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「核家族から拡大家族へ、新しい家族の形を再定義」をビジョンに掲げ、家事代行マッチングサービス「タスカジ」を運営する株式会社タスカジ。

同社は「IT×家事」という新たな切り口で家庭が抱える課題解決に取り組み、ライフスタイルの変革を支援しています。ITを活用し、従来の価値観を大きく変える可能性を秘めたサービスと、同社が進める働き方の変革について、代表取締役 CEO&Founderの和田幸子氏に語っていただきました。

好みの家事サービスをオーダーメイド

「タスカジ」は、当社独自のテストに合格したハウスキーパー(タスカジさん)と、家事を依頼したいユーザーが出会えるシェアリングエコノミーシステムといえます。

従来の家事代行といえば家政婦紹介所というイメージがありましたが、テレビドラマで話題になったこともあり、最近はサービス事業者も増えています。その中でもタスカジは情報サイト「日経DUAL」が発表した「家事代行サービス企業ランキング2017」で1位に選ばれるなど、外部からも高い評価をいただいています。


タスカジさんの作業前・作業後の風景です。どれだけ綺麗になるか、ぜひごらんください!

タスカジは、あくまでもマッチングのためのプラットフォーマーという位置付けで、仕事はユーザーとタスカジさんの個人契約となります。

ユーザーが依頼できる家事は8種類(関連記事参照)で、どのようにサービスを提供するかは担当するタスカジさんの裁量に任されています。調理師の経歴を活かして本格的な料理を作ったり、整理収納アドバイザーの有資格者として断捨離に貢献する方もいて、中には高度なスキルが評判となり、レシピ集が書籍化された方もいます。

ユーザーは、登録されているタスカジさんの中から気に入った人を選んで仕事を依頼することもできますし、必要な業務をシンプルに選んで依頼することもできます。家事にこだわりがある人や、家族との相性も考えて決めたいという人は、タスカジさんのプロフィールや他のユーザーのレビューを見ながら何人か試しに依頼して、ぴったりの方を探しています。ユーザーの多くが女性であり、いろいろなポイントから選べるのが楽しいという方も多いようです。

ユーザーとハウスキーパーをつなぐレビュー機能

タスカジは、基本的にスマートフォンまたはPCから利用する仕組みです。

当社はユーザーやタスカジさんの利便性向上を目指して、機能の強化に取り組んでいます。少しでも使いにくいと敬遠されてしまうため、ユーザーの声に応じてスピーディに改善を重ね、シンプルで使いやすいサービス作りを心がけています。私自身、タスカジを利用している現役のユーザーでもあり、ユーザーと同じ立場でキャンペーンやサービスを体験していることは1つの強みとなっています。タスカジのようなサービスは、強い思い入れがあってこそ続けられるものだと考えています。

特に重視しているのは、ユーザーレビュー機能です。ユーザーは利用後、48時間以内に感想をレビューとして投稿できます。投稿は必須ではありませんが、現在のところ7割くらいの方が書いてくださっています。何より、プロの仕事に感動したときにはレビューを送ってくださる方が多く、料理などの写真も一緒にアップして、他の人とも共有したいという気持ちが伝わってきます。一方、改善して欲しい点がある場合は「お願い」として書いていただくと、次回依頼時によりよいサービスを受けられる可能性が高まります。レビューがあるとタスカジさんのモチベーションも変わってきますから、レビュー機能は、ユーザーとタスカジさんをつなぐコミュニケーションツールであり、タスカジさんを育てるツールでもあるのです。だからこそ、タスカジさん1人ひとりの個性を活かしたサービスが生まれ、ユーザーの満足度向上につながると考えています。

リアルな世界でもプラットフォーマーになる

当社では、タスカジさんのスキルアップを目的とした講習会も開いています。タスカジさんは当社の社員ではないため、あくまで参加は自由で、参加料金も自腹で払っていただいています。

それでも成長したいという皆さんの意欲は高く、積極的に参加されています。やはりモチベーションの源泉はレビュー機能にあり、ユーザーからいい評価が良ければ、もっと勉強していいサービスを提供したいという意識につながります。タスカジは特定の型にはめた家事サービスでなく、それぞれの得意なことやオリジナリティが発揮できる仕組みでもあるため、自分の工夫が評価されるという達成感は大きいものです。タスカジさんのサービスレベルもあえて平均化せず、それぞれ違っていたほうが、かえって良いと考えています。


