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日本において育児や家事の主体は女性であるという価値観は未だに強く根付いています。実際、OECDの調査で日本の男性の家事育児時間は他のOECD加盟国と比較して非常に低い水準であるということが明らかになっています。こうした背景には職場での長時間労働などの課題も大きな要因として挙げられています。
しかし、コロナ禍において在宅で過ごす時間が増えた結果、育児や家事の時間にも変化が起こっています。
以下のグラフはコロナ以前の男性の家事や育児時間を100とした場合にコロナ禍における家事・育児の時間はどのように推移したのかをグラフ化したものです。
グラフを見ると、最初の緊急事態宣言が発令された2020年5月時点では、属性に限らず、男性の家事や育児の時間は増加しています。特にコロナ禍の中で、継続してテレワークを行うことができた男性については10%以上時間が延びています。しかし男性全体で見るとその変化は5%未満にとどまっています。
しかし、2020年12月になると、最初の緊急事態宣言が出たときと比較してどの属性でも家事・育児時間は減少しています。特に、緊急事態宣言後にテレワークを中止した男性においては、コロナ禍以前よりも家事・育児時間が減少したというデータが明らかになりました。
それでは子どもがいる家庭において、夫婦での役割分担はどのように変化したのでしょうか?
家事・育児の役割分担は、おおくの家族の中において、重要な課題の一つといえます。
コロナ禍において、家事・育児に関する夫婦の役割分担がどの様に変化したのか、という設問に対し、役割分担が変わった、と回答した人は全体のおおよそ25%程度でした。
しかし、そのうち9%強の人は1度は役割分担が変化したもののその後、分担が以前と同じように戻ったといいます。分担が元に戻った理由として一番多かったのが自分や配偶者の職場の環境の変化です。ついで子どもの環境の変化や、意識・気持ちの変化などが挙がっています。
実際に家事や育児の役割分担が変化したことで夫婦関係に変化はあったのでしょうか?
調査では、夫婦の役割の変化のパターン別に夫婦関係の変化についてもアンケートをとっています。
結果を見てみると、夫の役割が増加したという場合と、夫・妻共に役割が増加したという場合では、どちらもともに40%以上の人が夫婦の関係が改善した(夫婦の関係が良くなった、夫婦の関係がやや良くなった)と回答しており、夫婦の関係が悪化した(夫婦の関係がやや悪くなった、夫婦の関係が悪くなった)と回答した人は10%未満にとどまっています。
一方で、妻の役割が増加したという場合では、夫婦の関係が改善したと回答した人は全体の20%未満、逆に夫婦の関係が悪化したと回答した人は12%程度と、前の二つの場合と比較して、夫婦関係の改善が見られにくく逆に悪化しやすいという結果がでています。
ここまでの結果を見てみると、コロナ禍の中でリモートワークなど柔軟な働き方が導入されたことで、男性も育児に関わりやすくなっているということ、そして、男性が積極的に家事や育児に関わる事によって夫婦関係も改善しやすくなるということがわかりました。
一方でそのような働き方の問題は職場の環境の影響が非常に大きく、個人の努力のみでは解決できるものではないのではないかと考えられます。
世界的なパンデミックという非常事態によって、働き方や生活の方法が多様になる中、改めて多くの人がより快適に生活できる仕組みを社会全体で考えていく必要があるのではないでしょうか。
【参考引用サイト】 ・ 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査 ・ 第2回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査 令和 ・ コラム1 生活時間の国際比較
(大藤ヨシヲ)
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