さて、ここからは「フードテックではどのようなことが出来るのか」について詳しく見ていきましょう。生み出す、調理する、献立を考えるなど食にまつわる行為ごとにその概要を具体的な例とともにご紹介します!
培養肉や昆虫食などこれまでになかった食物を生み出す・一般化するのがフードテックのひとつの役割です。新たな食物を生み出すことで、2050年には97億人、2100年には112億人に達するといわれる世界の人口増に伴う食糧不足に対抗します。また、牛のゲップ由来のCO2排出といった畜産環境問題の低減やより美味・健康的な食材の発明、ヴィーガンの選択肢の増加などの効果も見込まれています。
・大豆ミート:植物肉の中では最もポピュラー。ハンバーガー・喫茶チェーンなどですでに導入が進む
・コオロギせんべい:無印良品から発売され、話題を呼んだ
調理法によって大きく食の可能性を広げ、食材の見た目を保ったまま咀嚼・嚥下能力の衰えた方でも食べやすいようにしたり、3Dフードプリンターでマグロの握りずしやかぼちゃの煮物などさまざまな食材を再現したりします。
また、調理を補助・代行してくれるテクノロジーも勃興しており、IoTにより料理の焦げ付きを防いだり、個人の状態に合わせた料理を自動調理したりすることが可能になります。
・デリソフター:料理の見た目を保ったまま柔らかく変化させる調理器具
・ヘスタンキュー:レシピアプリと連動し、センサーで計測した温度と照らし合わせて加熱時間を調整するクッキングシステム
テクノロジーによってさまざまな分野で進むパーソナライゼーションはフードテックの世界でも進んでいます。その人のアレルギーや健康目標、嗜好に合わせて最適な献立を提案する取り組みはすでに実現しています。個人の体質や好みだけでなく、「人とのつながりを感じたい」「家族を喜ばせたい」といった食事が心に及ぼす影響にも注目が集まり、開発が進められています。
・このみるきっちん:個人の“食意識”を6つの質問で分析するニチレイの献立提案AI
・Lify Wellness:気分や体調に合わせてブレンド茶が抽出されるお茶メーカー
おいしい料理を提供する方法をロボットやアプリの力でアップデートする取り組み。ロボットが給仕や配膳・レジ業務を代行するテクノロジーは、新型コロナウイルス流行の影響によりかつてない注目を集めています。同様にコロナ禍で加速したデリバリーサービスを支えるシステムや、提供商品の幅を大きく広げた進化版自動販売機などもこの分野に該当するフードテックといえるでしょう。
・OriHime:人間がリモートで操作しコミュニケーションがとれる分身ロボット。モスバーガーで実験導入された
・クックパッドマート:アプリで注文した食材が出荷当日に配送され指定のロッカーで受け取れる非対面小売りシステム
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