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2018322日、ウイングアーク1st株式会社は東京・六本木にあるベルサール六本木でユーザー総会2018「再起動 ~新しい星空へ~」を開催した。そのイベントのメインイベントの1つとして、Still Day One合同会社の小島英揮(おじまひでき)氏をモデレーターとして迎え、アサヒプロマネジメント株式会社の清水博氏、ネットコマース株式会社の斎藤昌義氏、株式会社ウフルの杉山恒司氏の3名のパネリストを交えたパネルディスカッションが行われた。この記事ではその様子の後半部分をレポートする。

(前半の様子はこちら

小島氏によるオープニングトークの後、3人のパネリストがディスカッションに参加し、4つの質問を中心に、ユーザーとベンダーの関係性、ユーザー・コミュニティーのあり方について議論した。(以下、敬称略)

Q1: ユーザーとベンダー企業の関係の持ち方に変化を感じるか?

モデレーター:小島英揮氏

斎藤:変わらなきゃいけない、変えなきゃいけない、とは言いつつこれがなかなか変えられないんです。結局、クライアントが変わらないので、ITベンダーも変われないという現実があります。気持ちと行動が相反している現実があります。もしかしたらその根底には、お互い変わらない方が楽だ、という変化に対して否定的な気持ちがあるのかも知れません。

小島:テレビ広告の業界でも同じことが起きているという話を聞いたことがあります。過去と比較して、テレビで広告を打ってもさほど効果的ではないことを理解していても、ほとんどの場合、視聴率が良い番組に広告を打つ、というこれまでの手法に結局変化は見られないそうです。何故かというと、今までその手法でやってきたし、それをそのままやることに周りも含めて誰も違和感を感じないからです。

斎藤:結局はユーザー企業から変わる必要があります。だって、売る側は、買う人がいる限りはその商売を続けますよね。買う側の体制をまず変えなくては、ベンダーの価値を十分に引き出せません。

清水:自分が怒られているかのような気持ちになるので、非常に聞いていて心苦しいですが、実際、100年以上歴史があるアサヒグループ全体で大きな変化があるのか、と言われると、急に大きな変化は起こせません。ですが、些細な変化でも、「変化」と呼ぶ文化がアサヒにはあります。例えば、日々の発注方法の流れが、少し変えられていることもある。長年行なっている業務を突然変えるわけにはいかないので、全ての業務に変化が訪れているわけではないですし、少しのことを変えるのに数年かかることもあります。でも、少しずつ変化が起こってきていることは社内でも感じています。

杉山:例えば、与信審査の部分を外部の業者に任せている企業はうちも含めて多いと思いますが、コミュニティーが存在することによって、外部に任せるのではなく、お互いとのやりとりを通じて信頼関係を築くことが可能となっています。そのおかげで、社員が数人しかいない会社と、今のうちに手を組みたいと考えて大企業が契約を結ぶ、など過去には考えられなかったことが起こり始めています。

Q2: コミュニティー(ユーザー会)はユーザー・ベンダー双方において必要か?

アサヒプロマネジメント株式会社 清水博氏 (左)/ネットコマース株式会社 斎藤昌義氏(右)

清水:双方に必要だとは思いません。ベンダー側でやることには十分なスピードを感じないので、ベンダー・ユーザー間には不要ではないでしょうか。ですが、ユーザー同士でやることには意味があるように感じていますし、そちらをより重視していきたい。

斎藤:そもそもコミュニティーに参加している人は上質な人がいないです。恐らく忙しいからだと思いますが。忙しいのもあるのでしょうけど、全体的にあまりにも内向きなのではないかと思うんですよ。上司からの要望に応えることにしか、もしかしたら努力していないのではないか、と。外部の世界を取り入れることは余計な仕事を増やすこと、だと取られかねない。そんな風潮がユーザーコミュニティーの繁栄の足かせになっているのではないでしょうか?

清水:今日のこの場もそうですし、去年のウイングアークのフォーラムで話した時もそうですけど、我々が話すことで最も反応してくれるのは実はベンダーではないんです。その場でも、その後、オンラインでアサヒがやっていることに反応してくれるのはユーザーの方です。

斎藤;それぞれの会社がこれは企業秘密だ、と言いますが、企業秘密なんてないですよ。はっきり言って。どうせ真似できないですもん。これをやっているのはうちだけだ、と言いながら実は他社の方がレベルが高かったなんてこともよくあることですよ。

小島:自分たちは最先端だと思っていたけど、実はそうではなかった、というのは多々あります。それでも、そのギャップを知っていた方がいい。今の変化の時代、一番危険なのは外の世界を知らないことです。乗っている船の窓のない宴会場で騒いでたらいきなり水が入ってくるともう助からない。だから、今の時代、せめて窓から外が見えるところで宴会しなくちゃならない。そして時々甲板に出る、と。甲板がコミュニティーに当たるのではないでしょうか。杉山さんはそういう場所をむしろ作るタイプだと思うが、それは他の人にとっても見晴らしのいい場所は良いことだと考えているからですか?

