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結婚をして子どもが生まれたら、専業主婦。

というライフコースが一般的だった時代から、現在は、共働き世帯が常に上回り、それ以降増加し続けています。2017年の厚生労働省の調査(下記図左)によると、外で働く夫と専業主婦の妻からなる「専業主婦世帯」は641万世帯まで減少する一方、共働き世帯は1,188万世帯に達しています。

働き方改革、男女雇用均等法、ダイバーシティなどの仕組み作り、職場の変化は急速に進んでいます。

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一方で、総務省の調査(上記図右)では平成23年においてもなお、有配偶者における女性の家事・育児の負担は男性に比べ大きく、家庭内の変化はなかなか追いついていないのが現状です。ワーキングマザーの1人としてこの問題に着目したのが、家事代行サービス「タスカジ」を創立した和田幸子氏です。価値観の変革に挑む和田氏の歩みと、同氏が提唱する「拡大家族」という考え方について伺いました。

ユーザーとハウスキーパーをWebでマッチング

「タスカジ」は、経験豊富なハウスキーパー(タスカジさん)と、家事代行を必要とするユーザーをマッチングさせるサービスです。フリマアプリの「メルカリ」やライドシェアサービスの「Uber」と同様のCtoC(個人間取引)のサービスで、ユーザーとタスカジさんが直接やり取りします。

当社はマッチングのためのプラットフォームを通じて、両者が気持ちよくコミュニケーションできる仕組みを提供しています。 サービスの登録ユーザー数は約3万人で、子育てに忙しい30~40代の共働きのファミリーが中心です。一方、タスカジさんは約1,000人で、年齢層は20代~70代と幅広く在籍しています。栄養士、調理師、整理収納アドバイザーなどの資格保有者から、子育てが一段落した主婦まで経歴もさまざまです。

タスカジさんに依頼できる家事は、掃除、洗濯、料理、買い物、(料理の)作り置き、整理収納、チャイルドケア、ペットケアの8種類です。人気が高い依頼は、1位が掃除、2位が料理や作り置き、3位が整理収納となっています。

市場は必ずある。データに頼らずマーケティングを実施

私自身、以前はIT企業のシステムエンジニアとしてフルタイムで働きながら、家事と育児に追われていました。既存の家事代行サービスも使ってみましたが、機能やインターフェースが分かりづらいと感じていました。それなら「誰もがもっと手軽に家事を頼めるサービスを自分で作ろう!」と立ち上げたのがタスカジです。

起業前には市場調査も行いました。ただ、ニーズを一番知っている当事者として、マーケットは必ずあると確信していました。同じ悩みを抱えている友人にも企画について話すと「これはいいね!」「こういうのが欲しかった!」という好意的な反応でした。

一方、ビジネスとして収益を生み出せるか、次の展開に向けて何が必要かといった視点も必要ですから、当時在籍していた会社の同僚や起業家の知人など、10人くらいに企画書を送ってチェックを依頼しました。 大まかなビジネスモデルを作った後は、テストマーケティングを行って反応を確認しました。ユーザー3名、ハウスキーパー3名でマッチングをしてみて、取り引きに必要なルールや、起こりがちなトラブルを洗い出しました。

どの程度の価格ならユーザーは納得するか、ハウスキーパーはどのような働き方を望んでいるかといったこともわかり、それをもとにルールを詰めていきました。当初は、まずシステムを作ってそれからテストマーケティングをするつもりでしたが、起業家のコミュニティで得られた「テストマーケティングはシステムより先に実施した方がいい」という助言が非常に役立ちました。

「罪悪感」を払拭すれば世界は変わる

サービスを開始して、すぐに軌道に乗ったわけではありません。

多くの方は、「家事を人に任せる」ことへの罪悪感が大きく、アウトソーシングを活用することに腰が引けている印象を受けました。もちろん金銭面や、旦那様の理解を得ることなど、物理的なハードルもあります。私自身も最初から利用者が押し寄せることはないだろうと覚悟はしていました。想像以上になかなか進まなかったとも感じましたが、いつかは「絶対に使ってもらえる」と思っていました。生き生きとした生活を送るために必要なサービスだと確信していたからです。価値観さえ変わってしまえば、みんなが使うようになっていく。誰かが使い始めて幸せそうにしていたら、口コミで広がり、市場はできていくと思っていました。

一般の家庭でハウスキーパーを頼むことは日本ではまだ珍しいですが、多くの国ではインフラとして当たり前のように認識されています。たとえばシンガポールでは、共働きで小さいお子さんがいる家庭には住み込みのハウスキーパーが働いていることが多く、子供の世話から料理まで幅広く受け持っています。日本でも価値観を変えていかなければ、睡眠時間を削って頑張っている女性たちは絶対に壊れてしまうという危機感があります。少しずつでも社会の価値観を変えていくことで、日本の女性たちに貢献したいと思っています。

家事のスキルを可視化して、世の中にそのすごさを伝える

起業当初のもう1つの課題は、ハウスキーパーがなかなか集まらなかったことです。知人にハウスキーパーの印象を聞いてみてもテレビドラマの家政婦のイメージだったり、職業として華やかさ、「キラキラ感」がないと言われたりもしました。

そこで苦肉の策というわけでもありませんが、はじめは日本在住のフィリピン人に中心メンバーとなっていただきました。フィリピンの方は明るく、優しくて働き者な上、ユーザーをリスペクトして接してくれるため、非常に好評だったのです。するとその中で、「子守りをしながら英語を教えて欲しい」という依頼が増えてきました。

当社としても英語教育のサービスを前面に打ち出すことで、他社との差別化ができるようになりました。英語を教わるという付加価値があれば、家事代行に対する罪悪感の払拭にもつながります。現在もタスカジさんの約15%は外国人の方で、子供の英語教育や、外国の本場の料理を作って欲しいといったニーズに応えています。 一方、主婦を中心としたタスカジさんが持つ家事のスキルが可視化されることには、大きな意義があります。

起業前に私自身が家事代行サービスを利用したときにも、期待以上に担当の方のスキルが高く、「これはすごい」という感激を何度も味わいました。「家事なんて誰でもできる」という人もいますが、決してそうではありません。一般の会社員に「マーケティングが得意」「開発が得意」といった適性があり、キャリアによって仕事のレベルが異なるように、家事にも適性やスキルの違いがあります。スキルが可視化されていないために、世の中にそのすごさが伝わっていないだけです。

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(取材・TEXT:SEデザイン+木下真之 PHOTO:Inoue Syuhei 企画・構成・編集:野島光太郎)

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