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新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、たびたび騒がれるのが経済への影響です。
そうした中で経済状況を測る指標を注視する、というのが非常に重要になります。
そこで、今回は、経済の指標であるGDP(国内総生産)から日本の経済の現状を探っていきます。
GDP(国内総生産)とは、日本が儲けたお金のことで、国内で一定期間の間に生産されたモノやサービスの付加価値の合計金額を指します。
日本の国内総生産の大半を占めているのが、日本で生活する人々が日常的に行う「消費」と国内にある企業が行う「投資」の合計金額である「民需」です。
民需に加え、政府が使ったお金である「政府支出」と輸出額から輸入額を差し引いた「貿易収入」 を合計した金額がGDP(国内総生産)となります。
さらに、GDPには、そのままの金額で算出した「名目GDP」とその時の貨幣価値を加味した「実質GDP」の2種類があります。
貨幣の価値も年々変わっていくため、より正確な成長率を知るためには、「実質GDP」を見る必要があります。
それでは日本のGDPの推移はどのようになっているのでしょうか?
内閣府が発表した最新の情報をもとにグラフ化したのが以下になります。
日本においては2018年以降GDPは下降傾向にあります。2019年は消費増税をしたことから、GDPが減少。 追い打ちをかけるようにコロナ禍に突入し、リーマンショックにあたる2007年から2008年にかけてと比較してもその減少幅は大きく、戦後最大の下げ幅になりました。
下落幅を実質GDP全体、そして、民間最終消費支出と家計最終消費支出をみてみましょう。
なお、民間最終消費支出とは、家計による消費のこと。そのうち、新規の財貨・サービスに対する家計の支出を指すのが家計最終消費支出です。
国内総生産(支出側) | 民間最終消費支出 | 家計最終消費支出 | |
2020/4-3. | -4.6 | -6 | -6.5 |
出典:国民経済計算(GDP統計) – 内閣府
並べてみると、コロナに伴う買い控えや自粛によって家計最終消費支出がグッと下がっているのがわかります。
また輸出入で見ると両者大きく下がっており、特に輸出が-10%以上と大きく下がっています。
輸出 | 輸入 | |
2020/4-3. | -10.4 | -6.8 |
出典:国民経済計算(GDP統計) – 内閣府
GDP は国全体の儲けになります。従って、一人当たりの儲けが同じでも人口が多い国ほど GDP は大きくなる傾向にあります。
そこで見ていきたいのが一人当たりの GDP です。Data Commons が発表した、一人当たり GDP の推移をグラフにしたものが以下になります。
日本における一人当たりの GDP を見てみると、震災のあった2011年以降グッと数値が下がっており、ここ数年で徐々に値が大きくなっているものの、震災以前の水準にはまだまだ程遠いということがわかります。
ここ数年の一人当たりの GDP の増加には、日本の人口の減少率がどんどん大きくなっている事が一つ大きな要因として挙げられます。
2020年には、戦後初めて50万人以上の人口減少が発表されるなど、少子高齢化に伴って徐々に人口が減りつつある日本。
それでは日本の一人当たりの GDP は世界的に見るとどのような水準なのでしょうか?
「グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト」が国際通貨基金 (IMF)のデータをもとに、各国の一人当たりの GDP をまとめています。今回はそこから上位30位を紹介します。
順位 | 国名 | 単位:US$ |
1 | ルクセンブルク | 116,921 |
2 | スイス | 86,849 |
3 | アイルランド | 83,850 |
4 | ノルウェー | 67,176 |
5 | 米国 | 63,416 |
6 | デンマーク | 60,494 |
7 | アイスランド | 59,634 |
8 | シンガポール | 58,902 |
9 | オーストラリア | 52,825 |
10 | オランダ | 52,248 |
11 | カタール | 52,144 |
12 | スウェーデン | 51,796 |
13 | フィンランド | 48,981 |
14 | オーストリア | 48,154 |
15 | 香港 | 46,753 |
16 | ドイツ | 45,733 |
17 | サンマリノ | 44,818 |
18 | ベルギー | 44,529 |
19 | イスラエル | 43,689 |
20 | カナダ | 43,278 |
21 | ニュージーランド | 41,127 |
22 | イギリス | 40,406 |
23 | 日本 | 40,146 |
24 | フランス | 39,907 |
25 | マカオ | 36,350 |
26 | アラブ首長国連邦 | 31,982 |
27 | 韓国 | 31,497 |
28 | イタリア | 31,288 |
29 | プエルトリコ | 30,317 |
30 | バハマ | 29,221 |
引用:世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF) – Global Note
日本の一人当たり GDP は40,146ドルで世界第23位。同様の水準の国はイギリスやフランスが挙げられます。近隣国で見てみると、日本より上位の国として香港が46,753ドルで15位となっています。
こうしてみると日本はトップクラスの経済大国、とは言い難いなというのが正直なところです。
日本のGDPの減少は、コロナ禍以前の、2019年から始まっています。そうした中で、今回の GDPの大幅な下落はコロナ禍だけの影響ではありません。
歴史に残る災禍の先で、人々がきちんと生活できるように、適切な給付金の配布や消費減税などの経済的な施策が非常に重要になってくるのではないのでしょうか。
【参考引用サイト】 ・国民経済計算(GDP統計) - 内閣府 ・【意外と知らない】GDP(国内総生産)について徹底解説!日本はこれからも経済大国の地位を守れるのか? ・民間最終消費支出|金融/証券用語集|株のことならネット証券会社【カブドットコム】 ・GDP実質27.8%減、4~6月年率 戦後最大の下げ ・世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF) – Global Note ・日本人人口、初の50万人超の減少 : 外国人比率2.25%に上昇 ・Data Commons
(大藤ヨシヲ)
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