製造業のKPIはKGIにつながる要素においては、QCDのプロセスで培った指標を用いることになります。
ただそれだけでは、製造現場の問題・課題は表面からしか探すことができません。
さらに深部に潜んでいるQCD向上の要素を探しだすには、デジタル技術によって蓄積したデータ活用が必要不可欠です。
昨今の製造機器は自動で加工、組み立てを実施するのと同時にデータを取得する機能も備えています。
取得したデータは、データベースエンジンとBIツールを活用することで、KPIロジックツリーの作成のみならず、KPIマネジメントにも活用することができます。
昨今の製造業では、入荷からに出荷に至るまでの作業を自動に行うのと同時に、様々なデータも収集できます。
製造リードタイム、生産量、時間稼働率、不良率、原価率といった製造業の指標をより細分化する事で今まで気が付かなった振る舞いや傾向が「見える」ようになります。
ただ無駄を減らし、効率をあげるだけでは、QCDのC(Cost:原価)、D(Delivery:納期)の向上は期待出来ますが、Q(Quality:品質)の向上には繋がりません。
そこで昨今注目されているのが画像データとAIによる分析です。
特にユーザーに安心と安全を担保する検査の工程のデータは、製造の現場はもちろん、企画、開発、カスタマーサポートのQCDの向上にも活用することができます。
セグメントとは、KGI、KPIがそれより下位のKPIの足し算で成立する場合の項を指します。
例えば、製造コストの場合、材料費、設備費、労務費、外注費などの和がKPIとして求められます。
セグメント分解では、品質、コスト、納期の指標をまずは足し算で分解することからはじめます。
セグメントに分解したKPIをさらに分解すると、足し算ではなく、掛け算で算出されるKPIで構成されていることがわかります。
製造業のKPIとして良く活用されている“設備総合効率”では、時間に対する“ロス”を“行動”に分解してKPIの要素を抽出します。
製造業の生産能力を総合的な観点で算出した“設備総合効率”では、“行動”の要素である“時間稼働率”、“性能稼働率”、“良品率”の内訳が重要になります。
例えば、時間稼働率=80%、性能稼働率=50%、良品率=90%の場合、設備総合効率は、36%になります。
この場合、時間稼働率、良品率は既に高水準なので向上の難易度は高いと判断するのが妥当です。
もっとも改善の余地のある“性能稼働率”に着目し、60%達成を目標とした場合、“設備総合効率”は43%(+7%)まで向上見込めます。
製造業では従来のQCDのプロセスより、数式で指標を算出することで、定量的なアプローチが試みられています。
これらの多くは、KPIにも適用が可能ですが、これまでは
といった問題でKPIを活用することができませんでした。
昨今ではデータベースエンジン、BIツールの登場によりこのような問題は解決されつつあります。
データでは、QCD向上の余地を示しているものの、KPIの要素の正体が不明確なケースは実は少なくありません。
データ化が可能なものは、新たに分析する事で追従できますが、そうでないものに関しては、仮説を立てて、検証する必要があります。
仮説を明らかにするための施策は、PDCAで実践する事でより高い確度で進められます。
仮説が立証されたKPIは、上位のKPIに繋げることでQCDの向上具合が計れるになります。
先程紹介した仮説で更なるデータの分析でも行動に至る要素が分析できない場合、カットアンドトライ、消去法といった施策でその構造を明らかにしていきます。
これらの多くは、人手を必要とする工程に潜伏しているケースが多く、例えば、
などを要素としている可能性があります。
日本の製造業は、特殊な技術で成り立っている場合があり、自動化されていない工程も実は多く、このような領域をフォーカスすることで高い効果が得ることが期待できます。
構造の実証には比較的時間を要し、また上位のKPIに繋がらない可能性もあるため、製造現場全体のKPIから切り離した方が実証はスムーズに進みます。
セグメント、行動で分解したKPIを抽象度の高い要素を頂点に置き、それの要素になるKPIを線(枝)で結びます。
これをツリーの末端の末端となる要素(葉)まで繰り返すことでKPIツリーが完成します。
KPIツリーを作成する事で、具体的な施策に至るまでのプロセスが網羅できるようになります。
また、いざ実践をするにあたって、注入すべきマンパワーや投資なども「見える化」されるので、経営面のリスクの回避にも繋がります。
製造業のKPI向上は、設備投資で対処できるものは、即座に対応し、そうでないものは、ナレッジ化といった観点で取り組むことで着実な向上が期待できます。
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