「KYOTO Wi-Fi」は、外国人観光客の利便性向上を目的として2012年8月にスタートした。現在、地下鉄駅やバス停留所に加え、商業施設にも設置されており、Wi-Fiスポットの数は約2000箇所に達している。
しかし、地下鉄駅やバス停留所のWi-Fi機器は更新時期を迎えており、更新には約6500億円が必要だという。また、これまで機器の運用を担っていたKDDIなどの企業は、地下鉄やバス停留所から撤退する方針であり、京都市が独自に運用を続ける場合、約4000万円のランニングコストが追加でかかるとのことだ。さらに、地下鉄駅やバス停留所でのWi-Fiの利用者数も2019年度から8割減少している。
計画では、地下鉄駅でのWi-Fiサービスは9月末に終了し、バス停留所でのサービスは2025年3月末までに終了する予定だ。ただし、商業施設に設置されているWi-Fiについては当面サービスが継続される。
2010年代におけるフリーWi-Fiスポットの急増は、スマホの普及と深い関係がある。スマホの急速な普及により、携帯キャリア各社の基地局増設が追いつかず、緊急対応としてフリーWi-Fiスポットが設置されたことで、通信の需要に対応してきた。
もちろん、フリーWi-Fiスポットの運用にはコストがかかる。設置費用や維持費は、携帯キャリア会社、設置元のオーナーが負担していた。
しかし、2020年代に入り5G通信が整備されると、モバイル通信だけで安定した通信サービスを提供できる環境が整った。これにより、フリーWi-Fiスポットの必要性が減少した。
また、物価高騰もあり、運用コスト削減を図りたいという動きが加速している。このような状況を考えると、財政難に直面している京都市が、フリーWi-Fiスポットの縮小に踏み切ったのは理解できるといえる。
京都駅前のバスターミナルで「KYOTO Wi-Fi」に接続した。初めての利用時は認証手続きが必要だが、思ったよりもスムーズに進んだ。
速度は6.1Mbpsで、ウェブサイトやYouTubeの閲覧には問題ない。しかし、今の時代に6Mbps台は少し心もとない印象だ。次に5Gに接続したところ、速度は280Mbpsだった。「KYOTO Wi-Fi」と比較して圧倒的に速く、認証手続きも不要であることを考えると、「KYOTO Wi-Fi」の役割はすでに終わりを迎えているのかもしれない。
(取材・撮影・TEXT:新田浩之 編集:藤冨啓之)
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