また、当初はタスカジさんと直接接する機会はありませんでしたが、4年前から「タスカジさん感謝祭」というリアルイベントを実施しています。普段1人で働いているタスカジさんたちが仲間と情報交換できる場を作りたいと、ささやかなパーティーを開催したのが始まりです。それが年々大きくなり、今では「タスカジアワード」として表彰式も行っています。

データを元に稼働率を向上し、意思決定を迅速化

運営上、最も気を配っているのはタスカジさんの稼働率です。現在はユーザー約3万人に対してタスカジさんの登録数が約1,000人と、需要に対して供給が圧倒的に不足している状況です。そのため当社にとっては稼働率を上げることが重要ですし、ユーザーやタスカジさんの幸せにも直結します。基本的な仕組みとして、タスカジさんは仕事を入れられる日の時間枠を最大2カ月先まで専用のカレンダーで公開します。ユーザーはこの空き状況を見て、希望する日時に対応できる人に依頼の連絡を送ります。この「空き枠」をどれくらい確保できるかが、当社の重要な経営指標になります。タスカジさんが働く充実感を得ることで、より多くの時間枠を仕事に割り当ててくれるように取り組んでいます。


一方、以前はタスカジさんの空き状況をExcelで1週間単位で集計していたため、リアルタイムの状況が見られず、集計作業を担当するスタッフにも負荷がかかっていました。そこで2018年からBIダッシュボードを導入しました。現在は空き状況を毎日チェックできるようになり、社内の会議もダッシュボードを見ながら議論しています。Excelでは私や担当者のみがタスカジさんの稼働率を見て、どこを改善するか判断していました。現在はサポート業務、開発、広報、採用など、どの職種の担当者もダッシュボードで同じデータを見ることができるため、当事者意識を持ってそれぞれが対応策を考えられます。集計作業も不要になり、各担当者がタスカジさんとの対話やサービス改善に注力できるようになりました。

「感覚」を優先しファクトと組み合わせて確証をつかむ

当社内の運営も、さまざまな試行錯誤を経て進化してきています。設立当初、社員はすべてリモートワーク環境で働くことを前提に、オフィスを設けずWeb会議システムやビジネスチャットツールを導入しました。会社員の経験からその方が生産性は上がると思っていたのですが、創業期は社員が同じ方向に向かって勢いを付ける必要があります。やはり顔を合わせないと、意欲の持続や困難を乗り越えることが難しいと実感しました。そこであらためてオフィスを構え、現在は4名の正社員がオフィスで勤務しながら、業務委託のスタッフとはWeb会議システムやビジネスチャットツールでコミュニケーションを取っています。とはいえ、初期ステージを乗り越えて安定期に差し掛かったら再度リモートワークに切り替える可能性もあります。

タスカジの経営には、ファクト以外の「感情」を大事にすることを心がけています。走りながら、自分自身が何を欲しているか考え、どうすれば実現するかを考えてきました。その結果、外国人のタスカジさんが子守りをしながら英語を教える「家事×英語」の掛け合わせや、プロの調理師が家庭の食材を使って料理を作る「家事×料理」といった掛け合わせや、感謝祭のようなイベントが生まれてきました。起業の際には、「ファクトを出せ」と言われることも多々ありますが、皆が同じようなファクトをベースに動くようでは競争優位性は生まれません。やはり当事者意識の中で感覚を優先し、ファクトと組み合わせて確証をつかむことが重要です。

お話をお伺いしたDataLover:和田 幸子(わだ さちこ)さん
1999年より富士通株式会社でシステムエンジニアとしてERPの開発に従事。慶應義塾大学経営管理研究科でMBA取得後、Webマーケティングや新規事業の立ち上げなどに参画。2008年に第1子出産、翌年フルタイムで復職。2013年に富士通株式会社を退職し、同年11月にブランニュウスタイル株式会社(現:株式会社タスカジ)を設立、2014年7月に「タスカジ」サービスを開始。共働き家庭における家事の担い手不足を社会課題ととらえ、新しいライフスタイルの実現に必要な社会インフラを「IT」で作ることを目指す。

 

PHOTO:Inoue Syuhei

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