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フィンテック(Fintech)は、「Financial Technology」の略で、金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)を組み合わせた言葉です。この分野は、銀行、投資、保険、貸出などの伝統的な金融業務を技術を用いて革新し、よりアクセスしやすく、便利で、効率的なサービスを提供することを目指しています。
フィンテックは、スマートフォンでの支払い、オンラインでの資産管理、仮想通貨やブロックチェーン技術の活用など、多岐にわたる技術的進歩を金融サービスに応用しています。これにより、消費者は銀行に行かなくても金融取引を行えるようになり、企業やスタートアップは新しい金融商品やサービスを創出して市場に参入しています。
フィンテックの目的は、金融市場をもっと透明にし、サービスの提供コストを下げ、ユーザーにとってより使いやすい環境を作ることです。また、未銀行化された地域の人々に金融サービスを提供することで、経済的包摂を進める役割も担っています。
フィンテックの影響により保険業界は大きく変化しようとしています。この変化には以下のような点があります。
① デジタルプラットフォームの導入:
フィンテックはオンラインプラットフォームやモバイルアプリを通じて保険製品の販売や管理を簡素化しています。これにより、顧客は自宅から簡単に保険に加入したり、既存のポリシーを管理したりすることができます。
② テレマティクスとリアルタイムデータの利用:
自動車保険などでよく見られるテレマティクス技術は、実際の運転行動に基づいて保険料を算出します。これにより、より公平な価格設定が可能になり、安全な運転を奨励する効果もあります。
③ AIと機械学習の活用:
人工知能(AI)や機械学習は、クレーム処理の自動化や顧客のリスクプロファイルを正確に評価することで、保険プロセスを高速化し、カスタマイズします。これにより、保険会社は効率を向上させ、顧客サービスを改善することができます。
④ ブロックチェーンの利用:
ブロックチェーン技術は透明性とセキュリティを保ちながら、保険契約の管理やクレーム処理に革命をもたらす可能性があります。この技術により、詐欺のリスクを減少させ、契約の履行を迅速化することができます。
⑤ カスタマイズとパーソナライズ:
ビッグデータの分析を通じて、保険会社は個々の顧客に最適な保険製品を提供することが可能になります。顧客の生活スタイルや好みに合わせた保険プランが提案され、よりパーソナライズされたサービスが提供されます。
これらの技術革新は、顧客にとっても保険会社にとっても多くの利益をもたらす一方で、業界に新たな課題を提示することもあります。例えば、プライバシーの問題や、新しい技術に対する規制の遅れなどが挙げられます。それにもかかわらず、フィンテックは保険業界におけるイノベーションの主要な推進力となっています。
フィンテックの影響で保険業界のビジネスモデルは以下のように変化しようとしています。
① オンデマンド保険への移行:
従来の一年契約などの長期契約から、使用するときだけ保険を適用するオンデマンドモデルへの移行が進んでいます。このモデルは、顧客が必要な時にのみ保険を購入できるため、フレキシブルでコスト効率の良い選択肢を提供します。
② ピアツーピア(P2P)保険:
フィンテックは、同様のリスクを共有する人々がグループを形成し、互いに保険を提供するピアツーピアモデルを可能にしています。このアプローチにより、保険料が低く抑えられ、運営が透明になるとともに、クレーム処理が迅速化される可能性があります。
③ マイクロ保険の提供:
フィンテックは低所得者層や発展途上国の市場にも焦点を当て、少額の保険商品を提供するマイクロ保険を推進しています。これにより、これまで保険の恩恵を受けられなかった人々も保護を受けることが可能になります。
④ データ駆動型のリスク評価:
大量のデータと高度な分析ツールを活用して、保険会社はより正確なリスク評価を行い、それに基づいた価格設定が可能になります。これは、個別のリスクプロファイルに基づいたカスタマイズされた保険商品を顧客に提供することを意味します。
