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人は何を基準にトイレの個室を選ぶのか!?世界遺産・二条城のトイレの使用状況を見える化してみて分かったこと

         

管理方法に変化はあったか?また、使用状況がわかることによってどんなメリットが考えられるか?

二条城の管理チームはまだ客観的にデータを観察している状態であり、管理体制を変えるまでには至っていない。だが、メリットはあることは確かだ。空き状況がリアルタイムで把握できるだけでも有益性はある。また、混雑が事前に予測できれば、その前後に清掃を行う、なども可能となる。

2017年度には過去最高となる243万人が二条城を訪れている。2017年は大政奉還150周年ということもあり、メディアからも注目された。それに合わせてイベントや行事も開催された。その効果もあったと思うが、今年は来客数をさらに増やしたいという思いもある。また、訪問客数の増加に伴い、トイレの使用回数も当然増えており、「トイレが汚れている」という苦情が寄せられることもあるため、トイレ管理は一つの課題として上がっていた。おもてなし、という観点でも、トイレの美化には取り組んでいきたいと考えていた矢先に、今回のトイレの使用状況を見える化する、というプロジェクトの話があり、実証実験に参加することにした。

桜が満開となった4月1日が今回の実証実験の中で最も使用回数が多く、女性トイレで2963回弱、男性のトイレで304回、合計およそ3267回程度使用されている。これはこの日の来場者およそ1万5000人の5分の1程度に相当する。男性の小便器の使用プラス個室利用を女性トイレと同じくらいの回数だと想定すると、およそ6000人が使用した計算になり、これは来場者の4割がトイレを使用したことを意味している。敷地内を見学するのに1時間から1時間半はかかるため、トイレに行く人の割合が高いことも頷ける結果であり、トイレが綺麗な場合、必ずしもトイレの印象は残らないが、逆に汚い場合にはマイナスのイメージが残ってしまうこと考えると、トイレに予算をかけることは費用対効果が期待できる投資かも知れない、と明知氏は締めくくった。

元離宮二条城事務所 庶務係長 明知 耕一郎氏

実際にデータを分析してみてわかること

MotionBoardで過去1ヶ月分の女子トイレのデータを抽出し、データのじかん編集部で分析して見たところ、非常に興味深い結果が明らかになった。

1ヶ月の女子トイレの使用回数は3万8451回。1日平均にして1284.7回となっている。こうして見ると2963回の使用があった4月1日がどれだけ混雑していたのかが想像できる。また、入り口に近い個室から使用される傾向があるのは前述した通りだが、女性トイレの数値を見ると、実際に最も入り口に近い個室07が最も使用回数が多く4236回。1日平均にして141回使用されている計算になる。最も使用回数が少ないのは左の一番奥にある個室08の1805回。1日平均にして60.2回だ。最も使用回数が多い個室07と比較すると1日当たり80回以上の差異があることが読み取れる。これは例えば、トイレットペーパーなどの備品の補充の際に活用できるデータだろう。使用回数が2番目に多かった個室06の1日平均は139回で、1位と2位の差は、1日当たりわずか2回であることも分かる。これは、できるだけ近くの個室が良い、と考え個室07を選ぶ人と、「奥に行くのは面倒だが、端っこはなんとなく避けたい」と考えて個室06を選ぶ人がほぼ同じくらいいる、ということかも知れない。

SWITCHSTRIKE AIR(スイッチストライクエアー)

さらに分析してみると、和式トイレが使用された回数は7898回で、これは全体の使用回数の20.49%に当たる。つまりおよそ5人に1人の頻度で和式トイレは活用されていることになり、和式トイレには一定した需要があることを示している。個室07の次に使用回数が多かったのは個室06の4172回だった。しかし、3位はその隣の個室05ではなく1つ空けた個室04だった。これは、個室07および個室06が両方とも使用中の際に、なんとなく1つ空けてしまう人の心理が浮き彫りにされているようにも思える。使用回数が多い個室の順位は下記の図の通りだ。

時間帯別に見ると、10時前および16時以降は利用者が比較的少なく、男性女性共に11時台に利用者数がピークに達することが分かる。これも清掃のタイミングなどを考える際には有益な情報となるだろう。

まとめ

これまで収集されていなかったトイレの空き状況に関するデータが集まれば、以前は分からなかった具体的な利用者数、トイレを活用する人の割合、使用頻度の高い個室に関する詳細が今後明らかになっていくだろう。データによって、あっと驚くような人の行動が浮き彫りになる可能性もあるだろう。今回の二条城での実証実験はまだその序曲にすぎない。データのじかんでは、今後も実証実験からどのような知見が得られるのかを引き続き取材し、発信して行く予定だ。

もし二条城を訪れる機会があれば、世界最先端のIoTトイレ事情にもぜひ注目して欲しい。

(データのじかん編集部)


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