Share!

あなたの職場のテクノロジー環境は整っていますか? 「わが社は大企業なのにまったくIT化が進んでいない……」という方、それはもしかしたら“大企業だから”かもしれません。

先を進んでいたはずの国家や企業が新興国家やベンチャー企業にテクノロジー環境で後れを取ってしまう現象を「リープフロッグ現象」と呼びます。この記事では、この「リープフロッグ現象」について解説します!

リープフロッグ現象は一足飛びの発展


リープフロッグ現象とは“既存の技術を経ることなくいきなり最新の技術に到達する現象”のこと。カエルが一足飛びにジャンプするように大幅なステップアップを遂げることからリープフロッグ(カエル跳び:本来の由来は馬跳びという説もある)現象と呼ばれています。

例えば現在政府や企業により推進されているキャッシュレス化日本のキャッシュレス決済比率は18.4%なのに対し、中国は60.0%、インドは38.4%。ほんの10~20年前は技術面で水をあけていた国々に今では倍以上の差をつけられているのです(2015年のデータ)。

引用元:キャッシュレス・ビジョン┃経済産業省

リープフロッグ現象の原因とは?

リープフロッグ現象の原因としては以下のようなものが挙げられます。

先進国によってすでに技術が開発・改良されている

第一の原因は、技術がすでに先進国で開発・改良されているため、そこまでに必要なコストや時間を新興国はカットできるということです。

また、新興国は市場が未開拓で他社製品との差別化の必要がなく消費者のニーズもまだ複雑化していません。そのため、最低限の機能のみ搭載したシンプルな製品をリリースでき、わかりやすさから普及も進むことになります。

華為(ファーウェイ)やOPPOといった中国企業のスマホは、iPhoneのようなブランドや突出した機能の代わりにそこそこの機能と安価な価格設定を備えていたからこそ普及したといわれています。

イノベーションへのニーズが大きい

先進国のようなインフラや教育環境が整っていない新興国では福祉や金融、医療、教育などの分野で大きな改善が求められています。そこで最新の技術に目が向けられ、イノベーションが生まれることが多いのです。

例えばケニアのモバイル決済サービス「M-pesa(エムペサ)」は銀行を利用環境が整っておらずお金の保管や送金に困る人が多いなかで登場し、たった4年で成人の約80%に普及しました。また、インドの生体情報データベース「Aadhaar(アドハー)」は出生証明書や運転免許所といった身分証明書を持つ人が全体の半分以下という状況を改善すべく導入されました。福祉の需給だけでなく銀行取引やローンの契約などさまざまな領域で身分証明が役立つようになり、今では成人の99%以上が登録を済ませているそうです。

過去の設備・機器が足かせとならない

過去の設備・機器が整っていないということは躊躇なく新しい設備、技術を導入できるということです。まだガラケーが使えるからとスマホの購入をためらった経験を持つ方は少なくないのではないでしょうか?

工場の設備などは数千~数億円のコストがかかっており、また設備を入れ替えると学習コストが生じるため、なおさら新しい技術の導入が遅れることになります。

中国やインドでキャッシュレス化が進んだ一因には、偽札の横行や高額紙幣の廃止により従来の紙幣の信頼性・利便性が低いため「電子マネーのほうが良い」と考える人が多かったことがあります。

法律や制度が整備されていない

法律や制度が十分に整っていない新興国は先進国のように規制を受けることなく新しい技術の実用化や売買、宣伝活動を進めることができます。

例えばルワンダで輸血用血液を運ぶドローンは当初シリコンバレーのスタートアップ企業Zipline(ジップライン)によって米国内での展開を目標に開発されました。しかし航空局の規制が事業の前に立ちはだかり、向かう先を途上国へと変更。路面が整備されておらず輸送のイノベーションが求められており、政府がICT産業に注力するルワンダへの導入が2016年に決定したといいます。

また、一部の新興国ではコピー製品(海賊版)に対する規制や抵抗感が十分でないことも、新しい技術の普及には有利に働くようです。

国内でも起こるリープフロッグ現象

リープフロッグ現象は国と国同士の関係で起こるだけではありません。冒頭で言及した通り、大企業とベンチャー企業の関係でも起こりえます。

やる気のあるベンチャー企業や中小企業はイノベーションへのニーズが大きい点、過去の設備や機器、制度が足かせとならない点で新興国と重なります。一方、大企業はレガシー設備や稟議制度により新しいものを取り入れるスピードが遅くなりがち。「日本特有のSI業界の産業構造」などもあいまって諸外国に比べIT化が進まない現状があります。

こうした現状を打破するには、“いまや日本はテクノロジー環境において新興国を追う立場である”と危機感を持って新技術の導入に積極的に取り組むことが求められます。例えば以下のテクノロジー7種の活用に貴社はどれだけ積極的に取り組めているのか、立ち止まって考えてみてください。

企業において最も重視すべきテクノロジー7種

  • AI
  • RPA
  • IoT
  • パブリック・クラウド(IaaS、PaaS)
  • ビッグデータ
  • パブリック・クラウド(SaaS)
  • 経営ダッシュボード

※ユーザー企業IT部門4,000社を対象に行ったアンケート調査の1~3位を合計し一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)がランキング化。

引用元:企業IT動向調査2019 (2018年度調査)┃一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)

終わりに


リープフロッグ現象について、国家・企業の例を紹介しつつ取り上げました。

新興国やベンチャー企業ににテクノロジー環境で後れを取りつつあることに危機感を覚えた方も少なくないのではないでしょうか? 近年では新興国で普及した技術やサービスが反対に先進国に持ち込まれる「リバース・イノベーション」が起こることも珍しくありません。

IT化において先進国や大企業は不利であるという現状を踏まえて、新興国・他社を“追う”意識で環境の刷新に取り組んでいきたいですね。

参考URL
キャッシュレス・ビジョン┃経済産業省
中国の「フィンテック」が日本のはるか先を行くのは当然だった┃現代ビジネス
リープフロッグ現象」が導く爆発的発展 20年後のアフリカが「世界地図」を変える?┃YAHOO! JAPAN
現地でのビジネスの中から見えてきた 中国でリープフロッグが起こる「5つの必然性」┃商業界ONLINE
女性に起業の機会 ケニアのモバイル送金「エムペサ」┃日本経済新聞
インド13億人を監視するカード┃Newsweek日本版
企業IT動向調査2019 (2018年度調査)┃一般社団法人 日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)

宮田文机

この記事を読んだあなたにおすすめのタグ

この記事を読んだあなたにおすすめのタグ

「社会」ランキング

人気のカテゴリ