⑤ 自動化と効率化:
AIや機械学習を活用して保険申請の処理や顧客サービスを自動化し、オペレーションの効率化を図っています。これにより、顧客体験の向上と運営コストの削減が期待されます。
フィンテックによるこれらの変革は、保険業界に新たなビジネスチャンスを提供するとともに、顧客にとってよりアクセスしやすく、価値のあるサービスを実現することを目指しています。これにより、業界全体の構造が変わり、より競争的で革新的な市場が形成されることが期待されます。
保険業界の未来を形作る「ホケンノミライ2025」が、今年も東京で開催されます。このカンファレンスでは、最新のフィンテック技術と保険業界の融合に焦点を当て、保険のデジタライゼーション、顧客体験の向上、持続可能なビジネスモデルの構築を探求します。業界のリーダーたちが一堂に会し、パネルディスカッション、キーノートスピーチ、ワークショップを通じて知見を共有します。参加者は、保険業界の革新者や意思決定者とのネットワーキングの機会を持ちながら、最新のトレンドや解決策に触れることができる貴重な場となります。
カンファレンスでは以下をテーマとしたセッションが保険業界のスペシャリストたちによるセッションの開催を予定しています。
・デジタルトランスフォーメーションと顧客エンゲージメント
・リスク管理とデータ分析の進化
・持続可能な保険モデルとグリーンファイナンス
・テクノロジーによる保険商品の革新
[Session 1:10:25~] ホケンノミライ —生成AIの活用と未来展望—
Speaker
・木田 浩理 氏(三井住友海上火災保険株式会社)
・岸 和良 氏(住友生命保険相互会社)
Moderator
・永田 ゆかり 氏(データビズラボ株式会社)
[セッション概要]
キーノートセッション。保険業界のデジタル化の現状を概観し変革の阻害要因と克服方法を論じる。また、生成AIの活用状況と今後の展望を踏まえ、保険業界のデジタル化のミライ予測と若手人材へのメッセージを語る。
[Session 2:11:30~] 保険業法改正の羅針盤 —過去から学ぶ次のステップ—
Speaker
・中村 譲 氏(株式会社hokan)
・篠原 孝典 氏(森・濱田松本法律事務所外国法共同事業)
[セッション概要]
昨年12月に公表された金融審議会ワーキンググループ報告書に基づき、保険業法や監督指針の改定プロセスが動き出す。保険業界に携わる弁護士2名が、前回の保険業法改正(2013~2016年)を振り返り、これらの過去の経験を通じて、保険業界に関わるすべての方へ、次の改正を迎える準備を促す。
[Session 3:12:15~] 徹底討論!保険業界に潜むアンコンシャス・バイアスとは
Speaker
・長岡 佳成 氏(株式会社NOKIOO)
・藪田 珠乙 氏(GuardTech検討コミュニティ)
Moderator
・森田 直子 氏(有限会社インスウォッチ)
[セッション概要]
保険業界におけるアンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)の事例を中心にDE&Iの根本的な課題を探り、今後の組織開発に活かすための処方箋について議論する。
[Session 4:13:10~] さわかみ投信と独立系FPが考える真の顧客本位とは
Speaker
・澤上 龍 氏(さわかみ投信株式会社)
・町田 萌 氏(FPサテライト株式会社)
Moderator
・坪谷 亮 氏(FPサテライト株式会社)
[セッション概要]
さわかみ投信株式会社2代目の澤上龍社長をお迎えし、保険を始め金融商品の販売を行わない中立的な独立系FP会社であるFPサテライト株式会社の2社にて、保険業界にも通じる顧客本位の本質を議論する。
[Session 5:13:10~] あたらしい保険をつくるハッカソン「ホケンノカタチ」
Speaker
柏岡 潤 氏(リードインクス株式会社)
[セッション概要]
2025年2月に開催された「あたらしい保険をつくるハッカソン—ホケンノカタチ—」。その模様を、審査委員を務めたリードインクス柏岡潤氏が参加3チームの代表者をお招きして対談形式で振り返る。
[Session 6:14:40~] Z世代が語る!保険業界若手の主張!
