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【iSTC Evolution TOKYO 2019】日本企業のデジタル化をいかに進めるか?製造・経営・金融、それぞれから見たデータ活用の可能性 (後編)

         

IoT最大の効果は“人間が見えないものが見えるようになる”こと

小泉:ほかのスマートファクトリー化の取り組み事例についてお伺いできますか?

福本デンソーさんのスマートファクトリー化に取り組んでいます。世界の40カ国地域にわたる工場全体の生産性を3割高めるという目標を掲げ、 今のところ6%ほどの成果がでています。

小泉:具体的なIoTの効果について教えてください。

福本:IoTの最大の効果は実は“人間が見えないものが見えるようになる”ということなんです。例えば、デンソーさんとは別の例なんですが、射出成形ににおいて金属の内部に“す”が出来ているのかどうか目視では確認できません。しかし、AIは金属組成や温度分布から判断できます。そのため、不良品の判定や発生防止が行え、後工程に流さずに済むことでコスト削減にもつながります。

小泉:ウイングアーク1stさんはどのような取り組みをされていますか?

大畠:弊社は単にソフトウェアを売るだけでなく、製造業で必要な機能など要望を反映しながら製品をどんどん使っていただけるようにしていきたいと考えています。製品だけでなくソリューション自体の創出やアライアンスにも取り組んで行きたいですね。我々がこれまで得たスマートファクトリー化の知見も使ってユーザー様と一緒にビジネスを進めていきたいと考えています。

小泉:BIツールは経営層が使うものという印象も持つ方もいますが、MotionBoardはもっとさまざまなデータをわかりやすく深堀しながら見ていけるツールですよね。だからiXACSとも相性が良いんでしょうね。

大畠:おっしゃるとおりMotionBoardは広く企業全体で活用いただきたいと考えています。人によって立場も違えばデータを見るポイントも違いますから、経営層の方が見るだけでは企業力にはなりません。社内のさまざまな方がデータにアクセスし、すぐにリアクションすることが重要なんですよね。ウイングアーク1stはそのような環境を実現できるプラットフォームを提供していきたいと考えています。

過去のデータ、今のデータがわかればちょっと先が予測できる。それが投資につながる

小泉:ファイナンスとIoTの関係についてはいかがでしょうか、松浦さん?

松浦金融業界は今苦境に立たされています。かつて金融のアドバンテージは、融資先の情報を抱えていたことにありました。しかし、それが情報社会の発達により金融業界外にも流れている。長期金利が高く短期金利が安いという状況で貸し借りを行って利益を増やすのが金融の基本です。しかし、ゼロ金利といわれてもう20年近くになります。これで利益が上がるはずがありませんよね。

この状況を打開すべく、金融庁も金融のデジタル化を後押しする意欲を示しています。その資料で挙げられているのはfreeeやマネーフォワードに代表されるクラウド会計や資産形成分野のロボアドバイザー。

私がここで盲点になっていると思うのが“金融の産業支援”です。iSTCさんの持つデータをもとに生産性がどれだけ上がるかの予測が立てられるなら、企業価値や資金繰りの予想も立つはずです。そうなれば、金融機関内の格付けは変わるでしょう。それをめどに投資の意思決定ができると非常に効率的ですよね。

今まで製造業では技術的な到達点と経営の到達点にずれがありました。iSTCさんの取り組みはそこを一致させることに役立つはずです。

木村:データをとるのにコストがかかるということでスマートファクトリー化の計画がとん挫するパターンも聞くのですが、新しい分野であることもあって何から始めればいいのか、どのくらいのコストが掛かるのか分からない方も多いと思うんです。その点、うちは経営に直結するデータ活用がリーズナブルに始められますよ

松浦:地方銀行などは中小企業さんとの取引が多いんですが、最新の機械を使っている工場ばかりではないので古い機械のデータもとれるというのも重要ですね。

大畠:金融業の場合、これまで財務諸表など過去のデータから顧客を分析していたはずです。しかしIoTは過去のデータだけでなくリアルタイムのデータも取得できる。それをもとに投資する側が少しアドバイスすれば大きな効果がでるかもしれない。そうして未来の可能性も見ながら投資の判断ができるとかなりのイノベーションですよね。

福本過去のデータ、今のデータがわかればちょっと先が予測できる。それが投資につながるというのは大きなメリットですね。

終わりに

日本のデジタル化の現状とその可能性について「何ができていないのか」「何ができているのか」が浮かび上がってくるようなセミナーでした。サプライヤー、メーカー両方の当事者であるiSTC株式会社主催のイベントだからこそ、現場・経営・投資家など多様な目線から論じられたといえるでしょう。

今回登壇した木村哲也氏や八子知礼(やこ・とものり)氏といった豪華スピーカーの話が聞けるイベント『WAF2019』が名古屋では10月、大阪・東京では11月に開かれます。「木村氏や八子氏の話をもっと聞きたい!」という方、データ活用、スマートファクトリーといったキーワードにピンとくる方はぜひチェックしてみてください!

宮田文机

 
製造業の国内回帰と海外進出は同時に進んでいる

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