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「Peppol」とは? 「JP PINT」との違いやメリット、改正電子帳簿保存法やインボイス制度との関係を紹介

         

改正電子帳簿保存法の宥恕(ゆうじょ)期間が2023年12月をもって終了し、すべての企業が電子取引への対応を求められることとなりました。また、2023年10月にスタートしたインボイス制度への対応もすでに進められており、それに応じて業務プロセスの改革はすでに完了しているのが理想的です。

そして、改正電子帳簿保存法、インボイス制度に適した業務プロセスを構築するにあたって必ず知っておきたいキーワードが「Peppol(ペポル)」です。「Peppol」とは何なのか、「JP PINT」とは何が違うのか、どのようなメリットがあるのかなどについて、この記事でまとめて解説いたします。

 

「Peppol」は‟、電子文書の取引における国際標準規格”

「Peppol(Pan European Public Procurement Online:汎用ヨーロッパ公共調達オンライン)」は、ベルギーの非営利国際協会「Open Peppol」運営の、電子文書の取引における国際標準規格です。ヨーロッパを中心に、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアなど30カ国以上が導入を進めており、日本は2021年9月にOpenPeppolに参加しました。

その名の通り元々はヨーロッパにおける公共調達(政府による調達全般)に用いられる目的で導入されたPeppolですが、その領域はBtoGのみならずBtoBにも拡大。そのネットワークを通じてビジネスドキュメントをスムーズかつ安全にやり取りでき、売り手と買い手の間に各自のアクセスポイントを設置する4コーナーモデルにより、それぞれが自由にサービスプロバイダーを選ぶことも可能になります。

ただし、アクセスポイントを提供できるPeppolのサービスプロバイダーとなるには、デジタル庁による認証(国内企業向け)or了承(国外で認証済みの企業向け)が必要であり、日本における認定Peppolサービスプロバイダーはウイングアーク1st株式会社など33社(2023年7月14日時点)となっています。

「JP PINT」は“日本の制度・規格に合わせた「Peppol」のカスタマイズ版”

「Peppol」をベースとして、日本向けにカスタマイズされたデジタルインボイス(電子取引を前提とし構造化・標準化された適格請求書)の標準規格が「JP PINT」です。「PINT」は「Peppol International Billing Model(ペポル国際請求モデル)」の頭文字を取った名称。JPPINTは日本のインボイス制度に標準対応しており、以下のリンクの通りデジタル庁のサイトにてすでに公開されています。

・Peppol BIS Standard Invoice JP PINT(適格請求書に対応)
https://docs.peppol.eu/poac/jp/pint-jp/
・JP BIS Self Billing Invoice(仕入明細書に対応)
https://docs.peppol.eu/poac/jp/pint-jp-sb/
・JP BIS Invoice for Non-tax Registered Businesses(区分記載請求書に対応)
https://docs.peppol.eu/poac/jp/pint-jp-ntr/

JP PINTの利用は義務ではありませんが、下記のようなメリットが存在するため、今後も普及していくことが予想されます。

・インボイス制度へ標準対応可能
・Peppolに準拠しているため海外企業との取引でも対応がスムーズになる
・統一規格の利用により異なる取引先、異なるシステムでのデータのやり取りもスムーズになる

また、電子インボイス自体には以下のようなメリットが存在します。

・インボイス処理の効率化や自動化、人的ミスの低減につながる
・リモートワークでの請求作業が可能になり、ペーパーレス化も進む
・管理や検索、保管の利便性が高まる
・タイムスタンプの付与や追跡性の高まりにより改ざん防止につながる

Peppolを用いた商取引に対応予定と回答したのは全体の23.4%

2023年8月、ウイングアーク1st株式会社は100億円以上の売上の企業に所属する請求書関連業務に携わる会社員513名を対象にインボイス制度対策状況の調査を行いました。

その結果、Peppolを用いた商取引に対応予定と回答したのは全体の23.4%、16.8%が対応しない予定で、14.8%が検討中という結果でした。

※引用元:大企業を中心としたインボイス制度対策状況を調査 | ウイングアーク1stコーポレートサイト

Peppol導入の目的・理由として回答されたのは「請求書等の規格の違いによるミスを減らすため」(68.3%)が最も多く、それに続くのが「グローバルな取引にも対応できるため」(64.2%)。それに「中小企業や大企業が幅広く低コストで利用できるため」(37.5%)を加えた3つが理由のほとんどを占めています。

一方、対応しないあるいは検討中と回答した理由として挙げられているのは「慣れるまでに時間がかかる」「社内受け入れ環境の整備」など、これまでのやり方からPeppolへの移行やそのための意思統一にかかる負担を懸念する声です。そのほかにもコストパフォーマンスや安全性を挙げる回答もありますが、そもそもPeppolがどのようなもので、これまでの制度からスムーズに移行できるのかを心配している方が少なくないのは確かでしょう。

しかし、その状況も改正電子帳簿保存法の宥恕期間終了により変化を強いられることになってくるはずです。ソリューションやシステムの導入を通して自然にPeppol(JP PINT)を利用する企業は今後増加していくでしょう。

Peppolに基づく社会実装が続々と。北九州市、デジタル庁、ウイングアーク1stの事例

デジタルインボイス受信における実証の概要図 ※図版:ウイングアーク1st提供

Peppol、国際標準のデジタルインボイスシステムが日本での社会実装を加速しています。一つの事例として、「データのじかん」を運営するウイングアーク1st株式会社は、令和6年2月より北九州市及びデジタル庁と連携し、Peppol基準のデジタルインボイス受領を実証するプロジェクトを開始することを発表しました。この実証実験は、北九州市の調達・請求業務の効率化を目指し、地域経済の活性化に貢献することを目標としています。期間は令和6年2月から4月まで設定され、デジタルインボイスを活用した支払手続きの実践が行われます。この取り組みは、日本国内でのPeppolの採用を推進し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、行政手続きのデジタル化に貢献しています。Peppolは欧州をはじめ世界30か国以上で利用されており、日本でもその導入が進むことで、国際的なビジネスの効率化に大きく寄与することが期待されています。

終わりに

2024年1月から電子取引への対応が義務化されたこのタイミングで、「Peppol」「JP PINT」とそれらのメリットや仕組みについて解説してまいりました。『電子インボイスに係る取組状況について』(内閣官房IT総合戦略室)では、すでに導入している国で「ユーザー(中小・小規模事業者)の操作がシンプルであり、導入のハードルが低い(※)」という評価が「Peppol」に与えられていることが紹介されています。

本記事で「Peppol」をはじめて知ったという方もあまりハードルを高く設定せず、「JP PINT」の利用を検討してみてください。

※引用元:電子インボイスに係る取組状況について┃内閣官房IT総合戦略室、5ページ目のスライド

(宮田文机)

 

参照元

・「Peppol(ペポル)」とは?インボイス制度との関係やデジタルインボイスのメリット、対応方法を紹介!┃ウイングアーク1stコーポレートサイト ・改正電子帳簿保存法の「宥恕措置」や「猶予措置」とは?2年の経過措置期間に企業が準備すべきことを解説!┃ウイングアーク1stコーポレートサイト ・電子帳簿等保存制度特設サイト┃国税庁 ・デジタル庁の責任者が解説するデジタルインボイス普及までの道┃株式会社NTTデータ・ビズインテグラル ・デジタルインボイスとは┃EIPA ・よくある質問:JP PINTについて(概要)┃デジタル庁 ・大企業を中心としたインボイス制度対策状況を調査 | ウイングアーク1stコーポレートサイト ・電子インボイスに係る取組状況について┃内閣官房IT総合戦略室

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