Speaker
・榎本 唯 氏(三井物産インシュアランス株式会社)
・藪田 珠乙 氏(GuardTech検討コミュニティ)
Moderator
・上野 翔巧 氏(住友生命保険相互会社)
[セッション概要]
保険会社、保険代理店、有志コミュニティの若手3名が登壇。各者それぞれの立場から、若手ならではの悩みや苦労、今後の展望など、普段伝える機会の少ない若手視点の思いをお届けする。
[Session 7:15:25~] いま、保険代理店が目指すもの —真の顧客本位と価値提供の新たなカタチ—
Speaker
・中野 昌彦 氏(三井物産インシュアランス・ホールディングス株式会社)
・浅山 裕紀 氏(株式会社SowZow)
Moderator
・中島 力弥 氏(株式会社ILF)
[セッション概要]
一連の損保不祥事を受けて胎動を始める新たな保険代理店の共創の取組みを紹介する。
[Session 8:16:10~] RIS(全国学生保険ゼミナール)が切り拓く保険業界の産学共同取組み
Speaker
・西山 イサム 氏(Plug and Play Japan株式会社)
・毎床 慶子 氏(株式会社CIEN)
[セッション概要]
RISは全国の大学の保険論関係ゼミの学生と指導教官が、年 1 回集まって合同で研究発表会を行う大会。RISのご紹介を通じ、保険業界での産学共同取組の在り方について議論する。
[Session 9:16:55~] 「ホケンノミライ」のミライ
Speaker
岸 和良 氏(GuardTech検討コミュニティ)
[セッション概要]
「ホケンノミライ」発案者の住友生命岸氏が「ホケンノミライ」を通じて実現を目指す新しい共創の形や人的交流のカタチである「『ホケンノミライ』のミライについて語る。
[Session 10:17:20~] AI時代のホケンジャーニー
Speaker
・堀井 計 氏(株式会社ホロスホールディングス)
・小坂 直之 氏(株式会社hokan)
・上原 高志 氏(ネオファースト生命保険株式会社)
Moderator
・増島雅和(弁護士・弁理士/森・濱田松本法律事務所外国法共同事業)
[セッション概要]
ホロスホールディングス、hokan、ネオファースト生命の経営トップが自社のデジタル・AIの活用状況を紹介し、近未来におけるデジタル・AI活用の拡大、可能性を議論する。
[Session 11:18:25~] フェムテック保険新時代 —グローバル事例と日本市場の可能性—
Speaker
・鳥居 翔 氏(住友生命保険相互会社)
・木村 恵 氏(Femtech Community Japan)
[セッション概要]
海外大手保険会社のフェムテックのアクセラレータープログラムや、国内生保のフェムテック福利厚生事業など、最新事例を紹介。50兆円市場に向けた戦略的アプローチを解説し、日本の保険業界の未来を展望する。
保険業界のオープンAPI普及と協業・共創を推進するGuardTech検討コミュニティは、保険業界情報プラットフォームを運営する有限会社インスウォッチとの共催により、2025年3月7日(金)に年次カンファレンス「ホケンノミライ2025」を開催いたします。
保険業界の未来を形作る重要な一歩を、私たちと共に踏み出しましょう。このカンファレンスでは、InsurTechの最新動向を探り、次の10年で私たちの業界がどのように進化するかを議論します。業界のリーダーや革新者たちとの貴重なパネルディスカッション、インサイトに溢れるプレゼンテーション、そして参加者間のネットワーキングの機会を提供いたします。
イベント名 | GuardTech主催 保険業界カンファレンス「ホケンノミライ2025」 |
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開催日時 | 2025年3月7日(金)10:00~19:00 (~20:30 After Party ) |
会場 | FinGATE KAYABA 東京都中央区日本橋茅場町 1-8-1 茅場町一丁目平和ビル1階&3階 |
アクセス | 東西線・日比谷線「茅場町」駅 6番出口 徒歩1分 銀座線・都営浅草線「日本橋」駅 D1出口 徒歩4分 半蔵門線「水天宮前」駅 徒歩12分 |
主催 | GuardTech検討コミュニティ 有限会社インスウォッチ |
詳細はこちら
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