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二条城でも稼働中!無線・無電源で稼働するIoTデバイス「スイッチストライクエアー」を生み出したシブタニ社を取材。

         

人類の歴史とは、「食とトイレの歴史」である、と言っても過言ではないほど、食とトイレは人の営みと切っても切れない関係にある。表があって裏があり、北があって南があり、インプットがあり、アウトプットがある。単純明快なシステムだ。世界遺産の二条城には世界最先端のトイレがあり、現在進行形でIoTトイレの実証実験が行われていることは先日の記事で紹介したが、今回はその実証実験の立役者である金物メーカー・シブタニ社を取材した。

シブタニ社は、「スイッチストライクエアー」という無線・無電源で稼働するIoTデバイスを販売する大阪の会社だ。IoTにおいては、ハードウェアの部分がボトルネックとなることが多い。デバイスが旧式で対応できない、という場合もあれば、求められているデバイスが存在しない、という場合もある。ボトルネックの解消ができず頓挫するIoTプロジェクトも数多く存在する。特に配線・電源供給は全てのIoT関係者が頭を悩ませる部分だ。シブタニ社はその配線問題、電源問題に真っ向から勝負を挑み、短期間で見事にその問題を解決させた日本屈指、いや、世界屈指のIoTセンサー対応の金物メーカーだ。今回はシブタニ社技術開発部、小笠貴博(おがさたかひろ)氏に話を伺った。

快適なトイレが増えた結果、人が長居しすぎるという問題が出てきた

シブタニ社技術開発部 小笠 貴博 氏

シブタニ社はラッチを40年ほど作り続けている建築金物メーカーで、特に鍵を得意としている。セキュリティーの高い家の鍵のようなものから、トイレで使用される簡易的なものまで鍵にも色々種類がある。トイレの鍵に関しては、業界シェア日本一で、日本の7割のトイレにシブタニの鍵が使われている。そのため、お客さんからのフィードバックも受け取ることも多い。

最近ではいたるところに快適なトイレが増え、居心地がよくなってしまったがために利用時間が長くなっている傾向がある。そのため、本当にトイレを利用したい人たちが利用できないケースが増えている。少し前などは、トイレ飯と言って、ブース内でご飯を食べる人が増えた時期もあった。

本来の目的以外で使用されるとなると、なんのためにトイレを綺麗にしたのか分からないため、トイレの使用状況を時間で管理をしたい、という声が利用者や設計事務所から上がってきた。世の中にはそういうシステムがすでにいくつか存在する。高速道路のレストエリアのトイレには個室の使用状況が表示される設備があるものも存在する。だが、既存のものは全て有線式となっており、電源の供給も必須だ。

トイレのブースに配線を施すのは難しい。木建業者は通常この類の作業を行わないため、配線作業は高額になってしまう。しかも、現場の職人がノウハウを持っていないことも多く、打ち合わせにも時間がかかる。人手もかかり、作業も大変というのが実情で、コストに見合わないため、これまで見送られてきた、という背景がある。

そうなると必然的に無線で行う方法が有力となる。

ソーラー式のセンサーも存在するが、例えば、省エネのオフィスビルなどの場合、消灯している時間が長いため、ソーラーに蓄電されない、などの問題が発生する。そのため、何かしらの電源供給は避けては通れない、ということになり、5年ほど前からこの話はうまい解決策がないままになっていた。

 
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