CIOとは「Chief Information Officer」の略で、「最高情報責任者」と訳されます。この言葉の初出はWilliam R. Synnott氏の著書『The Information Weapon -Winning Customers and Markets with Technology-』とされています。
あまり耳慣れないかもしれませんが、CIOは企業のIT戦略や情報管理、その他情報に関わる様々な業務の最高責任者です。情報関連部門のトップをそのままCIOと呼ぶ場合もありますが、各部門から独立したCIO枠を設ける企業も数多く存在します。
最近ではどの業界・分野の企業でも、経営戦略の立案・実行にITの有効活用が欠かせません。
CIOは「企業利益にとっての情報」をマネジメントする役割を担っています。経営方針への情報戦略の活用、IT資産(ハードウェア・ソフトウェア等)を駆使した業務プロセス効率化の推進など、大きな視点から企業と情報を捉え、先を見据えた戦略を立てる能力が求められます。
このためCIOには情報管理やITに関する知識だけでなく、経営管理についての深い知識と経験が求められます。CIOはCEO(最高経営責任者)やCFO(最高財務責任者)を含むトップ経営陣の一員なのです。
R. Synnott氏も上記の著書でCIOの役割を「情報を識別し、定義し、収集し、蓄積し、処理し、保護し、分配する過程を統合計画する最高の経営管理者である。」としています。
IT資産管理、ノウハウや顧客データといった知的財産の管理もCIOの責任下に置かれる場合がありますが、企業によっては前者はCTO(最高技術責任者)、後者はCKO(最高知識責任者)に振り分けられることもあります。
企業が求めているのは情報と経営のエキスパートです。企業内でCIOに抜擢されるにせよ、中途採用でCIOのポジションに就任するにせよ、両分野での相当な経験と知識を有していることが必須条件です。
キャリアパスの一例は以下。
大学学部で商学・経済学を専攻。卒業後に企業に就職し、情報システム部門、営業、企画開発など様々な部門を経験し、その後昇進により情報システム部長=CIOに就任しました。
大学学部でIT関連科目を専攻。卒業後に企業に就職し何年か勤務し、大学院ビジネススクールでMBA(経営学修士号)を取得。その後、CIOの中途採用に応募し、採用されました。
または在職中に他社から引き抜かれてというケースもあります。
人材の入れ替わりが激しいスタートアップや外資系企業では、前任者が退職するとある程度経験を積んだ人材を中途採用することが多いようです。
CIOは時に業務やプロジェクトの一環として、情報マネジメントという抽象的な概念を経営陣や各部門のキーパーソンに説明し、理解を促進する必要があります。企業によっては社員の大多数にITの共通知識があり、言葉を連ねなくても趣旨が伝わることもあるでしょう。しかしそうでない場合は、相手にとっては専門外の知識を噛み砕いて説明しなければなりません。それにはIT関連の知識に加え表現力が必要です。
大企業であればことさら、交渉力や政治力を含めたコミュニケーション能力が求められます。そのためIT全般の知識以上に、マネジメント能力が不可欠です。
続いて、CIOの仕事例をみてみましょう。
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