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CDO(最高データ責任者)とは?求められる理由やスキルなど役割をわかりやすく解説

本記事ではCDO(最高データ責任者)の概要を解説します。どのような企業に価値をもたらす存在なのかを紹介するとともに、世界や日本でのCDOの設置率をランキング形式でわかりやすく紹介しますので、CDOの必要性を知りたい方はぜひ参考にしてください。

         

みなさんの企業は、最高データ責任者(Chief Data Officer:CDO)を任命していますか? 2023年1月現在、CDOを設置している企業はまだまだ少数派。なぜ必要なのかよくわからない、という方も多いかもしれません。

そもそもCDOはどのような役割なのか? 世界、日本のCDO設置率はどのくらいなのか? CDO設置率が高いのはどの業種なのか?

本記事で各種データを参照し、まずはこうした基本的な疑問を解消していきましょう!

CDO(最高データ責任者)とは? データガバナンスやデータ戦略の策定を統括するポジション

CDO(最高データ責任者)とは? データガバナンスやデータ戦略の策定を統括するポジション

最高データ責任者とは、組織の資産たるデータ取得・品質保全・セキュリティ・活用などの最高責任者として、データガバナンスやデータ戦略の策定を統括するポジションです。

ビジネスパーソンのほとんどがDXという言葉を理解し、多くの企業がその達成にまい進する現代。AI、IoT、ビッグデータなどDXを実現するための技術のいずれにおいても、”データを用いて価値を創出する‟点は共通しています。

そのことは、令和元年版情報通信白書にもすでに記述されていますね。

デジタル経済において特徴的なことは、いわゆるビッグデータとAIが発展してきたために、このデータが価値を創出する力が飛躍的に高まってきている点である。
引用元:令和元年版情報通信白書┃総務省

そんな状況下でデータに特化したCレベルの役職が求められるのは、自然なことではないでしょうか。

具体的なCDOの役割は、下記のように企業のデータの活用・統制にかかわる活動のすべてにわたります。

  • データマネジメント戦略の策定
  • データガバナンス方針の策定及び監督
  • 社内のデータエコシステムとデータ品質の管理
  • データセキュリティを保つための仕組みの構築と運用
  • データドリブンな組織文化の勧奨

また、世界最大規模のコンサルティングファームPwCが発表した『「最高データ責任者」実態調査2022』によるとCDOを設置した企業ではデータセキュリティ、規制、ガバナンスなどデータの「防御」にまつわる言及が年次報告書において増加する傾向にあるということです。これはデータによる新たな価値の創出など「イノベーション」にまつわる言及の2倍にあたり、CDOはデータを用いた価値創出以上に、サイバー攻撃などによる被害の発生を防ぐことに貢献していることが予想されます。

CDOの3つの種類とは?

世界/日本のCDO設置率とは

CDOの種類を3つ紹介します。

  • Chief Didgital Officer
  • Chief Data Officer
  • Chief Design Officer

順に紹介します。

Chief Didgital Officer

Chief Didgital Officer(最高デジタル責任者)という役職は、企業内でデジタル戦略やデータ整備を担当する役割です。この役職は、企業のDX推進やデータ主導の企業風土の形成において非常に重要な役割を果たします。リーダーシップを発揮し、組織全体を巻き込んでデジタル化を進めることが求められます。

Chief Data Officer

Chief Data Officer(最高データ責任者)という役職は、企業内のデータを活用して、さまざまなイノベーションを実現する役割を担っています。具体的な仕事内容としては、企業内のデータ全般の管理、データ分析を通じた競争力の強化、そしてデータを活用したビジネスモデルの変革などが挙げられます。

Chief Design Officer

Chief Design Officer(最高デザイン責任者)という役職は、デザイン部門のトップとして、デザイン戦略の推進や企業内のデザイン文化の構築などの役割を担います。製品デザインだけでなく、ブランディングや広告コミュニケーションなど、幅広い業務に携わります。

世界/日本のCDO設置率とは?

一体、どのくらいの数のCDOが日本や世界で活躍しているのでしょうか?

