企業が競合他社とに優位性を見出し、成功へ導くために必要なのが経営戦略。その中でも、近年特に重要性を増しているのが「データストラテジー」、つまり”データを活用した戦略”です。
データストラテジーとは、社内外にある各種データを収集・分析することで、自社にとって有効な戦略を生み出すことです。たとえば、過去の閲覧・購買履歴から顧客にとって最適な製品・サービスを提供したり、エリア分析で地域ごとの潜在的なニーズを導き出したり、障害ログからリスクの早期発見に役立てたりと、さまざまな用途が考えられます。
データストラテジーの有効性が高まっている理由のひとつに、企業が扱うデータ量の拡大が挙げられます。最近ではビッグデータ活用が注目を集めていますが、細かいところでは企業内で従来使われていた書類の大半が電子化されていますし、顧客の個人情報やサービスの利用履歴、ユーザーアンケートの結果などもデータとして蓄積されているでしょう。また、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスの普及、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)分野で実用段階に入ったサービスが増えてきたことなども、データ量の増加を加速している要因といえます。このように分析の基となるデータ量が増加すれば、必然的に分析結果の確度が高まると同時に、切り口の多様性も生まれてくるというわけです。
一方で、サーバや端末の性能向上、クラウドをはじめとしたインフラの進化、AI技術の進歩などにより、こうした膨大なデータを高速に収集・分析できる仕組みが整ったのもポイントです。高度なデータ分析を行いたい場合、これまでは専門業者へ依頼するしかありませんでした。しかし現在は各種BIツールを用いることで、一般企業でも簡単かつ確度の高い分析が可能になったのです。
こうした変化は、企業の経営戦略にも大きな影響を及ぼします。従来の経営戦略は、どちらかといえば実績と経験則に依存する部分が大きい状況でした。しかし、企業をとりまくビジネス環境の変化が大きくなると同時に多様化し、そのスピードも加速の一途を辿っている現代社会において、実績や経験則から成る経営戦略ではどうしても対応しきれない部分が出てきました。その不明瞭なリスクを解消し、長期的かつ高度な成長を実現するためには、情報という資産を活かしたデータストラテジーが必要不可欠となります。自社が置かれている現在の状況を的確に見極め、勘に頼らない具体的な市場予測および今後起こりうるリスクを可視化し、その上で策定された経営戦略こそが、まさに“将来を生き抜くための経営戦略”といえるのです。
「うちの経営戦略は間違っていない」という経営層の方も、まずは現在保有しているデータを収集・分析し、得られた結果を現在の経営戦略と見比べてみてください。そこにはきっと新しい“なにか”の発見があり、その気付きこそ将来の成長に役立つカギとなるはずです。
(企画・構成・デザイン:野島光太郎)
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