杉山:今は50社くらいのIoTのコミュニティーを運営しているので、その繋がりで会う人たちと頻繁に話すんですが、例えば、今日会場に来ている200名くらいの方も、毎日何かしらのキーワードをグーグル検索していると思います。朝何かしらの記事が出て、それをここにいる人が見たとすれば、それだけでも200分の1の価値しかない情報になっているわけです。そんな情報に価値があるのかどうかを考える必要があります。本当に価値のある技術を持った人たちと手を組んで何かやりたいと考えるなら、メディアに載った情報を追っていてもすでに遅いのではないでしょうか。

小島:すごいわかります。メディアに載るときにはすでにその情報に対してレイトマジョリティーです。その分野では感度が低い、ということになるかと思います。現場で流れている情報をユーザーは持っています。ベンダー側からそれを流してくる頃にはその情報はすでに古くなっている可能性がある。それでは今の硬直した状態は変えることはできないです。

清水:実際、アサヒでも色々なチャレンジはやっていますが、ユーザー同士がやり取りしている内容をベンダーが取りに行くのが一番速いのではないかと考えています。機能性ではなく、ビジネスがどう成長するのか、という話から入って行くと、ベンダーに相談するのは違うのかも知れないですね。

小島:ユーザーにしてみてもベンダーに相談に行くと、その流れで発注しなくてはならない場合も考えられます。それはベンダーロックにもつながりかねない。ユーザー同士で解決することでこの種のロックインからも解除される。そんな理解でよいでしょうかね。

それでは、次の質問に行って見ましょう。

Q3: コミュニティー時代、成長する人、止まる人

杉山:うちのコミュニティーにはウイングアーク社も入っているのですが、いろんな音頭を取ってもらっています。結局、物事を動かすのは「個人」であって、組織ではないです。色々なコミュニティーを見てきましたけれど、牽引力のある人、影響力がある人がいるコミュニティーは盛り上がります。ですが、いないコミュニティーは閑散としています。キーマンを見つけることが重要。参加企業の中にもキーマンを出してもらうこと、これが活性化するポイントだと思います。

小島:なるほど。斎藤さんは、コミュニティーに参加して輝き出す人とはどういう人だと考えますか?

斎藤:簡単に言うと図々しい人ですね。その運営やらせてください、と、何かしらやりたがってくれる、主体的に関わってくれる人。自分の役割をコミュニティーの中で作りに行くことができる人が強いです。そういう人の周りにはどんどん人が集まってくる。人が集まってくるのはバイネームです。それがつまりコミュニティーというものの大きな意味であって、会社の名前ではありません。その人が転職して別の会社に行っても周りの人はその人についているので関係ないわけです。

小島:ユーザー同士は技術でつながっているわけではなく、同じ関心ごとでつながっている、ということですね。ユーザーは、テクノロジーをどんなビジネスインパクトに変えられるか、のみにしか興味がない。そんな中で、自分がどこかでアウトプットすると、周りからそれが10倍になって返ってくるわけですよね。清水さんはどう思いますか?

清水:ちゃんと返ってきていると感じています。また、アサヒ社内にも新しいコミュニティーが生まれつつあります。これは業務ベースのつながりではなく、別のベクトルでつながっているコミュニティーです。例えば、うちの会社はグローバルでみると社員数が32000人を超えました。そして、そのうちの6割は日本国籍ではない。そうなってくると人同士がどうつながるか、例えばフェイスブックを経由してだったり、グローバルに活躍したいと思う人が積極的に活動を行なって行く風潮が出来始めています。この種のコミュニティーはオープンではない環境だけれど、引っ張って行きたい、という人が自発的に出てこなければコミュニティーは動いていかない。熱量を持っている人がいないと何も起こらないです。

株式会社ウフル 杉山恒司氏

Q4: ズバリ!変化する時代において成長し続けるには?

杉山:社団法人のデータ流通推進協議会を立ち上げて理事をやっていますが、これはつまりばらけて存在している様々なデータで共有できるものはみんな共有しよう、という集まりです。各地域のあらゆる団体が、情報を出し合って、何かしらを盛り上げようとみんな頑張っています。過疎化が進んだ場合に、それぞれの地域に大事なことは団結すること。今年になって業界別のIoTプラットフォームが次々と誕生しています。個人や1つの会社だけ頑張ればいい、他のみんなは敵だ、という考え方の元では物事は成立しなくなっていますよね。

斎藤:キーワードはクロスオーバー人材だと思います。長年の経験が意味を持つ時代ではだんだんなくなっています。AIの進化はすさまじく、専門分野で仕事が成立する時間はどんどん短くなっています。じゃあ、人間の役割はどうなるのか、と考えると、いろんな分野を見渡すことができる能力ではないだろうか、そしてそれらをうまく結びつけるクロスオーバーな発想が不可欠です。コミュニティーの役割はいわば別々の分野を繋げる窓のような存在です。人の価値観やロールモデルはコミュニティーを通じてしか知り得ない。単に本を読んだり、ネットで検索するだけでは、本当の意味でのその人との共感はあり得ない。コミュニティーに積極的に参加することでクロスオーバーな視点を育てていかなくてはならない。企業どうのではなく、人として追求していかなくてはならないテーマです。

清水:企業の最小単位は人であることは間違いないです。事業には様々な側面がありますが、それぞれの社員が何かに興味を持ち、興味を持っている分野に積極的に参加することが重要だと思っています。グローバル人材ばかりが大切なわけではなく、興味を持っている人にチャンスを与える、そしてそういう人を増やしていく努力をすることこそが大切なのではないでしょうか。

小島:私の前職のアマゾンは大企業になっても多くのイノベーションを起こしていますが、やはり人を、そして人の好奇心を大切にしている社風があって「Learn and Be Curious」というスローガンもあります。やはり外に気持ちが向いていないと変化の時代に対応できません。逆にその気持ちがあれば創業して20年以上経ってもイノベーションを起こすことができます。個人個人が好奇心を持ち続けることが推奨されていることがやはり大きな影響を与えているのではないでしょうか。

小島氏によるまとめ

「今日はトーク全体を通して、ゲームチェンジが起こっていること、コミュニティーが重要だということを理解していただけたかと思いますが、この話を聞いた後、実際にコミュニティーに参加したい、と思ってもらえればいいな、と思います」と小島氏が締めくくり、パネルディスカッションは幕を閉じた。

(データのじかん編集部)

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