「住民基本台帳」とは、1967年に制定された「住民基本台帳法」に基づく制度によって定められた住民に関する記録のために作成される台帳です。
住民の氏名、生年月日、性別、住所等が記載された住民票を市町村が正確かつ統一的に管理するための制度で、主に住民票の写しの交付や児童手当の受給資格の確認の際に利用されています。この制度は各市町村単位で管理、運営を行っていますが、1999年に法改正が行われ、市町村、都道府県、国による共同のネットワークシステムが導入されました。いわゆる「住基ネット」と呼ばれるもので、現在ではどこの市町村からでも閲覧することが可能です。
また、1999年の法改正の際に個人の特定を「正確」に「迅速」にする目的で住民票コードと言われる11桁の番号が追加されています。実はこのときに付けられた11桁の番号が2016年1月に始まったマイナンバー制度における12桁の数字の基になっています。マイナンバーの12桁のうち11桁がこの住民票コードを変換した数字を利用しており、末尾の1字は前の11桁のコードが正しい値かどうかを確認するためのチェックデジットです。
住民基本台帳のメリットとしては市町村等の役場からすると、個人情報の管理が楽になるということです。一方、住民にとってのメリットとしては、「住民基本台帳カード」を作ることで、いくつかの恩恵を受けることができます。
例えば、「写真付き住民基本台帳カードは身分証明書になる」、「確定申告を自宅で行えるe-Taxを利用することができる」などです。ただし、前者は写真付きであることが条件で、写真がない場合は公的な身分証明書とはみなされません。また提出先となる事業者によっては利用できない場合もあります。後者の場合はICカードリーダライタを購入しなければ利用はできません。また、2016年1月のマイナンバー制度施行後は住基カードの発行はできなくなっていますので、今後はマイナンバーカードの利用へ徐々に移行していくことでしょう。
住民基本台帳のネットワーク化などにより市役所等で行う業務が効率化されることで、住民基本台帳の利用目的も広がっています。
住基ネットの活用例としては、例えば「DV等支援措置」というものがあります。この制度はDV被害者が転居した場合など、加害者から身を隠したいときに住民票のある市町村等に申し出をすることによって、加害者が住民票や戸籍の附票の写しを入手することを防ぐことができるという措置です。住基ネットで情報をネットワーク化したことにより、加害者が全国どこの市町村で写しを入手しようとしても防ぐことが可能になりました。
このように情報をデータ化してネットワークを構築することで、それまで行うことが難しかったり、膨大な時間がかかったりしていた業務を効率よく行うことができます。将来的にはマイナンバー制度と絡めて確定申告もインターネットで行えるような時代になるのではないでしょうか。
(データのじかん編集部)
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