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プラスチック革命を起こすか? 新登場の生分解性プラスチック

期待先行で実力が追いついていない感のある生分解性プラスチック。そこに新風を吹き込むかもしれないのが、愛媛県に本社を置く福助工業が開発した生分解性フィルムです。

こちらの素材はトウモロコシなどの植物を原料としたバイオマスプレスチックで、研究機関で海洋・土壌両方での生分解性が確認されました。土壌では好気性バクテリアによる生分解性を持ち、ヨーロッパのような埋め立て文化に適しています。海洋では嫌気性バクテリアの働きで生分解されるため、海に流れついてしまった場合に効果的です。

福助工業は技術・製品の公認試験機関であるTUVオーストリアで海洋生分解認証を申請中です。同認証を取得するには、「30℃の海水中で6ヶ月以内に90%以上が生分解されること」が条件です。現時点でこの条件をクリアして認証を受けた素材はありません。

晴れて認証取得できたあかつきには、同社はこの素材をレジ袋「エコレックス」として製品化し、2020年7月から販売を開始したい構えです。また今後も研究を重ね、レジ袋だけでなく軟包装のシーラント部分への応用開発を目指していきます。

生分解性への期待しすぎは禁物

しかし高性能の生分解性プラスチックの実用化が進んだとしても、それに頼りすぎる姿勢は禁物だと警鐘を鳴らす人たちもいます。

イギリスのシンクタンク「グリーン・アライアンス」のプラスチック汚染に関する調査報告書は以下のように指摘しています。「消費者の8割以上が、生物分解や堆肥化が可能とされるプラスチックは環境にやさしいと考えている。しかし、こうした用語が何を意味しているのか、素材にはどういう処理が必要なのか、理解が不足している」

報告書では、消費者が生分解性製品を過信することで、ゴミの分別などがおろそかになり、逆に環境破壊が進む可能性があると懸念しています。TUVオーストラリア認証の「30℃の海水中で半年以内に90%以上生分解される」という条件にしても、完璧なエコとは言えません。水温が30℃に満たない海洋に流れ着くプラスチックもあるでしょうし、分解される前に海洋生物が誤飲する可能性もあります。またそれらのトラブルを回避できても、生分解されないで自然界に留まるプラスチック成分も数%はあるわけです。

少なくとも現時点では、生分解性プラスチックはプラスチック汚染をすべて解決してくれる魔法の素材ではありません。生分解性を謳うことでエコイメージを高めたいだけの企業も存在します。耳障りのいい情報に惑わされることなく、生分解性プラスチックのメリットとデメリットをしっかり把握していくことが重要ではないでしょうか。

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【参考リンク】
・Why biodegradables won’t solve the plastic crisis「生分解性プラスチック」が地球に優しいウソホントエコプロ2019 福助工業の海洋生分解性レジ袋、東洋紡のバイオマス樹脂利用のナイロンフィルム注目集めるプラスチック禁止が「環境破壊につながる恐れ」 英シンクタンク

佐藤ちひろ

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