戦後最大級の「結婚危機」を前に国が推し進める「AI婚活」とは?その背景と実情を探る

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2020年はとにかく変化の多い年でした。働き方や教育、休日の過ごし方など生活が大きく変わったという人も少なくないのではないでしょうか。

そして個々人の生活の変化は、少しずつ社会全体の変化として反映されつつあります。その一つが結婚です。厚生労働省が発表している人口動態統計調査の速報値を見てみると2020年1月から10月の婚姻数はおよそ42万件で前年の同時期の約49万件と比較して13.3%も減少したのです。

婚姻数の減少傾向が進む中で、新型コロナウイルス感染症が拡大し、一気に減少が加速したと考えられます。現在、出生数のうち約98%が法律上の婚姻関係にある夫婦の間に生まれる「嫡出子」で占められている中、婚姻数の減少はその後数年間かけて出生数の減少にもつながります。

そこで、未婚化や晩婚化、それに伴う少子化を打開するために、政府が新たな政策を検討し始めています。それが「AI婚活」です。

今回は政府が検討する「AI婚活」とはどんなものなのかについて解説し、データを見ていきます。

【データで見る結婚の現状】令和婚ブームで七年ぶりの増加から一転、大幅減

一口に婚姻数の大幅減、と言ってもなかなか想像がつかないもの。ここでは戦後日本の婚姻件数と婚姻数の推移をグラフ化したものが以下になります。

出典:人口動態統計調査|厚生労働省

一度目のピークは1948年の95万件。戦争の反動で一気に婚姻数が増え、それに伴い1947年から1949年にかけて第一次ベビーブームが起こります。婚姻数のピークを迎えた翌年の1949年には戦後最大の出生数269万6638人を記録。この3年間で生まれた子供はおよそ800万人まで登りこの世代は団塊の世代とよばれています。

この団塊の世代が20代後半を迎えようとする1972年に2度目のピークが起こり、婚姻数は110万件に迫る109万9984件に。そしてこの前後の時期は年間の出生数190万人を超え団塊ジュニア、として知られる一世代となります。

出典:人口動態統計調査|厚生労働省

その後1980年代前半にかけて婚姻数は減少の一途をたどりますが、1986年から1991年にかけてバブル景気の時期に婚姻数は増加しています。1990年代において、婚姻数は増減を繰り返し概ね停滞した状態になりますが、その後、2000年代に入ると継続して減少傾向が続いています。

ピーク時には100万件以上あった婚姻件数も2010年代に入ると60万件前後まで減少、人口千人当たりの婚姻件数に当たる婚姻率も1971年に極大値の10.5%から5%前後まで減少しています。

そうした中で令和元年となる2019年は令和婚ブームそして7年ぶりに婚姻数、婚姻率ともに増加しました。しかし、コロナ禍の発生に伴う経済不安や結婚式などの開催延期、また医療のひっ迫による妊娠・出産への懸念から、冒頭の通り2020年の婚姻数は大幅に減少しており、場合によっては戦後最悪の減少と言われている1950年(15%減)に次ぐ下落幅となることが予測されています。

下落幅としては過去に経験があるものかもしれませんが、戦後最大の婚姻件数を記録した直後に起こる大幅減と、長年の減少傾向を受けた上での大幅減ではその後の展開は大きく変化することが考えられます。

戦後最大級の「結婚危機」に立ち向かう、政府主導の「AI婚活」とはどんなものなのか?

「結婚危機」とも称されるこの婚姻件数の下落の打開策の一つとして政府が検討しているのが「AI婚活」です。

内閣府が検討している「AI婚活」では人工知能(AI)やビッグデータを活用して、年齢や身長、収入などの定量的データだけでなく、性格や価値観などの定性的なデータを会員情報として盛り込むことでより条件を絞った相手を提示できるということです。

現在検討されている流れとしては、結婚を希望する人が自治体の結婚支援センターに登録し、その登録情報からAIが「相性がいい人」を算出し、お互いに興味があればお見合いを申し込む、というものです。

なお、このお見合い施策では、相性があった相手と出会うところまでは支援をしますが、出会った後のフォローなどの計画については発表されていないようです。

「AI婚活」で「結婚危機」は乗り切れるのか ? >>

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