活況を呈する韓国映画界。
『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー作品賞を受賞できた一因には、韓国内の映画熱の高さとコンテンツマーケティング戦略があるといわれています。
映画界の後押しを受けて当選した金大中大統領(在任:98-03)は韓国映画界へ日本円で年間約150億円もの助成金を拠出することを決定。ポン・ジュノ監督もその後押しを受け、映画のエリートを育てるための学校、韓国映画アカデミーで才能を育成されたひとりです。
韓国映画界の隆興の歴史をデータで見てみましょう。
※引用元:映画館入場券統合電算網(KOBIS)、日本映画産業統計┃一般社団法人日本映画製作者連盟
韓国の映画観客動員数は2004年から驚異的な伸びをみせ、2011年には日本映画の観客動員数を追い越します。その後も衰退の兆しは見られず、2019年の年間動員数は約2万2,668人。2019年の日本の年間動員数は1万9,491人でした。
韓国の人口が日本の半分以下であることも考慮すれば、いかに韓国の映画熱が高まったかがわかるのではないでしょうか?
映画の公開本数も驚異的な伸びを見せており、2004年には280本と日本(649本)の半分以下に過ぎなかった年間の映画公開本数が、2019年には1,944本と7倍近く増加しました。日本の本数が追い抜かされたのは2015年のことです。
※引用元:映画館入場券統合電算網(KOBIS)、日本映画産業統計┃一般社団法人日本映画製作者連盟
このようにデータをみると、映画産業において日本は韓国に大きな逆転を許したことがわかります。その結果が、『パラサイト 半地下の家族』による外国語映画初のアカデミー作品賞受賞なのでしょう。
もちろん日本にも素晴らしい映画は数多く存在します。しかし、SNSで話題になったポスター問題(シンプルな韓国版ポスターに対し、日本版はごてごてと情報が盛り込まれがち)など両国の“映画産業”への向き合い方の違いが、評価の差を生んだ面はありそうです。
『パラサイト 半地下の家族』のアカデミー賞受賞を受けてその周辺データを調査し、韓国映画界の勢いを目の当たりにしました。現在新型コロナによる打撃を受け、映画産業は大きなダメージを受けているはずです。
しかし、幸い映画は配信やDVDで見ることもできます。ぜひ、映画界を応援するためにも自宅待機中、韓国・日本の映画をご覧になってみてはいかがでしょうか?
(宮田文机)
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