一般社団法人 CDO Club Japanが行った『CDO:最高データ責任者の設置状況ならびにデータ活用・ガバナンスに対する状況に関する実態調査』によると、日本国内のCDO設置率は「専任」で16%、ほかの役職と「兼任」で26%ということです。

一方、ガートナーがFortune1000(アメリカのビジネス誌『Fortune』がまとめた総収入全米トップ1000の企業群)を対象に行った2018年の調査では67.9%がCDOを設置していたといいます。ただし、前述の『「最高データ責任者」実態調査2022』によると、時価総額世界トップ2500社のうち、CDOを設置している企業の割合は530社(21%)で、日本とあまり違いはありません。

2021年6月28日にガートナージャパンが発表したプレスリリースでは、日本企業のCDO設置率の低さが指摘されるとともに、「2023年までに、CDOを持たない企業の最高デジタル責任者の半数は、成功するためには事実上のデータ責任者になる必要があると考えるようになる(※)」という予測が掲載されています。

同じく「CDO」と略されることから、最高データ責任者と混同されることも多い最高デジタル責任者(Chief Digital Officer)。ガートナーの予想の通り、実質的に両者が兼任される企業も少なくないのではないでしょうか。しかし、ビジネスにおけるデータ活用の可能性が高まるなかで、両者を区別し、それぞれの役割に専念できる環境を整える必要性は高まっています。

両者の違いについて詳しくは『最高データ責任者?最高デジタル責任者? 増加しつつあるCDO(Chief Data or Digital Officer)とは?』をご覧ください。

※…引用元:ガートナー、デジタル・トランスフォーメーションとデータ/アナリティクスの取り組みに関する調査結果を発表┃ガートナー

【業種別】CDO設置率ランキングTOP10

『「最高データ責任者」実態調査2022』では、業種別にみたCDOの普及状況も調査されています。

その結果わかった「業種別CDO設置率トップ10」は以下の通り。

順位

業種

割合

1位

保険

46%

2位

銀行

42%

3位

メディア・エンターテインメント

40%

4位

小売

29%

5位

IT/テクノロジー

28%

6位

コミュニケーション

25%

7位

消費財

24%

8位

医薬品・ヘルスケア

21%

9位

食品・飲料

20%

10位

公益事業

13%

1位の保険と2位の銀行は金銭や病歴にまつわる重要性の高いデータを扱う機会が数多くあるため、セキュリティやガバナンスの強化のためにCDOを設置するニーズがより高いと考えられます。

先述した通りCDO設置企業の年次報告書において、「イノベーション」よりも「防御」の比重が高まった一因もここにありそうです。

『CDO:最高データ責任者の設置状況ならびにデータ活用・ガバナンスに対する状況に関する実態調査』を参照すると、専任・兼任を問わずCDOが重視する役割のトップ2に「データ・ガバナンス、コンプライアンスの策定(57.8%)」が位置しており、CDOの設置によりデータの「防御」が強化されることは国内でも変わらないことがわかります。

ただし、同ランキングのトップは「データ・情報活用戦略の策定(76.6%)」、4位「データ活用によるイノベーションの推進(46.9%)」であり、イノベーションにも防御と同等かそれ以上に力が入れられていることが見て取れます。

CDOとCIO(Chief Information Officer)の違いとは?

「CDO」と混同されやすい役職の一つに、「CIO」があります。「CIO」とは、「Chief Information Officer(最高情報責任者)」の略です。

主にITシステムの保守や運用を担当し、既存の業務プロセスの改善や社内のITセキュリティにも関与します。

一方、「CDO」は、DXを通じて新しい業務プロセスやビジネスモデルを生み出し、会社の組織を変革します。CIOとの大きな違いは、経営の視点を持ち、社内だけでなく顧客や競争相手までを考慮して行動することです。

従来の日本企業では、IT部門は単なるコストセンターと見なされることが多く、そのトップとしてCIOが配置されることが一般的でした。

しかし、DXの重要性が増しているため、IT部門の役割も見直されつつあり、近年ではCIOの代わりにCDOを配置したり、CIOとCDOの両方を配置する企業も増えています。

CDOが求められる3つの理由とは?

