い、「AIによる顔パス」で顧客ごとにサービスを提供するラーメン店も実際に存在するのだという。

東京システムズのブースではさんま型のプレートが展示されていた。形や色などの情報をディープラーニングを経たAIが識別することで、食べごろのさんまを判別できるのだという。同様の技術は駐車場の空き状況管理などにも応用できるらしい。

説明を受けただけでは「精度は十分なのか」「ビジネスに役立つ保証があるのか」などの疑念が浮かぶ。しかし、実際に使われている現場があることから、実用性にもある程度の信頼がおけそうだ。また、そのユニークさにはほかにない可能性が感じられる。

「人間」とのかけ合わせがAIの未来につながる

OCRビッグデータ、画像認証技術といった他機能とのかけ合わせが、AI・業務自動化ツールの一つの潮流となっている様子をここまでレポートしてきた。

それらとかけ合わせて最も効果を発揮するものは何なのか。

その点を突き詰めると、「人間」に行きつく。AI・自動化技術がどれだけ発達しても最終的な判断が人間にゆだねられることはおそらく変わらないからだ。AI・業務自動化ツールの未来は人間との相性をどれだけ高めていけるかにかかっているだろう。

そのような未来を見据えているのが、ウイングアーク1stが開発を進めているDEJIRENだ。DEJIRENは、RPAやSPA、MotionBoardとの間に立って人間を支援するツール。AIがデータを収集し次の一手を提案するが、最終的な判断は人間に任されるというのがそのポイントである。例えば店舗の在庫が閾値を超えて少なくなった場合、DEJIRENから担当者に追加すべきかどうかの判断を仰ぐアラートが届く。AIのみの判断で自動発注することも可能なのだが、在庫を追加すべきかどうかは天気や人通りなどそのときどきの状況に左右されがちだ。そのため、最終判断は高度な思考が可能な人間に託される。いわばDEJIRENは、人間と機械の間に立つロボット秘書のような存在だ。まだリリースされてはいないが、AIと人間の未来を示唆する一つのモデルのようなツールだといえるだろう。

まとめ

メイン会場から無料シャトルバスで10分の青海展示場に場所を移した2回目のAI・業務自動化展。会場入り口より一番離れたゾーンで開催されているため、出入りにやや苦労したが、今年も多くの企業が活気ある展示を行う見ごたえある展示会だった。果たして、人間がAIや業務自動化ツールを自然に使いこなす未来はやってくるのか

来年の展示にも期待したい。

宮田文机

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