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最近良く聞く言葉に“バイオ医薬品(またはバイオ製剤)”というものがあります。
これは「遺伝子組換え、細胞融合、細胞培養などのバイオテクノロジーを利用して開発製造されたタンパク質性医薬品、抗体医薬品」のことです。これに対して従来の薬は、“低分子医薬品”と呼ばれ、化学反応で開発製造されています。どちらも化合物なのですが、化学反応で製造されている“低分子医薬品”と比べると、“バイオ医薬品”は圧倒的に分子量が大きいのが特徴です。(タンパク質や抗体は、低分子化学品よりも大きな分子構造をもち、その分子量も二桁以上大きい)

“バイオ医薬品”は、薬効が高く副作用も少なく、適用できる病気の利用範囲も広いというメリットがありますが、これまで主流であった低分子医薬品とは違って化学合成反応による大量生産が出来ないため、製造が難しく製造価格も高いという課題があります。バイオ製剤の創薬は欧米メーカーが先行していて、これが理由で国内医薬品の輸入金額が年々増加傾向にあります。

ちなみに、以下が2013年の医薬品売上トップ10薬剤ですが、実に10薬剤のうち7薬剤までがバイオ医薬品なのです。(トップ10合計売上の73.5%を占める)

trend_14_図1

新剤開発の開発には低分子医薬品の1薬剤あたりの開発費用が100~300億円なのに対して、“バイオ医薬品”は数百億円から1千億円もの研究開発投資が必要と言われ、その高額化傾向に歯止めが掛かっていません。さらに、特許切れのバイオ製剤を後発品として製造する場合、生体由来の製品なので特殊な細胞培養技術を用いなければ生産できません。従来の化学合成反応による製造よりも、遥かに高度な技術と高い製造コストが必要となります。

また、生体由来の製品であるために異なる製法で製造物質がオリジナル品と全く同じとは言い切れないことから,その安全性と有効性の確認のためにはそれなりの臨床試験が必要と言われていて、そのコストが1薬剤当たり数十億円程度は必要となります。従来の後発薬が2,3億円程度の臨床試験コストだったことからも“バイオ医薬品”の後発品開発は難しいと言われています。

実は今回のTPP交渉(環太平洋戦略的経済連携協定)の論点にも、最先端バイオ医薬品の開発データ保護期間が大きな争点となっていることがニュースで伝えられています。つまり、巨額の開発投資が必要な“バイオ医薬品”をわずか数年で新興国などがコピーするのを認めたくないというのが先行する欧米企業の本音です。

ちなみに、医薬品開発力があると言われている日本の医薬品メーカーですが、“バイオ医薬品”の開発製造には完全に出遅れています。日本の医薬品メーカーもバイオ医薬品の研究開発を行うベンチャー企業などを積極的に買収していますが、先行する欧米企業や中国・アジア新興企業の後塵を拝しているのが実情なのです。

次回は、医薬品を取り扱うMR(Medical Representative:医薬情報担当者)という仕事についてご紹介いたします。

[著]Wingarc1st Official The BLOG編集部
本記事はウイングアーク1st株式会社の運営するThe BLOGに掲載された記事を許可を得て掲載しています。

 

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