1. 企業のデータ活用の統一をするため

CDOの重要な役割は、デジタル技術を活用して企業全体や企業文化を変革することです。CDOは、企業全体を見渡し、各部門を超えてデータを活用し、社内のデータ整備や新たなビジネスモデルを確立していきます。企業がDX化を効率的に進めるためには、CDOが部門を超えて企業全体で協力する必要があります。

2. 新しいビジネスを作るため

DX推進は、ただ単に既存の業務をデジタル化して効率化を目指すだけではありません。

むしろ最近では、デジタル技術を駆使して新しいビジネスを創出することが非常に重要となっています。

そのため、CDO(Chief Digital Officer)は、ITツールなどを活用して新しいビジネスを確立するためのリーダー的な役割を果たす必要があります。

3. デジタル市場を勝ち抜くため

デジタル市場で勝ち抜くためには、新しいビジネス戦略やイノベーションにデジタル技術を活用する必要があります。

競合他社と同じ戦略や考え方にこだわっていると、激しい市場競争で淘汰されてしまうかもしれません。

だからこそ、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)が中心となって、これまでにない新しいサービスやビジネスモデルを生み出すことが求められているのです。

CDOに求められる4つのスキルとは?

1. 豊富なIT知識

CDOは企業のDX推進を統括する役割を果たしています。当然、CDOにはITやデジタル技術に関する知識が必要です。

IT分野ではデジタル技術に関する知識が日々進化しています。そのため、CDOは迅速にITに関する知識を収集し、理解する能力が求められます。

また、グローバル化に対応できる専門知識も必要です。

2. 主体的な行動

CDOは、企業内の各部門を連携させる重要な役割を果たしています。そのため、部門の責任者やメンバーと頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。

また、時にはデジタル戦略に否定的な人や経営陣(上層部)、あるいは社外の人とも話し合うことがあります。CDOには、どのような相手とも円滑にコミュニケーションを取る能力が求められます。

3. 経営マネジメントスキル

CDOとは、ITの知識と経営のスキルを兼ね備えた人材が求められる役職です。DX推進には、ITの知識だけでなく、経営的なスキルも必要です。ITの知識だけでは、それをビジネスに活かすことができず、DX推進の意味が薄れてしまいます。CDOには、企業活動に欠かせない「人材」と「お金の流れ」を理解し、それを生かした戦略を成功させ、利益を生み出す能力が求められます。

4. 組織をまとめる力

CDOとは、組織をまとめる力が必要な役割です。DX推進は、一人ではなくチームで進めるものであり、CDOはその中でリーダーシップを発揮します。

そのため、CDOにはチームをまとめる統率力が求められます。また、CDOは企業全体の現状を把握した上で、DX推進を行います。企業全体を管理する能力も必要です。

終わりに

終わりに

CDOの役割や設置率、業種別の割合など基本情報についてまとめてご紹介しました。CDO(最高データ責任者/最高デジタル責任者)のほかにも、CIO(最高情報責任者/最高イノベーション責任者)、CDIO(最高デジタルイノベーション責任者)、CDTO(最高デジタルトランスフォーメーション責任者)など、DXの推進にあたってCクラスの役職が設置される例は数多くみられます。

自社のDXにあたって必要な役割を定義し、それにマッチするポジションを探してみてはいかがでしょうか。その結果、自社にはCDO(最高データ責任者)が必要だという結論に達するケースも少なくないはずです。

 

参照元

「最高データ責任者」実態調査2022―世界は「CDO(Chief Data Officer)」をどう見ているか?┃strategy&
<2021年国内におけるCDO(最高データ責任者)の設置状況調査>役員レベルで採用する企業は 3.3%に留まる┃PRTimes
令和元年版情報通信白書┃総務省
What is a chief data officer? A leader who creates business value from data┃CIO
ガートナー、デジタル・トランスフォーメーションとデータ/アナリティクスの取り組みに関する調査結果を発表┃ガートナー
Rethinking The Role of Chief Data Officer┃Forbes

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